最推しの悪役令嬢に転生した私は悪事だってやってみせます!

僧侶A

文字の大きさ
3 / 29

3話

しおりを挟む
 翌日、私はエドワードと共に入学式へ参加した。

「我々、生徒一同は——」

 入学式の中身は日本の学校と大差はなく、代表者によるスピーチと校長による話があるオーソドックスなものだ。

 会場は扇形のコンサートホールっぽい形をしていて、前が見やすい。

 そして今目の前でスピーチしているのが一応私の婚約者であるデヴィッド・カスペール。金髪翠眼でイケメンではあるのだけれど、このオリヴィア様を見捨てて他の女に目移りした最低の男よ。

 ただひたすらに嫌悪感しか出てこないわ。

 まあ入学式は姿勢を正しくして話を聞いているふりをするだけだから目の前で誰が話していようとどうでもいいのだけれど。

「お疲れ様でした」

 入学式も終わり、会場から出てパーティへ向かおうとしている最中にそう告げられた。

「ありがとう。ただ、これからが本番なんでしょう?」

「はい。困ったことがあれば極力私も助力させていただきますので、頑張っていただけるとありがたいです」

「やれることはやるわ」

 と楽しくエドワードと談笑していると、

「オリヴィア、先に向かっていたのか。待ってくれたっていいだろう」

 そんな私たちに背後から話しかけてきたのは先程スピーチをしていた我が国の王子、デヴィッド・カスペールだ。

「あら、ごめんなさい。代表スピーチをなさっていたので忙しいのかと思いまして」

 オリヴィア様がこの男に優しく接していたわけではないことをよく知っているので、多少ぞんざいに返事をする。

 まあ私が嫌いなのもあるけれど。

「確かにそれは間違っていないが、パーティまでは十分に時間はあるはずだ」

 この扱いに慣れているデヴィッドは、一切動揺する様子を見せない。

「まあいいではないですか。私達は後に結婚をすることが決められている許嫁。今話さなかったとしても話す時間はいくらでもあります」

「そうだが……」

 私の回答に言い淀むデヴィッド。まだ私に好意を向けている段階でこれは冷たいかもしれない。けれど、この男に情けなど掛ける気は毛頭ないわ。

 結局会場に着くまで一言の会話も交わす事はなかった。

「オリヴィア、何か欲しい物でもあるか」

 パーティ会場に着いてからデヴィッドはそんなことを聞いてきた。

 そういえば誕生日はもうすぐだったわね。入学式から約3週間後の5月1日。

 日本人の感覚としては若干遠い気はするのだけれど、貴族はやけに盛大な誕生日会やプレゼントを用意したがるので誕生日を迎える側としても祝う側としても近いと感じる位の期間らしい。

 まあ学園にいる間はパーティを開くわけも無く、プレゼントのみだけど。

「そうね……あなたに任せます」

 お前のプレゼントなんて要らない!って言いたいところだけど流石に問題発言すぎるわね。

 そんな冗談はさておき、そもそも欲しいものが無いのよね。物欲が無いってよりはこの世界だと何が売っているのかを把握出来ていないから分からないというのが正しい。

 下手にクレープが欲しい!とか日本にあるものを宣言してゲテモノを用意されても困るもの。

『それでは時間になりましたので新入生交流パーティを開催したいと思います。これから3年苦楽を共にする方々との最初の会話を十分にお楽しみください』

 という校長による挨拶からパーティは始まった。

「デヴィッド様、それでは」

「ああ、またな」

 パーティが正式に始まったので私たちはそれぞれの交流を図るために分かれることにした。

 流石に許嫁と一緒に居て関係構築なんて困難だからね。それに許嫁と一緒に居ないってのはパーティのルールだから。

「では頑張ってください」

 私はエドワードにそう耳打ちされ、最初のターゲットに接触を図る。

「ごきげんよう、オリヴィア様」

 それに気付いたのか、そもそも最初に接触を図ろうとしていたのか分からないが、先に挨拶をされた。

「ごきげんよう、マルゲリータさん」

 最初の標的はマルゲリータ・ムリーノ。

「相変わらずお綺麗ですね」

「ありがとう。マルゲリータさんも非常にお綺麗ですよ」

 お互いに半分本心から、半分は自分の方が綺麗だけど一応という精神からそんな言葉が口から出ていた。

「それで、私に何か御用でも?」

 と警戒心を見せるマルゲリータ。どうやら伯爵なのに金持ちだから利用する気ではないかと思って警戒しているのだろう。

 その通りだけど。

「単にお話してみたかったのよ。美しいお方だから」

 オリヴィア様の指示ということを一旦置いておいて、オリヴィア様に次ぐ美人と仲良く出来る役得を感じる絵川美咲の本能を前面に出すことにした。

 まさかゲームに登場しない方でここまで美人が居るとは思わなかったもの。

「あら、嬉しいですわ」

 私が男だったらこの時点で一線置かれそうな言い訳だけれど私は女だ。そして何よりも公爵家令嬢。

 下心のない純粋な気持ちとして受け入れてくれたようだった。

「早速聞きたいことがあるのですけど、髪はどうやってお手入れしていらっしゃるの?」

 それからしばらく、お互いの化粧品事情等を話していた。

「ありがとう、マルゲリータさん。良い知識を得られたわ」

「こちらこそ。またお話したいです」

「勿論。これから3年は一緒の学園なのだから精一杯話しましょう」

 いやあ、オリヴィア様の体を自分が使っているから好きなオリヴィア様を創造できるから化粧とか服とかのモチベがめちゃくちゃ高いのよね。マルゲリータさんの知識量が凄まじくていい勉強になった。素晴らしい、エクセレント!

 取り巻きにするという目的が達成されたかは分からないけど、マルゲリータと仲良くなるという第一ミッションは達成できたかな。

 そもそも彼女に関しては取り巻きにするというよりは味方につけるといったニュアンスだったから大丈夫よね?

 恐る恐るエドワードの表情を伺う。笑顔で頷いているからどうやら成功みたい。良かった!

 次はフランチェスカだったわよね……

 どこに居るのかしらと思い周囲を見渡していると、数人の貴族が一斉に寄ってきた。

「オリヴィア様、ペトラと申します!」

「クリスティンです!」

「——です!」

「——ですわ」

「——です」

「フランチェスカと申します」

「ジュリアです」

 横文字が多い!そんなに一気に自己紹介をされても純日本人の私が覚えられるわけが無いでしょうが!

 けど、フランチェスカとジュリアって名前が聞こえたのは間違いないわ。

 全員の顔を確認して、居たわ!

 2人も同時に来てくれたのは僥倖ね。

 この人たちと仲良くなることが出来れば無事にミッション達成ね!

 そんな事を考えていると突然入り口の扉が開いた。来たわね。

「遅れました。マリー・クラインシュミットです。本日はよろしくお願いします!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた

ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。  シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。 そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。 恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。 気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

処理中です...