最推しの悪役令嬢に転生した私は悪事だってやってみせます!

僧侶A

文字の大きさ
11 / 29

11話

しおりを挟む
「ってことがあったんだけど、そろそろ頃合いなんじゃない?」

 私は今日あったことをエドワードに報告し、次のミッションの確認をした。

「そうですね、丁度いい頃合いのようです。では早速次のミッションです。このリストにある方々をけしかけて、彼女たちの味方を増やしてあげてください」

 渡されたリストには対象の名前とクラス、そして爵位が書いてあった。

「この基準は?」

「あなたのクラス以外で、マリーに対して負の感情を持っているもののまだ攻撃に移っていない方々です」

「だから子爵家が多いのね」

 やっぱり下の子が這い上がってくるよりも自分と同格の人が突然成り上がる方が嫉妬しやすいものみたい。

「はい」

「注意点は?」

「まだオリヴィア様が関与しているとバレるわけにはいきませんので、貴族の男性に化けてから接触するようお願いします」

 貴族の男性か。ならば、

「こんな感じかしら」

 私は別ゲーに出てくる攻略対象の一人に化けてみた。性悪ヤンデレ生徒会長のサイモン・ハワードだ。

 ヒロインを手に入れるためだけにヒロインの周囲からの評判を落とし、味方は自分だけという状況を作り出す最悪の男。見た目だけは良いので非常に人気だったけれど。

 私はこのキャラが嫌いだけど、こういう話には一番ぴったりだから選んでみた。

「完璧です。それであれば女性も食いつきが良いと思います」

「じゃあこれで頑張ってみるね」


「そうなんだ。それは酷い女性だね」

「ですよね!」

「そうだ、これは関係ない話になるんだけど、貴族社会では出る杭を徹底的に打たれている知ってる?」

「はい。だからあまり目立ちすぎるなって親からも強く言われています」

「それは自分の身を守るための防衛策だからなんだ。もしかしたらその出る杭になった人が自分の立ち位置を脅かすかもしれないからね」

「防衛策、ですか」

「うん、上位互換が居るのに下位互換を選びたがる人はいないもの」

「そう、ですね」

「おっと、そんな悲しい顔をしないで。別に君がそうだというわけじゃないから。君はちゃんと綺麗だ」

「ありがとう、ございます」

「でここが本題なんだけど、この学園は成人に成り立ての子達が貴族として活動するための予行演習的な意味合いもあるんだ」

「予行演習、ですか」

「うん。婚活や学問、交友関係を広げることが目立つけどね。校則を見てみると分かるよ」

「後で見てみます」

「つまりだ、君の現状があった場合、貴族ならどうするか。考えてみると面白いかもね」

「はっ!はい、ありがとうございます!!」


 とこんな感じで私は次々とリストにあった女性を闇落ちさせていった。

 怪しい所は結構あったけれど、このイケメンな顔が全てを解決させてくれたわ。いやあ、本当にちょろかった。

 その甲斐もあって、

「ここならデヴィッド様や男性陣も居ないことだし、ゆっくり話し合いが出来ますわ」

「あなた、少々出しゃばり過ぎではないかしら?」

 と最初は2,3人が隠れて攻撃していただけだったのが10人以上で堂々とマリーに詰め寄るまでに成長した。

 最初はあくまでも出しゃばりすぎだからと定期的に呼び出して注意をするだけに留まっていたが、それでも行動を変えることの無いマリーに痺れを切らしたらしく、

「これがお似合いじゃないかしら?露出も増えて男性をより誘う事が出来ますよ?」

「髪が汚れていたので洗い流して差し上げました」

 と身を隠すこともせずに嫌がらせをするようになっていた。

 これで女性の味方が完璧に居なくなってしまったみたい。

 さらに女性陣がマリーと完全に敵対してしまったことで取り巻きの男性陣も激減したわ。

 残る味方はデヴィッドと数人の男性のみ。

「すまない、マリー。私の影響力を考えていなかった……」

「いえ。デヴィッド様が私の事を助けてくれたから今があるのですわ」

 となるとデヴィッドと余計に仲が良くなるのは当然の話。

 マリーの場合見た目が良いから猶更よね。

 で、

「あの女、オリヴィア様の婚約者とああも仲良くして……節操というのが無いのかしら!」

「ああいう所が味方をなくす原因じゃないのかしら。本当に……」

 とフランチェスカとジュリアがマリーに対してキレていた。

「私の為に怒ってくれてありがとう」

 いや本当にいい子!フランチェスカもジュリアも嫉妬心ではなく、私の婚約者とマリーが仲のいい事に対してだけ怒ってくれているんだもの。

 最初二人とも子爵家であるマリーが自分以上に目立っていたことに怒っていたのに。

 本当に私思いで良い子だわ。抱きしめたい!

 こんな二人に手を汚させたくは無いわ。


「ということでデヴィッド。あの三人を関わらせずに計画を進められないかしら」

 あんないい子達を悪に染めたくはないわ。

「出来ますよ。ただ時間がかかるのでしばらく待っていただきたいです」

「ありがとう」

 オリヴィア様が何を目指しているのか分からないけれど、ここだけは譲りたくない点だった。

 悪役は私だけで良いもの。

 それから特別な指示が無かったので、しばらく静観していようかと思っていたのだけれど、デヴィッドとマリーの関係がそろそろ目に余るようになってきた。

「ねえデヴィッド様、いくら彼女を守るという目的があるとはいっても距離が近すぎませんかね?」

 だから私は二人の所へ向かい、そう苦言を呈した。

 完全に独断行動だけれど、ストーリー上では実際にあったイベントなので問題ない。

 隣で授業を受ける。二人組になれと言われた時に率先して組む。一緒に昼ご飯を食べる。

 ここら辺に関しては別に私は何も言うことは無いわ。常に一緒に居なければ何が起こるか分かったものじゃないからね。頑張って止めようにも学園の女性ほぼ全員が敵に回っている以上、下手に王族権限で罰則を課したら集団で反発されて、国を脅かしかねないから。

 実際それだけなら私もここまで怒ることは無かったし、ゲーム中にマリーを恨むようなことは無かったわ。

「別にこれくらい普通だろ?マリーを守るためなんだから」

「そうです。ただ守ってくださっているだけなのです」

「ではその手はどうしたのかしら?」

 けど、二人っきりの時に手を繋いでいるのは色々とおかしいよね。

「ただ不意に離れてしまわないように繋いでいるだけだ」

「べ、別に変なことはありません」

 確かに恋人つなぎのような露骨なものでは無い。でも、

「人が密集しているような場所ではなく、そこに二人しかいない場所に何の危険性が?」

 こんな場所で離れるのは危険人物に攫われた時以外ないでしょう。もう少しマシな言い訳をして欲しい。

「マリーを敵視している相手は非常に多い。だから常に警戒する必要がある。彼女が可哀そうだと思わないのか?」

 はあ、馬鹿じゃないのかしら。

「そうですか。デヴィッド様とマリー様の考える警戒という言葉がよく分かりました。それでは失礼します」

 これ以上話していると頭が痛くなってきそうなので帰ることにした。殴らなかった私、偉いわ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

処理中です...