転生して地位、名誉、権力、金、力そして女。 この世の全てを手に入れた主人公は脂肪を手放すためにドラゴンすらも討伐してしまう。

僧侶A

文字の大きさ
19 / 27

19話

しおりを挟む
 エリック・ホルシュタイン レベル:マシマシ
 HP:マシマシ MP:マシマシ
 ATK:マシマシ
 DEF:マシマシ
 INT:65
 RES:マシマシ
 SPD:マシマシ

 現れたステータスは到底ステータスと言えるものではなく。

 INTの項目以外全てマシマシとしか書いていなかった。

 どうせならINTもマシマシにしてくれよ。頭が良くなりたいんだよ。

「どうだった?」

 どんなステータスなんだと楽しみに聞いてくる師匠。

「これは一体どう説明すれば良いんだろう……」

 流石にこの世界にマシマシなんて概念が存在しないことくらいは分かっている。

 じゃあ大体どのくらいって説明しようにもこの世界におけるステータスの指標がINTしかないから何とも言えない。

「とにかく大きい?」

「何で疑問形?数字見たら分かるんじゃないの?」

 捻り出した結論は当然の如く師匠にツッコまれる。でもそれ以外言いようが無いんだよ。

「俺としても大きい事しか分からないんだ」

「エリック様、まさか数字が読めないのですか?」

「リシュリュー、そんなわけないでしょ」

 リシュリューさんはそこまで俺がアホだと思っていらっしゃるんですか。

「ですが……」

「ですがじゃないよ。INTは分かってて65だよ。ほら読めるでしょ?」

「……申し訳ありませんでした」

 俺のINTの数値を聞いたリシュリューは何故か憐みの表情で謝ってきた。

「何?」

「エリック。INT65ってレベルが1も上がってない子供達の平均位だよ?」

「え?」

「本当ですよ。確かに成人してもその位の方はいらっしゃいますが、その方は一切戦闘をせず生きてきた方に限ります」

「INTって上がるものなの?」

「はい。他のステータスに比べると伸びは大きくありませんが、レベルと共にしっかり増加します」

「大丈夫だよ!エリックならすぐにINTも上げられるよ!強いんだし!」

「確かにそうだね。めいっぱ……」

 師匠のフォローで立ち直ろうとした瞬間に嫌なことを思い出した気がする。

 えっと、もう一度ステータスを確認しましょうか。

 エリック・ホルシュタイン レベル:マシマシ
 HP:マシマシ MP:マシマシ
 ATK:マシマシ
 DEF:マシマシ
 INT:65
 RES:マシマシ
 SPD:マシマシ

 うん。ステータスだけじゃなくてレベルもしっかりマシマシですね。

 つまり、

「多分俺はこれ以上レベルが上がることは無いと思う」

 俺は今後頭が良くなることはない。

 一応マシマシの上位互換としてチョモランマという単位が実在するらしいけど、一般的な二郎系に存在しない単位なので期待は薄い。

 それにマシマシからチョモランマにレベルが上がったとしてもINTのステータスが上昇しない未来が容易に想像できる。

「大丈夫!だってエリックは強いから……」

「えっと……それでも私はエリック様の事を愛していますから!」

「私も裏切ることなく生涯エリック様にだけ仕えていきますので安心してください……」

 俺よりも確実にINTが高い3人ですらフォローしきれないらしく、INTに関係の無い方面から俺を励まそうとしてきた。

「うん。ありがとう。もういいから……とりあえず帰って寝ても良いかな?」

 その優しさが心に突き刺さって痛いです。

「「「はい……」」」


 マリアにドラゴンの死体を魔法で収納してもらった後、3人を担いで全力ダッシュで街に戻り依頼達成を報告した。

 その後俺だけ宿に直帰し、ご飯も食べずにそのまま就寝した。


 翌日、

「師匠!今日受ける依頼は何にする?」

 俺はすっかり立ち直り、宿で朝食を取りながら師匠に元気よく話しかけていた。

「エリック?もう大丈夫なの?」

「そもそも頭よりもどうにかしないといけないことがあるからね。まずはそっちからどうにかしないと」

「そっか。分かったよ」

 頭よりも先にこの豊満ボディの方をどうにかしないといけないからね。

 そう、俺は馬鹿だから二つのことは同時にしてはいけないんだ!

 あははは……

「そういえば以前から気になっていたのですけど、リザ様の事を師匠とお呼びになるのはどういった理由なのでしょうか?」

 俺たちのそばで話を聞いていたマリアが不思議そうに問いかけてくる。

 しまった。そりゃ事情も何も知らない人から見たら同年代の女の子に師匠呼ばわりしている光景なんておかしいわ。

「師匠は俺に出来なかった事を成し遂げたからね。だから師匠なんだ」

「エリック様に成し得なかったこと、となると?」

「えっと、それはね……」

 そりゃそうだよ。あんなガバ解答でスルーしてくれるほど馬鹿じゃないよこの人。だって天才じゃないか。

「ねえエリック。もう正直に言っても良いんじゃない?今更手遅れだと思うよ」

 次の誤魔化しを考えていると、師匠がそんな事を言い出した。

「う~ん」

 痩せるまでは内緒にして驚かせたいんだよな……

「そもそもずっと一緒に居るんだから隠すだけ無駄だと思うよ」

「あっ」

 言われてみれば。ダイエットのための運動中に一緒に居るんだからバレる以前の問題だわ。

「えっとね。マリア——」

 それから俺はマリアにざっくりと事情を伝えた。

「ふふふ。別にダイエットなんてなさらなくても十分魅力的な方ですよ」

 俺の話を聞いたマリアはくすっと笑った後、ほとんど予想通りの返答をした。

「ありがとう。でも、やっぱり俺が許せないんだよ」

 そもそもダイエットの目的はマリアたちにふさわしい男になるってのもあるけど、一番はただの自己満足だ。

 ジロリアンを名乗る者としてね。

「そうですか。意思は固いのですね」

「うん」

「ちなみにリシュリュー様は知っていたんですか?」

「はい。最初の方から」

「え」

「当然です。使用人ですから。使える相手の事は把握して然るべきです」

 この人もしかして俺の服か部屋に盗聴器みたいなものつけてたりしない?

「つけてませんよ。ちゃんと聞き耳を立てて情報収集しております」

「勝手に人の心を読まないで。そして聞き耳を立てることをちゃんととは言わないからね」

 別に盗聴の是非にアナログとデジタルは関係ないからね。

「ちなみにリシュリューさんから見て私たちのダイエット計画ってどうだった?」

 そんなリシュリューの問題行動を一切気にすることなくスルーした師匠。もしかして師匠最初から勘付いてました?確かにそれも大事だけどさ。

「かなり的確な計画だったと思われます。常人であれば痩せるどころか騎士団にも負けない鋼の肉体を獲得出来ていたはずです」

「だよねえ。ちなみに今回の計画、成功すると思う?」

「常識的に考えればはいと言えるのですが、昨日の戦闘が余裕だったことを考えると少々怪しいかもしれません」

「そっか……」

「というわけでこの依頼などどうでしょうか」

 そう言って見せたのはやたら豪華な紙で出来た依頼書。

 用意が良すぎるのは置いておくとして、なんだこれ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~

ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」 魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。 本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。 ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。 スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。

処理中です...