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世界的人気なバトロワ系FPSであるOPEXの世界大会の真っただ中。今はこの一戦でチャンピオンになれれば優勝が確定する重要な場面。
『おっとRobbanasのCheddar選手が単身突如エリア外に移動したぞ!?最終局面なのでダメージは相当に痛いはず、何か策でもあるのか?』
『Robbanasは戦術にかけては世界一とも評されるリンネ選手の居るチーム。何か面白いことを仕掛けてくれるでしょう』
現在エリアは最大縮小ラインの一個手前。最初は20チーム以上いたが、もう残りは3チームしか残っていない。
『Cheddar選手がエリア外から戻りました。場所はパーティメンバーのリンネ選手、AIM選手がいる位置と反対です』
『このゲームにおいてパーティメンバーと離れるのは単にデメリットと言われています。いくら自信があると言っても、1人でプロ3人を相手取るのは無謀です』
『その上Cheddar選手が持っている武器はMスター2丁。リロードをする必要が無い以外最弱と言われている武器です』
『弾数は700発程あり、2チーム6人を殲滅するには十分な数ですが、あまりにも非現実的。そもそも全部当たることが前提ですから』
『そんなことは同パーティのAIM選手以外不可能です。おっとCheddar選手、建物内に入りましたね。エリア外の毒で削れたダメージを回復させています』
『その間に他のチームの様子を見てみましょう。おっと?これはCheddar選手を挟み込む形となっていますね。これは絶望的です』
『ん?Cheddar選手、体力を回復させた途端室内で視点をぐるぐるさせながら銃を乱射しまくっています。諦めてしまったのでしょうか。このままじゃ居場所がバレるぞ?』
『音を聞きつけた2チームは出所に居るCheddar選手を倒すために集結しています。漁夫狙いでしょうか』
『ここでリンネ選手、AIM選手が動いた!Cheddar選手が見える位置まで移動しています。纏めて倒しきるつもりですね。今AIM選手が持っているのはトレーバー。ヘッドショットならどんな敵でも一発の最強武器』
『AIM選手、一発、二発とリロードしながら着実に撃っていく。当然外すことは無く、全弾敵の頭に直撃していきます。六発撃ったところでゲームセット。Robbanasの優勝だ!!!』
こうして俺たちは世界大会で優勝し、世界一のプレイヤーとなった。
その後俺たちは本会場に集まり、表彰式となった。
「Robbanasの皆さん。優勝おめでとうございます」
「ありがとうございます。これも皆さんの応援のお陰です」
とありふれた感想を返すCheddar。
「そうじゃない。俺のエイム力が最強だったから勝てた」
ちゃんとここは訂正しておかねばとCheddarのマイクを奪い、説明した。
「いいや、僕の戦術のお陰だね。アレが無ければ君たちは勝てなかった」
と俺のマイクを奪いおかしなことをリンネが言った。
「なんだと?」
「ああ?」
戦術だなんだって言っているがこの大会5戦もあって敵に一発も当てられない奴が役に立っているとか言えるのか?これは人を撃ち倒すゲームだぞ?
「まあまあまあ、リンネ選手はAIM選手がいたからあの戦術を取れたわけで、AIM選手はリンネ選手のお陰で伸び伸び撃てたわけなんですから」
思わず熱くなりかけていたところに司会者がストップをかけてくれた。そういえばこれは仕事だったな。
「そういうことにしておきます」
「嬉しい場だからね。喧嘩するのはやめておこうかな」
その後、優勝のトロフィーと景品。そして賞金5000万を貰って無事に大会は終わりを迎えた。
「あんまり稼げなくなってきたな」
「そうだね」
というのも5年ほど前。最近は大会自体数を減らし、賞金も減少傾向にある。もうスポンサーが集まらないのだ。
別にこれはOPEX限定というわけでは無く、現存するほぼ全てのゲームに当てはまる。
そんな現状を俺とリンネは憂いていた。
理由ははっきりと分かっている。
ダンジョンの誕生だ。
今から5年前、世界大会で優勝してから一月ほど経ったころ、世界中にダンジョンが現れた。
人々はその調査をするために中に乗り込んだ。
するとそこには地球には存在しない空想上の生物が生活をしていた。
更に調査を進めていった結果、ダンジョンでモンスターを倒したことのある者にはゲームのようにステータスが与えられ、強くなれることが判明した。
人々は空想上の世界がついに現実になったんだと歓喜し、世界の注目はダンジョンへと移った。
当然ダンジョンに潜りたいと思うものは後を絶たず、乗り気ではなかった世界各国の政府が重い腰を上げていった。
最初は小国から始まり、最終的には全ての国がダンジョンを一般に開放した。
俺にとっても面白いニュースで、楽しい世界になるなと思っていたんだが、大きな誤算があった。
ゲームを見るくらいならダンジョン攻略者の映像を見る方が楽しくね?となってしまった。
そもそもゲームの魅力は現実じゃ出来ないこと、叶わないことを簡単に出来るから、見れるからというものだ。
今や人が魔法を使ってモンスターとドッカンドッカン戦っている動画が実写で見られるのに、銃と銃で戦う人間達の争いを見て見応えを感じられるわけはなく。
最初はFPSやアクションといった戦いに主軸を置いたものから始まり、最近では現実に即したゲームやラブコメと言った類も縮小している。
「プロゲーマー、辞めないか?」
俺は一つの結論をリンネに提示した。
「僕もそう思っていたところだよ」
どうやら同じことを考えていたらしい。
「んでここからが問題だ。俺たちはどう生きる?」
一応世界で最大規模まで上り詰めたゲームで世界一のプレイヤーだ。貯金は無いわけでは無い。慎ましく生きていく分には問題ない額は持っている。
ただ、趣味に生きるには随分心もとない額だ。しかし稼ごうにも働かずに何年もプロゲーマーとして生きてきた俺を雇ってくれるところなんて無いだろう。あってもブラックだ。
というわけで戦術のプロに今後の指南を受けに来た。
「正直今の生活を保つのが目的ならダンジョン攻略しかないかなって思っているよ」
「リンネも同じ結論か」
ダンジョンに仕事を奪われた男がダンジョンで働くというのも癪だったが、選択肢はこれくらいしか残っていないらしい。
「一緒にプロゲーマー辞めてダンジョン攻略始めよう」
リンネはそのセリフと共にダンジョン登録書を目の前に出した。どうやら最初からそのつもりだったらしい。
「そうだな。やるか」
俺たちはその日のうちに事務所にプロゲーマーを辞めることを報告し、役所に資料を提出してダンジョン攻略者になった。
『おっとRobbanasのCheddar選手が単身突如エリア外に移動したぞ!?最終局面なのでダメージは相当に痛いはず、何か策でもあるのか?』
『Robbanasは戦術にかけては世界一とも評されるリンネ選手の居るチーム。何か面白いことを仕掛けてくれるでしょう』
現在エリアは最大縮小ラインの一個手前。最初は20チーム以上いたが、もう残りは3チームしか残っていない。
『Cheddar選手がエリア外から戻りました。場所はパーティメンバーのリンネ選手、AIM選手がいる位置と反対です』
『このゲームにおいてパーティメンバーと離れるのは単にデメリットと言われています。いくら自信があると言っても、1人でプロ3人を相手取るのは無謀です』
『その上Cheddar選手が持っている武器はMスター2丁。リロードをする必要が無い以外最弱と言われている武器です』
『弾数は700発程あり、2チーム6人を殲滅するには十分な数ですが、あまりにも非現実的。そもそも全部当たることが前提ですから』
『そんなことは同パーティのAIM選手以外不可能です。おっとCheddar選手、建物内に入りましたね。エリア外の毒で削れたダメージを回復させています』
『その間に他のチームの様子を見てみましょう。おっと?これはCheddar選手を挟み込む形となっていますね。これは絶望的です』
『ん?Cheddar選手、体力を回復させた途端室内で視点をぐるぐるさせながら銃を乱射しまくっています。諦めてしまったのでしょうか。このままじゃ居場所がバレるぞ?』
『音を聞きつけた2チームは出所に居るCheddar選手を倒すために集結しています。漁夫狙いでしょうか』
『ここでリンネ選手、AIM選手が動いた!Cheddar選手が見える位置まで移動しています。纏めて倒しきるつもりですね。今AIM選手が持っているのはトレーバー。ヘッドショットならどんな敵でも一発の最強武器』
『AIM選手、一発、二発とリロードしながら着実に撃っていく。当然外すことは無く、全弾敵の頭に直撃していきます。六発撃ったところでゲームセット。Robbanasの優勝だ!!!』
こうして俺たちは世界大会で優勝し、世界一のプレイヤーとなった。
その後俺たちは本会場に集まり、表彰式となった。
「Robbanasの皆さん。優勝おめでとうございます」
「ありがとうございます。これも皆さんの応援のお陰です」
とありふれた感想を返すCheddar。
「そうじゃない。俺のエイム力が最強だったから勝てた」
ちゃんとここは訂正しておかねばとCheddarのマイクを奪い、説明した。
「いいや、僕の戦術のお陰だね。アレが無ければ君たちは勝てなかった」
と俺のマイクを奪いおかしなことをリンネが言った。
「なんだと?」
「ああ?」
戦術だなんだって言っているがこの大会5戦もあって敵に一発も当てられない奴が役に立っているとか言えるのか?これは人を撃ち倒すゲームだぞ?
「まあまあまあ、リンネ選手はAIM選手がいたからあの戦術を取れたわけで、AIM選手はリンネ選手のお陰で伸び伸び撃てたわけなんですから」
思わず熱くなりかけていたところに司会者がストップをかけてくれた。そういえばこれは仕事だったな。
「そういうことにしておきます」
「嬉しい場だからね。喧嘩するのはやめておこうかな」
その後、優勝のトロフィーと景品。そして賞金5000万を貰って無事に大会は終わりを迎えた。
「あんまり稼げなくなってきたな」
「そうだね」
というのも5年ほど前。最近は大会自体数を減らし、賞金も減少傾向にある。もうスポンサーが集まらないのだ。
別にこれはOPEX限定というわけでは無く、現存するほぼ全てのゲームに当てはまる。
そんな現状を俺とリンネは憂いていた。
理由ははっきりと分かっている。
ダンジョンの誕生だ。
今から5年前、世界大会で優勝してから一月ほど経ったころ、世界中にダンジョンが現れた。
人々はその調査をするために中に乗り込んだ。
するとそこには地球には存在しない空想上の生物が生活をしていた。
更に調査を進めていった結果、ダンジョンでモンスターを倒したことのある者にはゲームのようにステータスが与えられ、強くなれることが判明した。
人々は空想上の世界がついに現実になったんだと歓喜し、世界の注目はダンジョンへと移った。
当然ダンジョンに潜りたいと思うものは後を絶たず、乗り気ではなかった世界各国の政府が重い腰を上げていった。
最初は小国から始まり、最終的には全ての国がダンジョンを一般に開放した。
俺にとっても面白いニュースで、楽しい世界になるなと思っていたんだが、大きな誤算があった。
ゲームを見るくらいならダンジョン攻略者の映像を見る方が楽しくね?となってしまった。
そもそもゲームの魅力は現実じゃ出来ないこと、叶わないことを簡単に出来るから、見れるからというものだ。
今や人が魔法を使ってモンスターとドッカンドッカン戦っている動画が実写で見られるのに、銃と銃で戦う人間達の争いを見て見応えを感じられるわけはなく。
最初はFPSやアクションといった戦いに主軸を置いたものから始まり、最近では現実に即したゲームやラブコメと言った類も縮小している。
「プロゲーマー、辞めないか?」
俺は一つの結論をリンネに提示した。
「僕もそう思っていたところだよ」
どうやら同じことを考えていたらしい。
「んでここからが問題だ。俺たちはどう生きる?」
一応世界で最大規模まで上り詰めたゲームで世界一のプレイヤーだ。貯金は無いわけでは無い。慎ましく生きていく分には問題ない額は持っている。
ただ、趣味に生きるには随分心もとない額だ。しかし稼ごうにも働かずに何年もプロゲーマーとして生きてきた俺を雇ってくれるところなんて無いだろう。あってもブラックだ。
というわけで戦術のプロに今後の指南を受けに来た。
「正直今の生活を保つのが目的ならダンジョン攻略しかないかなって思っているよ」
「リンネも同じ結論か」
ダンジョンに仕事を奪われた男がダンジョンで働くというのも癪だったが、選択肢はこれくらいしか残っていないらしい。
「一緒にプロゲーマー辞めてダンジョン攻略始めよう」
リンネはそのセリフと共にダンジョン登録書を目の前に出した。どうやら最初からそのつもりだったらしい。
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