立ち回りを捨て、全てをエイムに捧げてきた元プロゲーマーは現実でもエイムに全振りして無双する

僧侶A

文字の大きさ
17 / 36

17話

しおりを挟む
「はあ!?!?!?」

 想定の数倍は固いぞこいつ。たかが足でこのレベルなら、全身はどれだけ固いんだよ。

 そこそこの衝撃を受けただが、一切怯むことなくこちらへ突進してくる。

「空を飛んでもらわないことにはどうしようもないか……」

 しかし、カブトムシは基本的に空を飛ぶことは無い。真に生命の危機だと感じさせる必要がある。

 次なる弱点となると、アレか。

 カブトムシの上半身と下半身を分けている謎の隙間。何て言うのか分からないが、とりあえず投げてみよう。

 どうやら上手くいったか?金属音が無い。

 しかし戻ってくる気配が無いな。

 ブーメランよりも先にカブトムシがやってきた。

 自慢の二本角でかちあげようと角を地に這わせつつ突進してくる。

「俺はカブトムシじゃない!」

 全力で横に飛んで逃げる。が、別に猪みたいに真っ直ぐにしか飛べないわけでは無いので臨機応変に対応してくる。

 全力で回避しつつ、どこか弱点となる部位が無いか懸命にブーメランを投げ続ける。

「どこも弾かれてしまうな。やっぱり持ち上げるほかないのか?」

 困り果てていると、とある物を見つける。

 羽の付け根に引っ掛かっているブーメランだ。

「アレを使って強引に羽を開かせれば飛ぶのでは?」

 いくら飛びたがらない虫でも羽が開いたら飛ぶ気になるだろう。

 そう結論付けた俺は、羽に刺さっているブーメランに的確に命中させ、てこの原理を使い羽をこじ開ける。

 片翼が開いた。

「どうだ?」

 しかし何事も無いように地を歩くカブトムシ。

「羽をこじ開けること自体に意味は無かったが、収穫はあったようだな」

 開いた羽の隙間から、戻ってこなかったブーメランが見つかった。よく分からない部分に突き刺さっていたのだ。

 あれをより深くに突き刺せば、大ダメージが入るだろう。

 希望が見えた俺は、ブーメランの先端に向けて次々に投げ続ける。

 それから数分後ブーメランは完全に体内に入り込み、死に絶えた。

「宝箱を開封。これでRTA計測終了だな」

 ストップウォッチを止めて計測を終了する。肝心のタイムは……?

「合計で2時間8分か。割とかかったな」

 巣鴨で48分、移動で10分、池袋で70分。

 ビートルのロスが無ければもう少し時間短縮が出来たが、今回は関係ない。

「とりあえず、俺がRTA世界一位だ」

 どう考えても速攻更新される記録ではあるが、配信としては十分だろう。

 キリが良いのでそこら辺で配信を終了し、C級への更新を済ませた。

 流石に帰宅は走って帰る気が起きなかったので車にて帰宅した。

 帰宅後、配信の反響を知るためにネットを開いた所割と好評だったらしい。

 D級というダンジョンをRTAで攻略したこと自体より、自分と同じ等級のダンジョンをああも簡単に攻略していく光景が受けたらしい。

 また、俺の神エイムが一番分かりやすく見られる回だったということも人気の一つだったらしい。

 特に凄かったのが海外人気。

 ジョブはブーメランマスターって言っているけど絶対ニンジャだよ!ジャパニーズニンジャは実在した!みたいなコメントが数多く見られた。

 なんなら海外のニュースサイトからジャパニーズニンジャの再来として特集を組んでも良いですかと直接連絡が来た。

 別に断る理由も無いので許可することにはした。

 という光景を全て見ていた涼は、

「ジャパニーズニンジャって、ただのエイムゴリラなだけなのに……」

 と大爆笑していた。

 帰宅時は素直にC級到達をちゃんと祝ってくれていたのだが、配信直後の反響を見てからは祝うという感情が完全に抜け落ちている様子。

「まあ配信者としてはウケるだけありがたいことだ」

 正直不本意ではあるが、俺のエイム能力の凄さを視聴者が理解して高い評価をくれた紛れもない証拠だ。

 FPSの人気が下がり、視聴者数も落ち込みを見せていたあの時を考えると、十分に幸せだ。

「くくくく……」

 ただ、配信者の事情を全く知らないこいつには関係ないようだ。




 後日、C級のダンジョンを一つ攻略した後

「なあ周人君、一緒に狩りに行かないかい?」

 と誘われた。

「涼とか?」

 実は涼はB級の冒険者。その中でもA級に上がるための攻略数が16個中9個を超えているかなり優秀な方だ。

「うん。素材が欲しくなってね。ちょっと浦安ダンジョンで狩りをしたいんだ」

「別に俺が居なくても良いんじゃないか?足手まといになると思うが」

 全く同じジョブ、同じ武器、さらに二人とも後衛ときた。どっからどう見ても役割過多だろ。

「まあ浦安はC級ダンジョンだし、多分周人君の方が狩りの効率が良いと思うんだよ」

「それはどういうことだ?」

「来てからのお楽しみだね」

 日頃家事をしてもらっているお礼として、手伝うことにした。

「なあ涼、本当に良いのか?」

「良いんだよ。宣伝の為だ、逆に私を手伝うと思って」

「そこまで言うのなら……」

 俺は涼に言われた通り、配信ボタンを押した。

「今日は配信する予定は無かったのだが、配信することになった。よろしく」

「というわけでよろしく!視聴者の諸君!AIM君のブーメラン職人、涼だよ!」

 涼は妙にはきはきとしていて、配信慣れしているようだった。

 流石に反応が気になったのでコメント欄を確認してみると、『涼可愛い』とか『専属の美人とかずるいぞ』みたいなコメントが多かったので大丈夫だろう。

「今日は俺のブーメランを作って貰っている涼の依頼で素材集めをすることになった。一応B級でブーメランマスターだから単純に俺よりも強いと思って貰っていい」

「私はブーメランの先駆者なのだ!」

 と高笑いする涼を見た視聴者は、意外な戦闘力に驚いている様子。

「というわけで、早速狩りに行こうと思う」

 カメラを再び空へ飛ばし、ダンジョン攻略を始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

最強転生悪役令嬢は人生を謳歌したい!~今更SSクラスに戻れと言われても『もう遅い!』Cクラスで最強を目指します!~【改稿版】

てんてんどんどん
ファンタジー
 ベビーベッドの上からこんにちは。  私はセレスティア・ラル・シャンデール(0歳)。聖王国のお姫様。  私はなぜかRPGの裏ボス令嬢に転生したようです。  何故それを思い出したかというと、ごくごくとミルクを飲んでいるときに、兄(4歳)のアレスが、「僕も飲みたいー!」と哺乳瓶を取り上げてしまい、「何してくれるんじゃワレ!??」と怒った途端――私は闇の女神の力が覚醒しました。  闇の女神の力も、転生した記憶も。  本来なら、愛する家族が目の前で魔族に惨殺され、愛した国民たちが目の前で魔族に食われていく様に泣き崩れ見ながら、魔王に復讐を誓ったその途端目覚める力を、私はミルクを取られた途端に目覚めさせてしまったのです。  とりあえず、0歳は何も出来なくて暇なのでちょっと魔王を倒して来ようと思います。デコピンで。 --これは最強裏ボスに転生した脳筋主人公が最弱クラスで最強を目指す勘違いTueee物語-- ※最強裏ボス転生令嬢は友情を謳歌したい!の改稿版です(5万文字から10万文字にふえています) ※27話あたりからが新規です ※作中で主人公最強、たぶん神様も敵わない(でも陰キャ) ※超ご都合主義。深く考えたらきっと負け ※主人公はそこまで考えてないのに周囲が勝手に深読みして有能に祀り上げられる勘違いもの。 ※副題が完結した時点で物語は終了します。俺たちの戦いはこれからだ! ※他Webサイトにも投稿しております。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

スキル【迷宮管理者】に目覚めた俺氏、スレ民たちとめちゃくちゃに発展させるw

もかの
ファンタジー
『【俺氏】なんかダンジョン作れるようになったからめちゃくちゃにしようぜwww【最強になる】』 ある日急に、【迷宮管理者】なるダンジョンを作って運営できるスキルを……あろうことかそのへんの一般スレ主が手に入れてしまった! スレ主:おいww一緒にヤバいダンジョン作ろうぜwww 長年の付き合いであるスレ民たちと笑いながら『ぼくのかんがえたさいきょうのダンジョン』を作っていく。 それが世界を揺るがすことになるのは、まだ先のお話である。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

処理中です...