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32話
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「この街は広すぎる!」
あまりにも地図が見つからないため、涼がついに限界だと声をあげた。
「そうだね。このままだと日が暮れそうだよ」
涼の言葉にリンネが同意する。確かにこのままだと一生見つからないように思える。
「俺が露店の奴に聞いてくる」
俺は近くにあった露店の中から、買っても問題なさそうな飯を販売しているものを選んだ。
「はいお兄さん、どれをお求めで?」
「じゃあこの鳥の串焼きを三本頼む」
俺は鳥の串焼き。つまり焼き鳥を頼むことにした。この街独自の食べ物を買って不味かったら嫌だからな。
「はいよ!今から焼くから少しだけ待ってくれや」
「分かった」
「なあ店主、地図を買える場所って知っているか?」
「地図か。そんなもんが必要ってことお兄さん、冒険者かい?」
「まあ似たようなものだな」
「それなら、ウェイン通りにある露店が一番じゃねえかな。地図としての出来もそうだが、冒険者が多少無茶しても良いように丈夫に作っているらしいからな。そこから左に曲がった後、突き当りを右に曲がればウェイン通りに着く。その一番手前にあるから見れば分かるぜ」
初手から当たりを引くことが出来たようだ。運が良かったな。
「そうか。ありがとう」
「別に良いってことよ。っと焼きあがったぜ。三本で銅貨六枚だ」
「じゃあこれで」
「おう、おつりだ。また来てくれよな!」
「ああ、またな」
俺は気のいい焼き鳥屋の店主と別れ、二人に報告へ戻った。
「って話だ。食べてから行くぞ」
あの店主から買った焼き鳥はまた機会があるのなら来ても良いと思える位には非常に美味しかった。
ゴミを一旦マジックバッグに入れた後、大量の人混みをかき分けて地図を販売している露店へと向かった。
「あんたら、地図をお求めかい?」
「そうですね」
「どんな大きさが良いかい?」
「極力広範囲が記されているものをお願いします」
「そうか、じゃあこれかね?」
「そうですね……ちょっと広いですかね。他のも纏めて見せてもらっていいですか?」
「構わないよ。ほら」
遠くに見える巨大な塔と、目の前にある地図をそれぞれ見比べながら吟味している涼。
恐らく一番都合の良い範囲のものを選んでいるのだろうが、地図を読めない俺には何を見て選んでいるのかがさっぱり分からない。
「分かる?」
「分からん」
「だよね」
それはリンネも同様らしかった。
待つこと数分。
「じゃあこれでお願いします」
「毎度あり」
「時々塔の方を見ていたが、アレで何が分かるんだ?」
「普通に大体の位置と距離が分かるよ。近くに山っていう分かりやすい比較対象があるからね。あとはこの街の大きさをざっくりと推定して、極力細部が読めるように範囲を調整したんだ」
普通そんなことは出来るのか……?
流石におかしいだろと感じた俺はスマホを回収し、コメント欄を確認する。
すると、『それは無理だろ』、『分かるか』、『伊能忠敬だって出来ねえよ』等、涼のやったことを否定するコメントが非常に多かった。
が、数人は『一応不可能ではない』、『冒険者として長いだろうからワンチャン』といった肯定するコメントもあり、人間を卒業していることは間違いないが、別にありえない話ではないらしい。
ひとしきり読んだ俺は再びカメラを飛ばし、
「不可能では無いことは分かった。ただどうしてお前はそんな技術を手に入れたんだ?」
「別に何もしてないよ。皆出来るものじゃないの?近所に住んでる人たちは普通に出来るよ?」
「なんだそのヤバい街は」
お前の地元は放浪民族かよ。
その後日が暮れてきたので配信を切った後手頃な宿を探し、泊まることに。
当初は三人で一つ大きな部屋を借りる予定だったが、リンネがあまりにもごねたので結局一人一部屋借りる羽目になった。
翌朝、俺と涼はリンネに叩き起こされ、目的地に向かうための乗り合い馬車に乗せられた。
「別に朝である必要はあるか?配信者だぞ?」
起こされたタイミングでスマホを確認した時は午前7時だった。
「この時間帯じゃないと遠すぎて日が暮れるんだよ!」
「別にその位良いじゃないか。この馬車には御者と俺達しか乗っていないが、前後に10台以上馬車があるから突然モンスターに襲われても問題無いだろ」
それに、他の客が襲ってきたとしても涼が居れば簡単に一網打尽だろうしな。
「そこじゃないよ。どうやって寝るのさ!」
「そこらでテントを張って一緒に寝るだけでしょ?」
「涼さんは少しくらい気にして!!!」
どうやらリンネは涼と寝るのが恥ずかしいらしい。シャイな奴だな。
流石に日中から堂々と襲ってくるようなモンスターや盗賊は居るわけが無く、何事も無く目的地へと辿り着いた。
「じゃあ、あの塔に向かうか」
「そうだね」
そこから俺たちは街に入ることはせず、塔へ向かう事に。
「どうやら立ち入り禁止区域に設定されているらしいな」
塔へ向かうため、森の中を歩いていると巨大な柵に道を阻まれた。
塔の事をこの世界の住人は認識出来ないはずなので、何か強力なモンスターが立ち塞がっているのだろうか。
「でもそれで立ち止まるわけにはいかないよね」
「うん、そうだね」
「じゃあ飛び越えるか」
そう思い柵に向かいジャンプをする寸前で、
あまりにも地図が見つからないため、涼がついに限界だと声をあげた。
「そうだね。このままだと日が暮れそうだよ」
涼の言葉にリンネが同意する。確かにこのままだと一生見つからないように思える。
「俺が露店の奴に聞いてくる」
俺は近くにあった露店の中から、買っても問題なさそうな飯を販売しているものを選んだ。
「はいお兄さん、どれをお求めで?」
「じゃあこの鳥の串焼きを三本頼む」
俺は鳥の串焼き。つまり焼き鳥を頼むことにした。この街独自の食べ物を買って不味かったら嫌だからな。
「はいよ!今から焼くから少しだけ待ってくれや」
「分かった」
「なあ店主、地図を買える場所って知っているか?」
「地図か。そんなもんが必要ってことお兄さん、冒険者かい?」
「まあ似たようなものだな」
「それなら、ウェイン通りにある露店が一番じゃねえかな。地図としての出来もそうだが、冒険者が多少無茶しても良いように丈夫に作っているらしいからな。そこから左に曲がった後、突き当りを右に曲がればウェイン通りに着く。その一番手前にあるから見れば分かるぜ」
初手から当たりを引くことが出来たようだ。運が良かったな。
「そうか。ありがとう」
「別に良いってことよ。っと焼きあがったぜ。三本で銅貨六枚だ」
「じゃあこれで」
「おう、おつりだ。また来てくれよな!」
「ああ、またな」
俺は気のいい焼き鳥屋の店主と別れ、二人に報告へ戻った。
「って話だ。食べてから行くぞ」
あの店主から買った焼き鳥はまた機会があるのなら来ても良いと思える位には非常に美味しかった。
ゴミを一旦マジックバッグに入れた後、大量の人混みをかき分けて地図を販売している露店へと向かった。
「あんたら、地図をお求めかい?」
「そうですね」
「どんな大きさが良いかい?」
「極力広範囲が記されているものをお願いします」
「そうか、じゃあこれかね?」
「そうですね……ちょっと広いですかね。他のも纏めて見せてもらっていいですか?」
「構わないよ。ほら」
遠くに見える巨大な塔と、目の前にある地図をそれぞれ見比べながら吟味している涼。
恐らく一番都合の良い範囲のものを選んでいるのだろうが、地図を読めない俺には何を見て選んでいるのかがさっぱり分からない。
「分かる?」
「分からん」
「だよね」
それはリンネも同様らしかった。
待つこと数分。
「じゃあこれでお願いします」
「毎度あり」
「時々塔の方を見ていたが、アレで何が分かるんだ?」
「普通に大体の位置と距離が分かるよ。近くに山っていう分かりやすい比較対象があるからね。あとはこの街の大きさをざっくりと推定して、極力細部が読めるように範囲を調整したんだ」
普通そんなことは出来るのか……?
流石におかしいだろと感じた俺はスマホを回収し、コメント欄を確認する。
すると、『それは無理だろ』、『分かるか』、『伊能忠敬だって出来ねえよ』等、涼のやったことを否定するコメントが非常に多かった。
が、数人は『一応不可能ではない』、『冒険者として長いだろうからワンチャン』といった肯定するコメントもあり、人間を卒業していることは間違いないが、別にありえない話ではないらしい。
ひとしきり読んだ俺は再びカメラを飛ばし、
「不可能では無いことは分かった。ただどうしてお前はそんな技術を手に入れたんだ?」
「別に何もしてないよ。皆出来るものじゃないの?近所に住んでる人たちは普通に出来るよ?」
「なんだそのヤバい街は」
お前の地元は放浪民族かよ。
その後日が暮れてきたので配信を切った後手頃な宿を探し、泊まることに。
当初は三人で一つ大きな部屋を借りる予定だったが、リンネがあまりにもごねたので結局一人一部屋借りる羽目になった。
翌朝、俺と涼はリンネに叩き起こされ、目的地に向かうための乗り合い馬車に乗せられた。
「別に朝である必要はあるか?配信者だぞ?」
起こされたタイミングでスマホを確認した時は午前7時だった。
「この時間帯じゃないと遠すぎて日が暮れるんだよ!」
「別にその位良いじゃないか。この馬車には御者と俺達しか乗っていないが、前後に10台以上馬車があるから突然モンスターに襲われても問題無いだろ」
それに、他の客が襲ってきたとしても涼が居れば簡単に一網打尽だろうしな。
「そこじゃないよ。どうやって寝るのさ!」
「そこらでテントを張って一緒に寝るだけでしょ?」
「涼さんは少しくらい気にして!!!」
どうやらリンネは涼と寝るのが恥ずかしいらしい。シャイな奴だな。
流石に日中から堂々と襲ってくるようなモンスターや盗賊は居るわけが無く、何事も無く目的地へと辿り着いた。
「じゃあ、あの塔に向かうか」
「そうだね」
そこから俺たちは街に入ることはせず、塔へ向かう事に。
「どうやら立ち入り禁止区域に設定されているらしいな」
塔へ向かうため、森の中を歩いていると巨大な柵に道を阻まれた。
塔の事をこの世界の住人は認識出来ないはずなので、何か強力なモンスターが立ち塞がっているのだろうか。
「でもそれで立ち止まるわけにはいかないよね」
「うん、そうだね」
「じゃあ飛び越えるか」
そう思い柵に向かいジャンプをする寸前で、
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