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最終話
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「なんだこれ」
扉を開けて目に入ったのは地に倒れ伏す魔人の姿。
それも一人だけではない。あらゆるバリエーションの魔人達が至る所に倒れているのである。
「何だろう。外傷は見当たらない。でも息をしていないから死んでいるとは思うんだけどね」
リンネは倒れていた魔人に近づき、調べてからそんなことを言った。
「それ、AIM君が戦った相手とよく似ている状態だね」
「っ!はぁ。ねえAIM、自分のステータス画面を開いてみて」
リンネは何かに気付いた顔をした後、何かを見てため息をつき、俺にそう言った。
「なんだこのレベル」
そこに表示されていたレベルはなんと15443。最早桁が違っていた。
「二人とも、とりあえず付いてきて」
そう話すリンネの表情は軽く死んでいた。
リンネは周囲を一切警戒することなく、ただ真っすぐ歩くだけ。
そして一番奥にあった一番高級そうな扉を躊躇いなく開いた。
「やっぱりかあ……」
扉の中には次の層へ向かう階段と、椅子に座ったまま目を閉じている魔王の姿があった。
「何か分かったのか?」
「何もかも、全部理解したよ」
そう返事をするリンネは少し怒っているような、すねているような表情をしていた。
「AIM!君がこの世界に居る全ての敵を倒してしまったんだよ!だからこの世界の冒険は楽だったの!」
「「は?」」
意味が分からない俺たちは、そう返す事しか出来なかった。
「AIMの命中が高くなりすぎて、当たり判定がこの世界全てに広がっちゃったんだよ。その結果、敵全ての内臓を破壊して、異次元のレベルアップを果たしたんだよ」
「別にそこまで広がるほどじゃないと思うが?」
命中のステータスはボス討伐時の3.5倍程しかない。それだけでここまでの差が生まれるか?
「多分体内から体外に当たり判定を出すまでに必要な命中がかなり要求値が高くて、出てからは広がりやすくなっているんじゃない?」
「そんなもんか?」
「それしか考えられないからね。現にこうなっているわけだし」
リンネの言う通り確かにレベルの上昇幅がおかしいし、魔王は既に死んでいるしな。
「そういえば何で私達にはダメージが無いの?それだけ当たり判定が広いなら真横に居た私達とか何回も死んでそうだけど」
若干納得しかけたタイミングで、涼がそんな事を言った。確かにそれなら巻き込み事故を起こすな。
「敵対する相手じゃないからだと思うよ。あの教会に結構生きている魔人が居たし」
「なるほどね。めちゃくちゃ便利だね」
「世界に存在する敵をAIMは好きな時に殺せるってことになるからめちゃくちゃ恐ろしい存在になっちゃったけどね」
「確かに」
「やっぱり命中は最強ってことだな!見たか!地球の人間達よ!これが最強というものだ!」
俺は高笑いした後、カメラを全て回収し、独断で配信を切った。
「二人とも、帰って良い?」
そして、俺は二人にそう尋ねた。
俺の様子を見てか、2人は同意してくれた。
レベルが1万の大台を超えていたのは俺だけではなくリンネと涼もだったため、帰りは1時間もかからなかった。
「レベル1万って本当なんですか!?!?!?」
「本当なら世界一の冒険者となるわけですが、お気持ちをどうぞ!」
「AIMさん!命中の秘密について説明お願いします!」
高笑いした後に配信を切り、何も伝えずに帰ってきたはずなのだが、ダンジョンの出口は大量の記者で埋め尽くされていた。
「リンネ、頼む」
「後でご飯奢ってね」
「勿論だ」
「じゃあAIM君、捕まってね」
記者たちの相手はリンネに任せ、俺は涼に背負ってもらい、一般人には補足できないレベルのスピードを出して帰った。
「なんだろうな。この嬉しいけど悲しい複雑な感情は」
「周人君が一番大事にしていたエイム力を結果的に全否定されたようなものだしね」
「そうなんだよな……」
一応今までは完璧なコントロールの副産物として弱点を表に出してくれるという形だった。つまりエイム力が高くなければ成立しない状態だった。
だが、階層の入り口から階層ボスを討伐出来るのは違うだろ。
それはただブーメランを投げるだけの単純作業じゃないか。
「話題性も強さも完璧なのは良いが、いずれ飽きられるのは間違いんだよな」
ブーメラン投げて道を散歩するだけの生放送とか見ていても面白くないだろ。
「かと言って強さを捨てるのは少し違うんだよな……」
リンネの時と違って目的が無い。ただ弱くなるための初期化はな……。
それに今の俺が初期化しても冒険を純粋に楽しめるわけが無い。
「チーターになるってこんな気分なのかもね」
「そうだな。無敵の強さを体感してしまったら元に戻ることは出来ない。闇落ちする輩が後を絶たないわけだ」
「いやあまさかこうなるとは」
「巻き込んでしまってすまない」
一応涼とリンネは命中に特化していないので俺みたいな理不尽な攻撃は出来ないが、レベル差で全てを圧倒できてしまうからな。
「別に私は良いよ。君のお陰でブーメランが最強の武器だってことを世界に証明できたから。それでチャラだよ」
「そうだな。ブーメランは最強だ」
「何しんみりしているのさ」
2人で話していると、記者からの質問を答え終えたであろうリンネが戻ってきた。
「仕方ないだろ。今の俺はエイムが要らないんだから」
「それは深刻だ」
俺のエイムへの信仰心を誰よりも知っているリンネはその一言で納得してくれた。
「で、AIMはこれからどうするの?隠居?出来ない気がするけど」
絶対居場所を突き止めてダンジョンに引っ張り出してくるだろうからな……
「定期的にS級ダンジョンに潜って攻略を進めるって形になるだろうな。別にダンジョンに潜る事自体が嫌になったわけじゃないからな」
色んな世界を見て回ることは楽しいからな。
「それなら良かった」
「「良かった?」」
「いや、悪魔の死体をギルドの人に渡した際に少し聞いてみたんだよ。異世界の言葉を翻訳することは可能なのかって。そしたら、異国の人と話している映像を見せれば最初は時間かかるかもしれないけれどある程度リアルタイムでも出来るって」
「なるほど」
言語ガチャに失敗しても会話が出来るのなら全ての街を訪れることが出来るだろうし選択肢は広がるか。
「僕たちのレベルは他のS級と比べても異常に高いから絶対に死なないし、なんなら翻訳の為の学者を連れていくことだって出来る」
「ただ配信として絵がしょぼい気がするけど。移動時間とか」
「走れば良いでしょ。それに異世界の言語を翻訳する人だけが生放送を見れば良いだから後で動画にしちゃえば間延びもしないよ」
「天才か!?」
そうと決まってからの俺たちの行動は早かった。俺たちのスポンサーになろうとしている企業達経由で言語の解読を専門としている方々をかき集め、約一週間で一大グループを結成した。
「『恐らくガヨウは肉だが果物みたいに甘いって言っています』」
「助かる。 ————(3人分欲しい。いくらだ?)」
「————(毎度あり!)」
「見た目も食感も完全に肉なのに味は桃とミカンの中間みたいな感じなの面白いね」
「確かに。でもちゃんと美味しいの不思議」
「デザートにしたいように見えるが多分普通に肉っぽく調理した方が上手そうだな」
俺たちはガチでダンジョンを攻略するタイプの冒険者からバラエティ重視のエンジョイ系っぽい冒険者へと変わった。
「この階層は危険そうだし一掃しておこう」
「分かった」
とはいっても世界一の冒険者ではあるため定期的に強さを見せつけるのだが。
最初はただの旅番組だから視聴者は減るだろうなと思っていたのだが、寧ろ爆増した。
というのも動画がしっかりと翻訳されているため、どの国の住人だろうがどの言語を使用していようが全てを理解できる仕様になっていた為だ。
冒険者が戦う姿を求めていた層は居なくなってしまったらしいが、未知の世界やモンスターを見てみたいという好奇心で見ていた層の心をがっちりと掴んでいた。
現在の目標は地球上に存在する全てのS級ダンジョンを回り、その全ての層に拠点を作ることだ。
今はS級ダンジョンは千代田ダンジョンしか攻略出来ていないから頑張っていきたい。
扉を開けて目に入ったのは地に倒れ伏す魔人の姿。
それも一人だけではない。あらゆるバリエーションの魔人達が至る所に倒れているのである。
「何だろう。外傷は見当たらない。でも息をしていないから死んでいるとは思うんだけどね」
リンネは倒れていた魔人に近づき、調べてからそんなことを言った。
「それ、AIM君が戦った相手とよく似ている状態だね」
「っ!はぁ。ねえAIM、自分のステータス画面を開いてみて」
リンネは何かに気付いた顔をした後、何かを見てため息をつき、俺にそう言った。
「なんだこのレベル」
そこに表示されていたレベルはなんと15443。最早桁が違っていた。
「二人とも、とりあえず付いてきて」
そう話すリンネの表情は軽く死んでいた。
リンネは周囲を一切警戒することなく、ただ真っすぐ歩くだけ。
そして一番奥にあった一番高級そうな扉を躊躇いなく開いた。
「やっぱりかあ……」
扉の中には次の層へ向かう階段と、椅子に座ったまま目を閉じている魔王の姿があった。
「何か分かったのか?」
「何もかも、全部理解したよ」
そう返事をするリンネは少し怒っているような、すねているような表情をしていた。
「AIM!君がこの世界に居る全ての敵を倒してしまったんだよ!だからこの世界の冒険は楽だったの!」
「「は?」」
意味が分からない俺たちは、そう返す事しか出来なかった。
「AIMの命中が高くなりすぎて、当たり判定がこの世界全てに広がっちゃったんだよ。その結果、敵全ての内臓を破壊して、異次元のレベルアップを果たしたんだよ」
「別にそこまで広がるほどじゃないと思うが?」
命中のステータスはボス討伐時の3.5倍程しかない。それだけでここまでの差が生まれるか?
「多分体内から体外に当たり判定を出すまでに必要な命中がかなり要求値が高くて、出てからは広がりやすくなっているんじゃない?」
「そんなもんか?」
「それしか考えられないからね。現にこうなっているわけだし」
リンネの言う通り確かにレベルの上昇幅がおかしいし、魔王は既に死んでいるしな。
「そういえば何で私達にはダメージが無いの?それだけ当たり判定が広いなら真横に居た私達とか何回も死んでそうだけど」
若干納得しかけたタイミングで、涼がそんな事を言った。確かにそれなら巻き込み事故を起こすな。
「敵対する相手じゃないからだと思うよ。あの教会に結構生きている魔人が居たし」
「なるほどね。めちゃくちゃ便利だね」
「世界に存在する敵をAIMは好きな時に殺せるってことになるからめちゃくちゃ恐ろしい存在になっちゃったけどね」
「確かに」
「やっぱり命中は最強ってことだな!見たか!地球の人間達よ!これが最強というものだ!」
俺は高笑いした後、カメラを全て回収し、独断で配信を切った。
「二人とも、帰って良い?」
そして、俺は二人にそう尋ねた。
俺の様子を見てか、2人は同意してくれた。
レベルが1万の大台を超えていたのは俺だけではなくリンネと涼もだったため、帰りは1時間もかからなかった。
「レベル1万って本当なんですか!?!?!?」
「本当なら世界一の冒険者となるわけですが、お気持ちをどうぞ!」
「AIMさん!命中の秘密について説明お願いします!」
高笑いした後に配信を切り、何も伝えずに帰ってきたはずなのだが、ダンジョンの出口は大量の記者で埋め尽くされていた。
「リンネ、頼む」
「後でご飯奢ってね」
「勿論だ」
「じゃあAIM君、捕まってね」
記者たちの相手はリンネに任せ、俺は涼に背負ってもらい、一般人には補足できないレベルのスピードを出して帰った。
「なんだろうな。この嬉しいけど悲しい複雑な感情は」
「周人君が一番大事にしていたエイム力を結果的に全否定されたようなものだしね」
「そうなんだよな……」
一応今までは完璧なコントロールの副産物として弱点を表に出してくれるという形だった。つまりエイム力が高くなければ成立しない状態だった。
だが、階層の入り口から階層ボスを討伐出来るのは違うだろ。
それはただブーメランを投げるだけの単純作業じゃないか。
「話題性も強さも完璧なのは良いが、いずれ飽きられるのは間違いんだよな」
ブーメラン投げて道を散歩するだけの生放送とか見ていても面白くないだろ。
「かと言って強さを捨てるのは少し違うんだよな……」
リンネの時と違って目的が無い。ただ弱くなるための初期化はな……。
それに今の俺が初期化しても冒険を純粋に楽しめるわけが無い。
「チーターになるってこんな気分なのかもね」
「そうだな。無敵の強さを体感してしまったら元に戻ることは出来ない。闇落ちする輩が後を絶たないわけだ」
「いやあまさかこうなるとは」
「巻き込んでしまってすまない」
一応涼とリンネは命中に特化していないので俺みたいな理不尽な攻撃は出来ないが、レベル差で全てを圧倒できてしまうからな。
「別に私は良いよ。君のお陰でブーメランが最強の武器だってことを世界に証明できたから。それでチャラだよ」
「そうだな。ブーメランは最強だ」
「何しんみりしているのさ」
2人で話していると、記者からの質問を答え終えたであろうリンネが戻ってきた。
「仕方ないだろ。今の俺はエイムが要らないんだから」
「それは深刻だ」
俺のエイムへの信仰心を誰よりも知っているリンネはその一言で納得してくれた。
「で、AIMはこれからどうするの?隠居?出来ない気がするけど」
絶対居場所を突き止めてダンジョンに引っ張り出してくるだろうからな……
「定期的にS級ダンジョンに潜って攻略を進めるって形になるだろうな。別にダンジョンに潜る事自体が嫌になったわけじゃないからな」
色んな世界を見て回ることは楽しいからな。
「それなら良かった」
「「良かった?」」
「いや、悪魔の死体をギルドの人に渡した際に少し聞いてみたんだよ。異世界の言葉を翻訳することは可能なのかって。そしたら、異国の人と話している映像を見せれば最初は時間かかるかもしれないけれどある程度リアルタイムでも出来るって」
「なるほど」
言語ガチャに失敗しても会話が出来るのなら全ての街を訪れることが出来るだろうし選択肢は広がるか。
「僕たちのレベルは他のS級と比べても異常に高いから絶対に死なないし、なんなら翻訳の為の学者を連れていくことだって出来る」
「ただ配信として絵がしょぼい気がするけど。移動時間とか」
「走れば良いでしょ。それに異世界の言語を翻訳する人だけが生放送を見れば良いだから後で動画にしちゃえば間延びもしないよ」
「天才か!?」
そうと決まってからの俺たちの行動は早かった。俺たちのスポンサーになろうとしている企業達経由で言語の解読を専門としている方々をかき集め、約一週間で一大グループを結成した。
「『恐らくガヨウは肉だが果物みたいに甘いって言っています』」
「助かる。 ————(3人分欲しい。いくらだ?)」
「————(毎度あり!)」
「見た目も食感も完全に肉なのに味は桃とミカンの中間みたいな感じなの面白いね」
「確かに。でもちゃんと美味しいの不思議」
「デザートにしたいように見えるが多分普通に肉っぽく調理した方が上手そうだな」
俺たちはガチでダンジョンを攻略するタイプの冒険者からバラエティ重視のエンジョイ系っぽい冒険者へと変わった。
「この階層は危険そうだし一掃しておこう」
「分かった」
とはいっても世界一の冒険者ではあるため定期的に強さを見せつけるのだが。
最初はただの旅番組だから視聴者は減るだろうなと思っていたのだが、寧ろ爆増した。
というのも動画がしっかりと翻訳されているため、どの国の住人だろうがどの言語を使用していようが全てを理解できる仕様になっていた為だ。
冒険者が戦う姿を求めていた層は居なくなってしまったらしいが、未知の世界やモンスターを見てみたいという好奇心で見ていた層の心をがっちりと掴んでいた。
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