1 / 1
数値化された世界
しおりを挟む
とある日、世界的な企業が人の能力値を数値化することに成功した。細かい分野に関しては対応していないが、筋力や知力といった値を正確に評価できるようになったということで、世の中が変わった。
まず起こったこととしては、就職活動への影響だ。良い学歴を持っていることがあまり意味を持たなくなったのだ。今まで必死に勉強したからといって知力が低いとあまり評価されなくなった。
とはいっても、学歴と大きく乖離している人間はあまりいないために大体は評価は変わらない。ただ、少なくとも良い大学に行くためだけに勉強する必要は無くなったのだ。今は自分の能力値を少しでも上げることが何よりも重要な時代となった。
俺はそんな世の中になったからといって生活を変えることもなかった。別に何があったとしても自分の能力値を見せられれば良いのだ。この世界はより一層それが表現しやすくなったので寧ろ都合が良い。
俺は自分の能力値の中では知力が高い方の人間らしい。記憶力は並より多少マシなだけだが別に大したことはない。
スポーツ界に行くのであれば身体能力に関する能力値である速さ、力など様々な項目が評価される。しかしそれ以外の分野、社会に出て働くという分野では何よりも知力が優先される。
俺は知力を活かすべく社会に出て働く方を選んだ。そのため俺は来年より就職活動を行うことになる。
俺は来年の就職活動を嫌だなと思いつつもゲームを起動した。レベルを上げて強い敵と戦うよくあるRPGゲームである。
実はこの系統のゲーム、最近になって一気に廃れた分野である。それもそうなのだが、現実もレベル制のような世界になったのにゲームでも現実を味わいたくないと考える人が多かったからだ。
まあ当然である。ゲームを現実から離れた娯楽と考える人も多いのだ。わざわざ現実のようなことをしたくないと考える人も多いだろう。
俺はそれでもこのゲームが好きだ。自分の努力が目に見えて分かり、その成果がきちんと出る。それが俺は楽しいのだ。
そんなこともあり俺は現実世界においても楽しみが増えた。現実においてもレベル上げが出来て成果がはっきり出るなんて楽しくてしょうがない。
俺はゲームを楽しみつつ、それ以外の時間は自己研鑽に励んだ。
この世にある様々な脳を使うゲームを楽しみ、様々な小説などの本を読み多くの世界を味わった。
特に俺の趣味というわけではないものの、自分の数値が目に見えて伸びていくのが楽しいあまりに知力を上げることに没頭していた。
そして俺は翌年、就職活動を始めた。元々知力が高かったためにその時点でもそこそこの所に就職出来たようだが、現在の俺はそれよりも知力が上がっており、引く手あまたな状態である。
他の人達は少し影響はあったらしいが今まで通りの暮らしをしている。実際には大きな変化は無いと思っているからだ。
しかし、俺は思う。数値化された世界に変わったことはつまり、この世界がゲームと化したことと同義である。
まず起こったこととしては、就職活動への影響だ。良い学歴を持っていることがあまり意味を持たなくなったのだ。今まで必死に勉強したからといって知力が低いとあまり評価されなくなった。
とはいっても、学歴と大きく乖離している人間はあまりいないために大体は評価は変わらない。ただ、少なくとも良い大学に行くためだけに勉強する必要は無くなったのだ。今は自分の能力値を少しでも上げることが何よりも重要な時代となった。
俺はそんな世の中になったからといって生活を変えることもなかった。別に何があったとしても自分の能力値を見せられれば良いのだ。この世界はより一層それが表現しやすくなったので寧ろ都合が良い。
俺は自分の能力値の中では知力が高い方の人間らしい。記憶力は並より多少マシなだけだが別に大したことはない。
スポーツ界に行くのであれば身体能力に関する能力値である速さ、力など様々な項目が評価される。しかしそれ以外の分野、社会に出て働くという分野では何よりも知力が優先される。
俺は知力を活かすべく社会に出て働く方を選んだ。そのため俺は来年より就職活動を行うことになる。
俺は来年の就職活動を嫌だなと思いつつもゲームを起動した。レベルを上げて強い敵と戦うよくあるRPGゲームである。
実はこの系統のゲーム、最近になって一気に廃れた分野である。それもそうなのだが、現実もレベル制のような世界になったのにゲームでも現実を味わいたくないと考える人が多かったからだ。
まあ当然である。ゲームを現実から離れた娯楽と考える人も多いのだ。わざわざ現実のようなことをしたくないと考える人も多いだろう。
俺はそれでもこのゲームが好きだ。自分の努力が目に見えて分かり、その成果がきちんと出る。それが俺は楽しいのだ。
そんなこともあり俺は現実世界においても楽しみが増えた。現実においてもレベル上げが出来て成果がはっきり出るなんて楽しくてしょうがない。
俺はゲームを楽しみつつ、それ以外の時間は自己研鑽に励んだ。
この世にある様々な脳を使うゲームを楽しみ、様々な小説などの本を読み多くの世界を味わった。
特に俺の趣味というわけではないものの、自分の数値が目に見えて伸びていくのが楽しいあまりに知力を上げることに没頭していた。
そして俺は翌年、就職活動を始めた。元々知力が高かったためにその時点でもそこそこの所に就職出来たようだが、現在の俺はそれよりも知力が上がっており、引く手あまたな状態である。
他の人達は少し影響はあったらしいが今まで通りの暮らしをしている。実際には大きな変化は無いと思っているからだ。
しかし、俺は思う。数値化された世界に変わったことはつまり、この世界がゲームと化したことと同義である。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
消息不明になった姉の財産を管理しろと言われたけど意味がわかりません
紫楼
ファンタジー
母に先立たれ、木造アパートで一人暮らして大学生の俺。
なぁんにも良い事ないなってくらいの地味な暮らしをしている。
さて、大学に向かうかって玄関開けたら、秘書って感じのスーツ姿のお姉さんが立っていた。
そこから俺の不思議な日々が始まる。
姉ちゃん・・・、あんた一体何者なんだ。
なんちゃってファンタジー、現実世界の法や常識は無視しちゃってます。
十年くらい前から頭にあったおバカ設定なので昇華させてください。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる