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最終話
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「本当に全敗するとは思わなかった……」
確かに京さんは最強だ。先程はラスボスだと表現したが、正確には負けイベントに出てくる絶対に勝てないタイプのボスに近い。
だけど、普通全敗しますかね。何個かは俺が有利そうな科目で勝負を挑んだんですが。
身体能力が高いからスポーツ系は初見で強いのは分かる。でもどうしてやったことが無いゲームで経験者に勝てるんだよ。あれ身体能力とかそこら辺一切関係ないでしょうが。
もっと言えば運ゲーですら完全勝利ってなんだよ。あっち向いてホイなら勝ち目があるかなと思ったら、じゃんけんに全敗した上で一発で方向当てられて負けたよ。しかも3回連続で。
「当然だ。私は姉だからな」
「理由になってないよ……」
そんな現実離れした結果を姉だからという意味不明な理由で説明しないで欲しい。
「今回私は姉だから全勝したわけだが、やはり本気を出した弟は凄い。だろう、2人とも?」
「そうね。凄かったわ、渚くん。かっこよかったよ」
と対決の様子を見届けてくれていたゆかりさんは褒めてくれた。若干距離を置かれたり弟として見られなくなったりするかなと思ったが、ゆかりさんはいつもと変わりなかった。
「そうだな。全力を隠しているという話は聞いていたが、ここまでとは思わなかったな。良かったぞ。そうだ、マッサージの後とかで良いから私に料理を振る舞ってくれないか?」
見守ってくれていたもう一人の燐さんは最初から事情を知っていたのでそこまで驚いている印象はなかったのだが、料理だけはやたらと驚いていた。料理対決で俺と京さんの料理を食べていた時の笑顔が眩しくて本当に素晴らしかったです。
「二人とも高評価のようで良かった。まあ私の弟だから当然ではあるんだがな!」
そんな二人の様子を見て嬉しそうに笑う京さん。
「じゃあ今日は夜も遅いから解散だな」
と京さんがそう言ったので時計を見ると既に夜8時を回っていた。
「そうだね。二人とも今日はありがとうございました」
「良いよ。見ていて楽しかったから」
「ああ。超人同士の戦いってのは中々お目にかかれるものじゃないからな。定期的に開催して欲しい。絶対に見に行く」
「ではな!」
「ありがとうございました!」
「またな」
「また明日ね」
そう言ってゆかりさんと燐さんは俺の家から出ていった。
「では私も帰るとするか。本音は今日は勝負で疲れたから添い寝で疲れを癒してほしいんだがな」
「姉さんの力が強すぎてこっちの疲れが取れなくなるので無理だね。今日は本当にありがとう」
「だな。今日は特に歯止めが効かない自信がある。だがいつか添い寝してもらうからな。またな!!」
京さんは俺に否定の言葉を言わせることなく家から出ていった。
「ったくもう……」
こちらとしても嬉しい話だから良いんだけどね。今日しらた本当の意味で命の危機に陥りかねないから無理なだけで。
「何だろう」
戸締りをしてからベッドの上に座り、今日の勝負の事を思い返していたら誰かから連絡が来た。
「燐さんだ。忘れ物とかかな」
中身を見るために燐さんから来たメッセージを開く。
『少年の敬愛する姉たちは、言った通り本気の少年の姿を見た所で何も変わらなかっただろう?』
メッセージ画面にはそう書かれていた。
「そうですね。何を怖がっていたんでしょうか」
『まあ少年の言う通り今後姉のような存在が現れる可能性は限りなく低くなってしまったのは事実だがな』
「それはそうですね。でもよくよく考えたらそれで良かったんです。今俺と関わってくれているお姉さんで満ち足りています」
そもそも現時点で多すぎて疲れると困っていたのに、これ以上増やす意味がどこにあったのかという話だ。別に不満があったわけでもないのに。
『そうか、なら良かった』
「本当にありがとうございました」
俺は燐さんにそう返し、画面を消した。
「将来現れる人じゃなくて、今の関係を大事にしよう。そして俺なりの全力でお姉さんを幸せにするんだ」
だから今からやることは当然————
確かに京さんは最強だ。先程はラスボスだと表現したが、正確には負けイベントに出てくる絶対に勝てないタイプのボスに近い。
だけど、普通全敗しますかね。何個かは俺が有利そうな科目で勝負を挑んだんですが。
身体能力が高いからスポーツ系は初見で強いのは分かる。でもどうしてやったことが無いゲームで経験者に勝てるんだよ。あれ身体能力とかそこら辺一切関係ないでしょうが。
もっと言えば運ゲーですら完全勝利ってなんだよ。あっち向いてホイなら勝ち目があるかなと思ったら、じゃんけんに全敗した上で一発で方向当てられて負けたよ。しかも3回連続で。
「当然だ。私は姉だからな」
「理由になってないよ……」
そんな現実離れした結果を姉だからという意味不明な理由で説明しないで欲しい。
「今回私は姉だから全勝したわけだが、やはり本気を出した弟は凄い。だろう、2人とも?」
「そうね。凄かったわ、渚くん。かっこよかったよ」
と対決の様子を見届けてくれていたゆかりさんは褒めてくれた。若干距離を置かれたり弟として見られなくなったりするかなと思ったが、ゆかりさんはいつもと変わりなかった。
「そうだな。全力を隠しているという話は聞いていたが、ここまでとは思わなかったな。良かったぞ。そうだ、マッサージの後とかで良いから私に料理を振る舞ってくれないか?」
見守ってくれていたもう一人の燐さんは最初から事情を知っていたのでそこまで驚いている印象はなかったのだが、料理だけはやたらと驚いていた。料理対決で俺と京さんの料理を食べていた時の笑顔が眩しくて本当に素晴らしかったです。
「二人とも高評価のようで良かった。まあ私の弟だから当然ではあるんだがな!」
そんな二人の様子を見て嬉しそうに笑う京さん。
「じゃあ今日は夜も遅いから解散だな」
と京さんがそう言ったので時計を見ると既に夜8時を回っていた。
「そうだね。二人とも今日はありがとうございました」
「良いよ。見ていて楽しかったから」
「ああ。超人同士の戦いってのは中々お目にかかれるものじゃないからな。定期的に開催して欲しい。絶対に見に行く」
「ではな!」
「ありがとうございました!」
「またな」
「また明日ね」
そう言ってゆかりさんと燐さんは俺の家から出ていった。
「では私も帰るとするか。本音は今日は勝負で疲れたから添い寝で疲れを癒してほしいんだがな」
「姉さんの力が強すぎてこっちの疲れが取れなくなるので無理だね。今日は本当にありがとう」
「だな。今日は特に歯止めが効かない自信がある。だがいつか添い寝してもらうからな。またな!!」
京さんは俺に否定の言葉を言わせることなく家から出ていった。
「ったくもう……」
こちらとしても嬉しい話だから良いんだけどね。今日しらた本当の意味で命の危機に陥りかねないから無理なだけで。
「何だろう」
戸締りをしてからベッドの上に座り、今日の勝負の事を思い返していたら誰かから連絡が来た。
「燐さんだ。忘れ物とかかな」
中身を見るために燐さんから来たメッセージを開く。
『少年の敬愛する姉たちは、言った通り本気の少年の姿を見た所で何も変わらなかっただろう?』
メッセージ画面にはそう書かれていた。
「そうですね。何を怖がっていたんでしょうか」
『まあ少年の言う通り今後姉のような存在が現れる可能性は限りなく低くなってしまったのは事実だがな』
「それはそうですね。でもよくよく考えたらそれで良かったんです。今俺と関わってくれているお姉さんで満ち足りています」
そもそも現時点で多すぎて疲れると困っていたのに、これ以上増やす意味がどこにあったのかという話だ。別に不満があったわけでもないのに。
『そうか、なら良かった』
「本当にありがとうございました」
俺は燐さんにそう返し、画面を消した。
「将来現れる人じゃなくて、今の関係を大事にしよう。そして俺なりの全力でお姉さんを幸せにするんだ」
だから今からやることは当然————
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