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18話
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「やあ皆。もしかして僕に会いに来てくれたのかい?嬉しいなあ、照れちゃうよ」
教室に来るなり、俺たちを迎えてくれたのは目的の杉野だった。
「お前のせいで俺たちは大変だったんだからな」
普通のメイド服で接客するだけでも上位に行けたはずなのに、企業が介入したせいで無駄に大変な思いをする羽目になったのだ。
「僕は悪くないよ。悪いのは涼野さんをメイド服にしようと言った君たちのクラスだよ」
ぐうの音も出ない。最初のうちに止めておけば良かったのだ。無理だろうけど。
「んで、これはなんなんだ?」
「お化け屋敷だよ」
「確かにそう書いてあるけれども」
杉野の言う通り、看板にお化け屋敷としっかり描かれている。そこの否定はしようがない。だってお化け屋敷と書いてあるから。
「どう見ても怖く無さそうなんだけれど」
涼野の指摘の通り、全く怖くなさそうなのだ。
「可愛いね、これ!」
京が外装に興味を示している通り、ホラーというよりはファンシーな雰囲気である。
外装だけ見ればサン○オとか言われても仕方のないものだった。
「涼野さんが絡む以上、大学生くらいまでの若い世代の人が多数来ると確信していたからね。映えを重視してみたんだ」
こいつ、涼野を使って上手にハイエナしてやがる。
確かに、他校の制服を着た学生や、大学生と思われる人たちが教室の前で自撮りをしたり動画撮影をしたりしていた。
「じゃあ中身は怖くないの?」
と京は残念そうに聞く。京はホラーが大好きだからな。映えよりも怖さの方が大事らしい。
「あんな感じ」
そう言って杉野は出口を指差した。
「「ギャー!」」
他校の生徒らしき人が叫び声をあげながら教室から出てきた。
「あれなら十分だね」
よく見ると、受付に並んでいる人たちには映えを意識した若者だけでなく、ホラーを好んでやってきていそうな人も一定数存在した。
一人でやってきた30代以上の方々だ。
特に男性の人たちがこんなファンシーなお化け屋敷にたくさん集うとは思えない。確かにそういうのが好きな人が世の中にたくさんいるのは分かるが、一応少数派だ。しかも土日休みを使ってまでここに来るということを考えたらやっぱりお化け屋敷の怖さが格別なのだろう。
「じゃあ入ろうか」
俺たちは列に並び、順番を待つことにした。
大体15分程待たされたのち、順番が来たので入ることに。
ただ、教室の広さの都合上4人入れる設計にはなっていなかったらしく、涼野の申し出により俺と京、涼野と大のペアで入ることになった。
大が順番を譲ってくれたので先に中に入ることに。
「凄く凝ったセットだな」
「ねー。どうやって作ったんだろ」
杉野のクラスなので衣装の方に気合が入っているのかと思いきや、セットが会心の出来だった。教室の前を通る際に段ボールの山が積まれていたので段ボールで作られているのは確実なのだが、そう思わせない完成度の高さがうかがえる。
「この井戸とか本物の石で」
「私の井戸に引きずり込んでやる!!!」
と井戸を観察しようと思うと突然白装束の女性が現れ、俺を井戸の中に引きずり込もうとしてきた。凄い力だ。本当に女子か?
「やばいってうわ!」
引き抜こうと思い体を使って引き剝がそうとするときに顔が見えた。
その顔から眼が剥がれ落ちており、皮膚もドロドロとろうそくの蝋のように溶け落ちているようだった。
特殊メイクなのだろうが、咄嗟にそんなことを見せられると、恐怖で力が抜けてしまう。
「京!」
このまま引っ張られると不味いと思った俺は京の力も借りようと背後を見る。しかしそこには京の姿は無かった。
「どこ行った?」
俺は女の手を強引に引き離し、京を探す。そんなに時間が経っていないし何なら部屋も狭いからすぐ見つかるはずなんだけれど。
「あ、いた」
と思ったらすぐ見つかった。何故か分からないけれど京はお化けに抱き着いていた。
「何してるの?」
「この子、可愛い」
抱き着いていたのは座敷童。特殊メイクで顔面に血が垂れてはいるけれど、確かに可愛らしい女の子だと思う。
「困っているから、話してあげて」
「あ、ごめん」
「うん……」
少し気まずかったので、俺は京を連れてさっさとお化け屋敷から出た。
「どうだった?」
部屋から出ると、杉野が待っていた。
「楽しかった!」
「確かに怖かったんだけど、京がな」
「何があったの?」
杉野は中で何が起こっていたのかが分からないので困惑していた。
「座敷童が可愛いって京が抱き着いてな。怖いって気持ちが全て吹っ飛んだ」
「ああ……木吉さんか。確かにあの座敷童は可愛いよね」
もしかしたらそれ目的で集まっているのかもと思える位だった。
「ただ普通に良かった。行列が出来るだけはあると思う」
「なら良かった」
そして数分後、涼野と大が出てきた。
「案外ここ怖くなかったわね」
「何を言ってんだ。めちゃくちゃビビってたろ」
「うっさい!黙れ!」
どうやら涼野はお化け屋敷が苦手なようだ。
自分では平静を保てていると思っているのだろうが、思いっきり涙目だし、出てきた瞬間は大に抱きついていた。
「何はともあれ、2人も楽しんでくれたようで何より」
大はお化け屋敷そのものってよりは涼野の反応を見て楽しんでいた気がするけど。
大は出てきた時ニッコニコだったし。
「まあ、出来は良かったんじゃない?」
「ありがとう」
俺たちは杉野と別れ、他の所を回ることに。
「ここ行こうよ!」
「そうだな。行くか」
教室に来るなり、俺たちを迎えてくれたのは目的の杉野だった。
「お前のせいで俺たちは大変だったんだからな」
普通のメイド服で接客するだけでも上位に行けたはずなのに、企業が介入したせいで無駄に大変な思いをする羽目になったのだ。
「僕は悪くないよ。悪いのは涼野さんをメイド服にしようと言った君たちのクラスだよ」
ぐうの音も出ない。最初のうちに止めておけば良かったのだ。無理だろうけど。
「んで、これはなんなんだ?」
「お化け屋敷だよ」
「確かにそう書いてあるけれども」
杉野の言う通り、看板にお化け屋敷としっかり描かれている。そこの否定はしようがない。だってお化け屋敷と書いてあるから。
「どう見ても怖く無さそうなんだけれど」
涼野の指摘の通り、全く怖くなさそうなのだ。
「可愛いね、これ!」
京が外装に興味を示している通り、ホラーというよりはファンシーな雰囲気である。
外装だけ見ればサン○オとか言われても仕方のないものだった。
「涼野さんが絡む以上、大学生くらいまでの若い世代の人が多数来ると確信していたからね。映えを重視してみたんだ」
こいつ、涼野を使って上手にハイエナしてやがる。
確かに、他校の制服を着た学生や、大学生と思われる人たちが教室の前で自撮りをしたり動画撮影をしたりしていた。
「じゃあ中身は怖くないの?」
と京は残念そうに聞く。京はホラーが大好きだからな。映えよりも怖さの方が大事らしい。
「あんな感じ」
そう言って杉野は出口を指差した。
「「ギャー!」」
他校の生徒らしき人が叫び声をあげながら教室から出てきた。
「あれなら十分だね」
よく見ると、受付に並んでいる人たちには映えを意識した若者だけでなく、ホラーを好んでやってきていそうな人も一定数存在した。
一人でやってきた30代以上の方々だ。
特に男性の人たちがこんなファンシーなお化け屋敷にたくさん集うとは思えない。確かにそういうのが好きな人が世の中にたくさんいるのは分かるが、一応少数派だ。しかも土日休みを使ってまでここに来るということを考えたらやっぱりお化け屋敷の怖さが格別なのだろう。
「じゃあ入ろうか」
俺たちは列に並び、順番を待つことにした。
大体15分程待たされたのち、順番が来たので入ることに。
ただ、教室の広さの都合上4人入れる設計にはなっていなかったらしく、涼野の申し出により俺と京、涼野と大のペアで入ることになった。
大が順番を譲ってくれたので先に中に入ることに。
「凄く凝ったセットだな」
「ねー。どうやって作ったんだろ」
杉野のクラスなので衣装の方に気合が入っているのかと思いきや、セットが会心の出来だった。教室の前を通る際に段ボールの山が積まれていたので段ボールで作られているのは確実なのだが、そう思わせない完成度の高さがうかがえる。
「この井戸とか本物の石で」
「私の井戸に引きずり込んでやる!!!」
と井戸を観察しようと思うと突然白装束の女性が現れ、俺を井戸の中に引きずり込もうとしてきた。凄い力だ。本当に女子か?
「やばいってうわ!」
引き抜こうと思い体を使って引き剝がそうとするときに顔が見えた。
その顔から眼が剥がれ落ちており、皮膚もドロドロとろうそくの蝋のように溶け落ちているようだった。
特殊メイクなのだろうが、咄嗟にそんなことを見せられると、恐怖で力が抜けてしまう。
「京!」
このまま引っ張られると不味いと思った俺は京の力も借りようと背後を見る。しかしそこには京の姿は無かった。
「どこ行った?」
俺は女の手を強引に引き離し、京を探す。そんなに時間が経っていないし何なら部屋も狭いからすぐ見つかるはずなんだけれど。
「あ、いた」
と思ったらすぐ見つかった。何故か分からないけれど京はお化けに抱き着いていた。
「何してるの?」
「この子、可愛い」
抱き着いていたのは座敷童。特殊メイクで顔面に血が垂れてはいるけれど、確かに可愛らしい女の子だと思う。
「困っているから、話してあげて」
「あ、ごめん」
「うん……」
少し気まずかったので、俺は京を連れてさっさとお化け屋敷から出た。
「どうだった?」
部屋から出ると、杉野が待っていた。
「楽しかった!」
「確かに怖かったんだけど、京がな」
「何があったの?」
杉野は中で何が起こっていたのかが分からないので困惑していた。
「座敷童が可愛いって京が抱き着いてな。怖いって気持ちが全て吹っ飛んだ」
「ああ……木吉さんか。確かにあの座敷童は可愛いよね」
もしかしたらそれ目的で集まっているのかもと思える位だった。
「ただ普通に良かった。行列が出来るだけはあると思う」
「なら良かった」
そして数分後、涼野と大が出てきた。
「案外ここ怖くなかったわね」
「何を言ってんだ。めちゃくちゃビビってたろ」
「うっさい!黙れ!」
どうやら涼野はお化け屋敷が苦手なようだ。
自分では平静を保てていると思っているのだろうが、思いっきり涙目だし、出てきた瞬間は大に抱きついていた。
「何はともあれ、2人も楽しんでくれたようで何より」
大はお化け屋敷そのものってよりは涼野の反応を見て楽しんでいた気がするけど。
大は出てきた時ニッコニコだったし。
「まあ、出来は良かったんじゃない?」
「ありがとう」
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