42 / 53
42話
しおりを挟む
今回に関してはサキを活躍させて勝利するのは難しいな。普通のデッキでは勝てないからな。
とりあえずブリリアントソードを使われて負けることが無いように対策を取りつつ時間を稼ぐか。
「『音神ラブ』を召喚。ブリリアントソードは一旦待ってもらおうか」
「別に良いけど、盤面が大変なことになるだけだよ?」
「そうだな。だが少し待て」
私は相手の呪文を封じ、手札が整うのを待った。
こちらの呪文を封じる手が止まれば勝利だと確信している二人は私の妙な行動の対策をすることもなく、ただ盤面を広げていた。
カードプールを知っているが故の油断だろうな。1枚で盤面を崩せるカード等存在しないと。
「ではゲーム終了の時間だ。『絶望の星』を使用——」
私はループを始動した。
「うそん」
「それ本当に使う人居るんだ……」
するとすぐに二人は私が時間稼ぎした理由に気づいたらしく唖然としていた。
まあ仕方ない。これは一般的には5種類のカードが必要なループだからな。まともにカードを揃えようとすると時間がかかりすぎて弱すぎる。
しかし、私にはサキが居るからな。序盤に何もできなかったとしても特に問題は無い。
「というわけで私の勝ちだ」
一度始動したループを私が間違える筈もなく、何事もなく特殊勝利条件を満たし、私たちが優勝した。
とそんな過程はどうでも良い。勝利して優勝賞品を獲得した、この事実が何よりも大事なんだ。
私たちは優勝賞品としてペア旅行券を貰い、無事に案件は終了した。
「さて、何がどうなっているんだ?」
それから数日後、正式に受け取ったペア旅行券を利用し私は神奈川県に来ていた。
勝利した私とサキが海に居るのは理解できる。私たちが行かなければ嘘だからな。
そして、
「いやあ、海なんていつぶりだろうか」
私の隣に次葉が居ることも分かる。流石に付き合ってない男女二人で旅行に行くのは健全じゃないだろうという判断で私が呼んだからな。
しかし、
「どうしてお前が居るんだ?」
「どうしてって誘われたからに決まっているでしょ」
「誘われたとしても普通来ないだろ。あの案件の時に私に何を言ったか忘れたのか?」
「何の事?別に変な事を言った記憶はないけど」
冴木、どうしてお前がここにいる。
「配信業を引退してほしいって言ってただろうが」
「ああ、アレ?確かに配信業は今でも辞めてほしいとは思ってるよ」
「ならなぜ来たんだ」
そのくらい嫌いな人が居るならふつう来ないだろう。絵馬と違ってサキの大ファンとかでも無いだろうに。
「それは勿論ファンだからに決まってるじゃないですか」
「サキか?」
「違うよ、優斗さんだよ」
「は?」
「え?」
「私のファンなのに私に配信業を辞めてほしい?」
「うん。ファンなら当然でしょ」
「は?」
何を言っているのか一切分からない。誰がどうみても矛盾しているだろ。
「というわけだからよろしくね」
「というわけじゃない。ちゃんと説明しろ」
「説明したでしょ?」
「どこがだよ」
「うん、私が代わりに説明しようか」
全く理由を説明しようとしない冴木に代わり、次葉が何故か理由を説明してくれた。
「そうかそうか!!!今日はよろしくな!!!!!!!!!!!!!!」
いや、まさかそういうことだとは思わなかった。
だから私は冴木の気持ちに気づけなかったお詫びの意味合いで全力でファンサをすることにした。
半分くらい私が嬉しいからという理由もあるがな。
「うん、気持ちが伝わってくれて良かったよ。だけど、そういうことは求めてないかな……」
硬く握手を交わした後、肩を組んで一緒に写真を撮ろうとしたのだが、冴木は何故か嫌な顔をしていた。
「そうか、好きな相手と距離感が近いのは恥ずかしかったか。すまなかった」
ついついやりすぎてしまった。嬉しいことでも過剰だと辛いか。
「そういう意味じゃないと思うよ……」
と反省をしていると、サキが何故か呆れた顔をしてそんなことを言っていた。
とりあえずブリリアントソードを使われて負けることが無いように対策を取りつつ時間を稼ぐか。
「『音神ラブ』を召喚。ブリリアントソードは一旦待ってもらおうか」
「別に良いけど、盤面が大変なことになるだけだよ?」
「そうだな。だが少し待て」
私は相手の呪文を封じ、手札が整うのを待った。
こちらの呪文を封じる手が止まれば勝利だと確信している二人は私の妙な行動の対策をすることもなく、ただ盤面を広げていた。
カードプールを知っているが故の油断だろうな。1枚で盤面を崩せるカード等存在しないと。
「ではゲーム終了の時間だ。『絶望の星』を使用——」
私はループを始動した。
「うそん」
「それ本当に使う人居るんだ……」
するとすぐに二人は私が時間稼ぎした理由に気づいたらしく唖然としていた。
まあ仕方ない。これは一般的には5種類のカードが必要なループだからな。まともにカードを揃えようとすると時間がかかりすぎて弱すぎる。
しかし、私にはサキが居るからな。序盤に何もできなかったとしても特に問題は無い。
「というわけで私の勝ちだ」
一度始動したループを私が間違える筈もなく、何事もなく特殊勝利条件を満たし、私たちが優勝した。
とそんな過程はどうでも良い。勝利して優勝賞品を獲得した、この事実が何よりも大事なんだ。
私たちは優勝賞品としてペア旅行券を貰い、無事に案件は終了した。
「さて、何がどうなっているんだ?」
それから数日後、正式に受け取ったペア旅行券を利用し私は神奈川県に来ていた。
勝利した私とサキが海に居るのは理解できる。私たちが行かなければ嘘だからな。
そして、
「いやあ、海なんていつぶりだろうか」
私の隣に次葉が居ることも分かる。流石に付き合ってない男女二人で旅行に行くのは健全じゃないだろうという判断で私が呼んだからな。
しかし、
「どうしてお前が居るんだ?」
「どうしてって誘われたからに決まっているでしょ」
「誘われたとしても普通来ないだろ。あの案件の時に私に何を言ったか忘れたのか?」
「何の事?別に変な事を言った記憶はないけど」
冴木、どうしてお前がここにいる。
「配信業を引退してほしいって言ってただろうが」
「ああ、アレ?確かに配信業は今でも辞めてほしいとは思ってるよ」
「ならなぜ来たんだ」
そのくらい嫌いな人が居るならふつう来ないだろう。絵馬と違ってサキの大ファンとかでも無いだろうに。
「それは勿論ファンだからに決まってるじゃないですか」
「サキか?」
「違うよ、優斗さんだよ」
「は?」
「え?」
「私のファンなのに私に配信業を辞めてほしい?」
「うん。ファンなら当然でしょ」
「は?」
何を言っているのか一切分からない。誰がどうみても矛盾しているだろ。
「というわけだからよろしくね」
「というわけじゃない。ちゃんと説明しろ」
「説明したでしょ?」
「どこがだよ」
「うん、私が代わりに説明しようか」
全く理由を説明しようとしない冴木に代わり、次葉が何故か理由を説明してくれた。
「そうかそうか!!!今日はよろしくな!!!!!!!!!!!!!!」
いや、まさかそういうことだとは思わなかった。
だから私は冴木の気持ちに気づけなかったお詫びの意味合いで全力でファンサをすることにした。
半分くらい私が嬉しいからという理由もあるがな。
「うん、気持ちが伝わってくれて良かったよ。だけど、そういうことは求めてないかな……」
硬く握手を交わした後、肩を組んで一緒に写真を撮ろうとしたのだが、冴木は何故か嫌な顔をしていた。
「そうか、好きな相手と距離感が近いのは恥ずかしかったか。すまなかった」
ついついやりすぎてしまった。嬉しいことでも過剰だと辛いか。
「そういう意味じゃないと思うよ……」
と反省をしていると、サキが何故か呆れた顔をしてそんなことを言っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる