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当たり判定

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異世界に転移した。そして俺は今物語に出てくるような立派な玉座のある部屋にいた。

しかし王の姿はなく、姫様がいた。

「よくぞ来てくれました勇者様」

「勇者、ですか?」

「そうです。あなたが勇者です。これからこの国の勇者として魔王を倒していただきたいのです」

「そんなことを言われましても⋯⋯」

「大丈夫です。異世界からやってこられた勇者様にはとても強いスキルが与えられております。それを活用していただければ可能だと思われます」

「そうなんですか⋯⋯」

「とりあえずあなたのスキルを確認してみましょう」

そう言って姫様は近くにいた兵士にスキルを鑑定するためであろう道具を持ってこさせた。

「では、この水晶に手を触れてみてください」

俺は言われるがままに手を触れた。

書いてあったスキルは、当たり判定操作のスキルだった。

「当たり判定操作のスキルらしいです」

そう言うとあたりがざわついた。当たり判定なんてゲームでもやってないと知らない言葉だからな。

「私達には見当もつかないスキルです。勇者様には分かりますか?」

「はい。おそらくですが、攻撃に当たりにくくなるスキルですね。本来なら当たる攻撃も避けられるのではないのかと」

「そうなんですか。試してみることは出来ますか?」

「スキルなんて使ったことがないのでよく分かりませんので怪我しないように配慮していただからのであれば」

俺たちは早速スキルを試してみることにした。

おそらく兵士の中で1番剣術が上手いであろう人が出てきた。

念のため竹刀で試してくれるようだった。

まずは俺はどうにかスキルを発動する。

すると、当たり判定を動かす画面が出た。当たり判定の拡大や縮小、位置をずらす等の選択肢があった。

まずは当たり判定を縮小し、残った判定の位置を足にずらしてみた。

すると不思議なことが起こった。

兵士が降った剣は俺の体に間違いなく命中したはずだったのだが、俺の体をすり抜けた。

貫通したかのように見えたが一切ダメージどころか当たった感覚すらなかった。

その後色々試した結果、判定がなくなったところは透明化しているようなものらしかった。

そして終わった後握手をしようとした。

しかし手に当たり判定が無かったのですり抜けた。

日常生活に支障が出るタイプらしい。

しかしこのスキルかなり便利だ。当たり判定が無いことを利用し壁抜けなんてこともできてしまう。

戦闘だけではなく諜報もお手の物だ。

そんなスキルを手に入れた俺は最早無敵。誰にも負けることはない。

魔王にだって絶対負けないだろう。
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