月見坂高校アマ無は訳あり

クリヤ

文字の大きさ
12 / 20

(12)ハンディが動き出す条件

しおりを挟む
 一笑に付されることも覚悟で聞いたハンディのこと。
 先生は笑うどころか、三人が想定していなかったことを知っていた。

 「キミたちは、そもそも何でアマ無に入ったの?」
 「えっとぉ……」
 「うちはあれだな、中学に無い部活だからだな」
 「わたしも新しいことを始めてみたくて、ですね」
 「あたしは、しーちゃんに誘われてかな」
 「中学では違う部に入ってたんだろう?」
 「まぁ、そうですね」
 「中学にアマ無ってないじゃん?」
 「たしかにねぇなぁ」

 「中学の部活で、嫌なことがあったんじゃないかい?」
 「え? どういう意味です?」
 「どうして?」
 「答えたくねぇ」
 「いやいや、嫌なことの中身は答えなくていいよ」
 「じゃ、何を答えろってんだよ?」
 「あったか、なかったかってことだけでいいよ」
 「……あった」
 「ええ。ありました」
 「あたしも」
 「やはりそうか。前の2組も同じだったからね」

 ハンディが動き出す条件は、どうやらいつも同じ。
 アマ無の人数が3人になった時。
 その3人の仲が良いこと。
 それぞれが中学までに部活で嫌なことがあったこと。

 「その条件が整った時に、勝手に動き出すようなんだ」
 「ようなんだ、って先生は見たことないのかよ?」
 「うん、ないね」
 「ないね、って。だったら、なんで信じてるの?」
 「まぁ、まったく関係のない子たちが同じことを言うわけだから」
 「確かに、それは信じざるを得ないかも知れませんね」
 「それに、僕がどこかでハンディを見たとしてもね」
 「うん」
 「誰かが置き忘れてるな、って思うだけだし」
 「まぁ、そりゃ、そっか」

 「でも先生、ハンディは動くだけじゃないんです」
 「うん、それも知ってる」
 「まぢか」
 「ツーメーターに何か送ってくるんだろう?」
 「そう!」
 「で、キミらはお助けをしたってわけだ」
 「なんで、知ってるの⁉︎」
 「前とまったく同じパターンだからね」

 不穏な音声を送ってきたハンディにばかり気を取られていた三人。
 確かに、ツーメーターのほうも変わっていると気づかされた。

 「もしかして、ツーメーターも先生のお父さんの?」
 「そう。あれも父の愛用品だった」
 「じゃ、あいつらコンビで動いてたのか!」
 「ふふ。あいつらって。キミは面白いね」
 「面白がってるとこ悪いけど、あたしたちは……」
 「なんで、無線機がそんなことをするのか知りたいんだろ?」
 「そうです」
 「残念だけど、それだけは分からないんだよね」
 「なんだよ、まぢかよ!」
 「うん。1組目の子たちと結構頑張って考えたんだけど」
 「え? 先生が?」
 「ひどいな。僕も新任の頃は張り切っていたからね」
 「今はやる気なしってことか?」
 「ははっ。前は学校ものんびりしてたしねぇ」
 「ええ。母からよく聞きます」
 「あ、キミのお母さんも卒業生かぁ。あの頃は良かった……」
 「浸ってないで、考えてよ!」
 「だけど、無線機がメッセージを送ってるのはキミらにだろう?」

 そう言われて、三人は互いに顔を見合わせる。
 そうかも知れない。
 この謎は、自分たちで解くべきなんじゃないか?
 黙って頷きあった三人は、職員室をあとにした。

 「なにか分かったら、僕にも教えてくれよ~!」

 のんびりとした先生の声が、後ろから追いかけるように聞こえた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

花嫁御寮 ―江戸の妻たちの陰影― :【第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞】

naomikoryo
歴史・時代
名家に嫁いだ若き妻が、夫の失踪をきっかけに、江戸の奥向きに潜む権力、謀略、女たちの思惑に巻き込まれてゆく――。 舞台は江戸中期。表には見えぬ女の戦(いくさ)が、美しく、そして静かに燃え広がる。 結城澪は、武家の「御寮人様」として嫁いだ先で、愛と誇りのはざまで揺れることになる。 失踪した夫・宗真が追っていたのは、幕府中枢を揺るがす不正金の記録。 やがて、志を同じくする同心・坂東伊織、かつて宗真の婚約者だった篠原志乃らとの交錯の中で、澪は“妻”から“女”へと目覚めてゆく。 男たちの義、女たちの誇り、名家のしがらみの中で、澪が最後に選んだのは――“名を捨てて生きること”。 これは、名もなき光の中で、真実を守り抜いたひと組の夫婦の物語。 静謐な筆致で描く、江戸奥向きの愛と覚悟の長編時代小説。 全20話、読み終えた先に見えるのは、声高でない確かな「生」の姿。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

カオルとカオリ

廣瀬純七
青春
一つの体に男女の双子の魂が混在する高校生の中田薫と中田香織の意外と壮大な話です。

処理中です...