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第1章 王都脱出
(6)暗殺指令
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*****
ティムに守られるようにして、王子は道を急ぐ。
行き先は決まったものの、王都からは、かなり離れた国。
急ぐに越したことはない。
夕日は、みるみるうちに沈む。
あたりは、闇に包まれていく。
「ティム、足元さえ見えない。灯火を使ってもいいか?」
「そうですね、念のため、光明のほうがいいかも知れません」
王子が、左手を握りしめて開く。
その手に、白い光の玉が浮かぶ。
その玉をいく先に向かって投げるように離す。
50メートルほど先で止まった光が、あたりを照らす。
「さぁ、まいりましょう」
その光の玉に向かって歩き出そうとした時。
光の下に、数人の人影が現れる。
キョロキョロとあたりを見回して、何かを探しているようだ。
「やつらは?」
「おおかた、追いはぎの類いでしょう」
「王都に近い、こんなところで?」
「ええ。やはり、何かがおかしい」
「ティム、いかがする?」
「回避することもできますが、ここはとりあえず」
ティムが隠密姿勢から、弓を使う。
暗闇の中から飛んできた矢に、なす術もなく人影はバタバタと倒れる。
「うっ!」
ティムの背後で、小さなうめき声がする。
「王子!」
王子が首を押さえて、しゃがみ込んでいる。
急いで反対側を向いたティム。
少し離れた場所に、すかさず矢を放つ。
ヒュン! ……ドサリ。
矢が空を切る音がして、何かが倒れる音が微かに聞こえる。
すべての敵を倒し、ティムは王子に駆け寄る。
「王子!」
「……ティム。すまない、足を引っ張るとは」
「いいえ、王子。敵を見逃したわたしのせいです」
「うっ」
「今、癒しをかけます」
ティムの手のひらが緑色に光る。
その手を王子の傷ついた首筋に近づける。
光に包まれた傷は、じわじわと治っていく。
緑色の光が消えるとともに、傷もキレイに消えていた。
「ありがとう、ティム」
「いえ、このようなことは二度と」
「長い旅だ。そう気負っていては保たない」
「はい」
「それに……」
ティムの耳元に口を寄せた王子がささやく。
「癒しの魔法って、気持ちいいから好き。
ティムが体の中に入ってくるのと同じ感覚がする」
顔を赤らめる王子に、ティムはにっこりとほほ笑む。
そして、治したばかりの首に舌を這わせる。
「あぁ、いやっ、傷が開いちゃう」
「大丈夫。癒しの魔法は、完璧です」
ティムが王子の首を堪能し終えると、ようやくふたりは立ち上がる。
手を繋いで歩き出す。
王子は、ティムに甘える声で言う。
「ティム。体の中の火にも癒しをかけて。早く宿屋に行きたい」
「王子。わたしもです。今しばらく、ご辛抱を」
先ほど倒した敵に近づき、装備をはぎ取り、懐を探る。
追いはぎの懐に、およそ似つかわしくないものを見つけて手が止まる。
それは、一枚の紙片。
「なぜ、追いはぎが紙など?」
「おかしいですね。中を見てみましょう」
ティムが慎重に、折りたたまれた紙を開く。
「これはっ……!」
紙に書かれていたのは、短い指令。
【王子が逃亡。見つけ次第、始末しろ。従者も逃すな】
「どういうことなんだ? なぜ、わたしの命を狙ってる?」
「父は、これを予見していました。
そして、わたしに『王子をお助けしろ』と」
「しかし、わたしの命を奪って、誰になんの得があるというのだ」
「分かりません」
「おかしな婚約破棄から始まって、次はこれか」
「ええ。父からは、避難通路を使って王子を逃がせとだけ」
「もしやグリュンの姫は、何かを知って……?」
「あり得ます。やはり、グリュンへ急ぎましょう」
気持ちだけは、前へ進もうとするものの。
思わぬ時間をくってしまい、闇夜がふたりの行く手を阻む。
「街道沿いにある小さな宿屋を知っています。
ひとまず、そこを目指しましょう」
ティムが王子の手を引いて、そう提案する。
「分かった。まかせる」
そう言った王子の瞳には、心なしか期待の色が浮かんでいた。
***
王子が光明を使うと、その光の下に追いはぎが現れる。
光明は、遠距離の発光魔法。
灯火は、自分の真上を照らす発光魔法。
街灯などない、この世界。
月の出ない夜は、真っ暗になる。
発光魔法は、夜に行動する時には必須の魔法だ。
旅の至るところに現れる、山賊、追いはぎ、野盗。
こいつらは、プレイヤーにとっては、やはり収入源。
プレイヤーレベルに合わせた装備をつけて現れてくれる。
倒して装備品を自分で使うもよし、売るもよし。
おいしい敵と言っていい。
「ティム、いかがする?」
王子が心配そうに聞いてくる。
「回避することもできますが、ここはとりあえず」
ここはもちろん、いただいちゃいます!
隠密&遠距離攻撃なら、余裕だろ!
オレは、次々と弓を引き絞り、敵を倒す。
よっしゃ、最初から装備品ザクザク。
敵が倒れる姿が、金に見えるぜ~!
「うっ!」
(うん? あれ? なんで王子、ケガしてんのぉ~!)
(マズい、マズい。)
(装備品ゲットに夢中で、王子のこと忘れてた!)
(ぎゃ~! オレの推しに傷がぁぁぁ!)
(まぢでコロス!)
オレは、反対側に向かって矢を放つ。
命中して倒れる敵。
(ふんっ! オレの王子に手を出すからだ!)
「王子!」
「……ティム。すまない、足を引っ張るとは」
「いいえ、王子。敵を見逃したわたしのせいです」
「うっ」
「今、癒しをかけます」
癒しの魔法は、いわゆる回復魔法。
他人にかけられる遠距離回復魔法を、癒しと呼んでいる。
「癒しの魔法って、気持ちいいから好き。
ティムが体の中に入ってくるのと同じ感覚がする」
癒しで回復した王子は、オレにこんなことをささやく。
(このかわいいエロさは、どうしてくれよう!)
オレは、治したばかりの首筋を舐めまわす。
うん、甘い。甘すぎる。
「あぁ、いやっ、傷が開いちゃう」
さらに王子は、いやらしい声でオレに言ってくる。
「大丈夫。癒しの魔法は、完璧です」
しばらく、王子の首から離れられないオレ。
(まったく、けしからん王子だ♡)
「ティム。体の中の火にも癒しをかけて。早く宿屋に行きたい」
さらにさらに、追い討ちをかけてくる。
オレは、ぎゅいっとなる体をぐぐぐっと押さえ込み。
カッコいいセリフを吐く。
「王子。わたしもです。今しばらく、ご辛抱を」
それから、倒した追いはぎの装備を、はぎ取る。はぎ取る。
(金だ、金だ~! ん? 紙?)
追いはぎの懐から発見された紙。
(なんだ、これ?)
一周目の時に、こんな紙を見つけたことは無い。
(これって、王子の暗殺指令じゃね? なんで?)
ゲームの世界に迷い込んだオレ。
だけど……。
この世界は、ゲームとすべて同じってわけじゃない?
そもそも、従者ティムなんていないんだから当たり前か。
そういえば、ティムの父親のオッサン。
色々知ってるみたいだったなぁ。
あのオッサンも、ゲームには出てこなかったんだよなぁ。
う~ん。
ここで悩んでも答えなんか出るわけない。
愛しい王子とのめくるめく夜を期待して、旅を続けよう!
「街道沿いにある小さな宿屋を知っています。
ひとまず、そこを目指しましょう」
王子のベッドの上でのあられもない姿を思い浮かべて。
鼻歌が出そうになるのをこらえつつ。
オレは、そう王子に提案する。
「分かった。まかせる」
王子らしくキリッとした発言。
だけど、繋いだ手をいやらしくからませてくる王子。
(宿屋に着いたらすぐに、ベッドに連れ込んで。ふふふ)
ティムに守られるようにして、王子は道を急ぐ。
行き先は決まったものの、王都からは、かなり離れた国。
急ぐに越したことはない。
夕日は、みるみるうちに沈む。
あたりは、闇に包まれていく。
「ティム、足元さえ見えない。灯火を使ってもいいか?」
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暗闇の中から飛んできた矢に、なす術もなく人影はバタバタと倒れる。
「うっ!」
ティムの背後で、小さなうめき声がする。
「王子!」
王子が首を押さえて、しゃがみ込んでいる。
急いで反対側を向いたティム。
少し離れた場所に、すかさず矢を放つ。
ヒュン! ……ドサリ。
矢が空を切る音がして、何かが倒れる音が微かに聞こえる。
すべての敵を倒し、ティムは王子に駆け寄る。
「王子!」
「……ティム。すまない、足を引っ張るとは」
「いいえ、王子。敵を見逃したわたしのせいです」
「うっ」
「今、癒しをかけます」
ティムの手のひらが緑色に光る。
その手を王子の傷ついた首筋に近づける。
光に包まれた傷は、じわじわと治っていく。
緑色の光が消えるとともに、傷もキレイに消えていた。
「ありがとう、ティム」
「いえ、このようなことは二度と」
「長い旅だ。そう気負っていては保たない」
「はい」
「それに……」
ティムの耳元に口を寄せた王子がささやく。
「癒しの魔法って、気持ちいいから好き。
ティムが体の中に入ってくるのと同じ感覚がする」
顔を赤らめる王子に、ティムはにっこりとほほ笑む。
そして、治したばかりの首に舌を這わせる。
「あぁ、いやっ、傷が開いちゃう」
「大丈夫。癒しの魔法は、完璧です」
ティムが王子の首を堪能し終えると、ようやくふたりは立ち上がる。
手を繋いで歩き出す。
王子は、ティムに甘える声で言う。
「ティム。体の中の火にも癒しをかけて。早く宿屋に行きたい」
「王子。わたしもです。今しばらく、ご辛抱を」
先ほど倒した敵に近づき、装備をはぎ取り、懐を探る。
追いはぎの懐に、およそ似つかわしくないものを見つけて手が止まる。
それは、一枚の紙片。
「なぜ、追いはぎが紙など?」
「おかしいですね。中を見てみましょう」
ティムが慎重に、折りたたまれた紙を開く。
「これはっ……!」
紙に書かれていたのは、短い指令。
【王子が逃亡。見つけ次第、始末しろ。従者も逃すな】
「どういうことなんだ? なぜ、わたしの命を狙ってる?」
「父は、これを予見していました。
そして、わたしに『王子をお助けしろ』と」
「しかし、わたしの命を奪って、誰になんの得があるというのだ」
「分かりません」
「おかしな婚約破棄から始まって、次はこれか」
「ええ。父からは、避難通路を使って王子を逃がせとだけ」
「もしやグリュンの姫は、何かを知って……?」
「あり得ます。やはり、グリュンへ急ぎましょう」
気持ちだけは、前へ進もうとするものの。
思わぬ時間をくってしまい、闇夜がふたりの行く手を阻む。
「街道沿いにある小さな宿屋を知っています。
ひとまず、そこを目指しましょう」
ティムが王子の手を引いて、そう提案する。
「分かった。まかせる」
そう言った王子の瞳には、心なしか期待の色が浮かんでいた。
***
王子が光明を使うと、その光の下に追いはぎが現れる。
光明は、遠距離の発光魔法。
灯火は、自分の真上を照らす発光魔法。
街灯などない、この世界。
月の出ない夜は、真っ暗になる。
発光魔法は、夜に行動する時には必須の魔法だ。
旅の至るところに現れる、山賊、追いはぎ、野盗。
こいつらは、プレイヤーにとっては、やはり収入源。
プレイヤーレベルに合わせた装備をつけて現れてくれる。
倒して装備品を自分で使うもよし、売るもよし。
おいしい敵と言っていい。
「ティム、いかがする?」
王子が心配そうに聞いてくる。
「回避することもできますが、ここはとりあえず」
ここはもちろん、いただいちゃいます!
隠密&遠距離攻撃なら、余裕だろ!
オレは、次々と弓を引き絞り、敵を倒す。
よっしゃ、最初から装備品ザクザク。
敵が倒れる姿が、金に見えるぜ~!
「うっ!」
(うん? あれ? なんで王子、ケガしてんのぉ~!)
(マズい、マズい。)
(装備品ゲットに夢中で、王子のこと忘れてた!)
(ぎゃ~! オレの推しに傷がぁぁぁ!)
(まぢでコロス!)
オレは、反対側に向かって矢を放つ。
命中して倒れる敵。
(ふんっ! オレの王子に手を出すからだ!)
「王子!」
「……ティム。すまない、足を引っ張るとは」
「いいえ、王子。敵を見逃したわたしのせいです」
「うっ」
「今、癒しをかけます」
癒しの魔法は、いわゆる回復魔法。
他人にかけられる遠距離回復魔法を、癒しと呼んでいる。
「癒しの魔法って、気持ちいいから好き。
ティムが体の中に入ってくるのと同じ感覚がする」
癒しで回復した王子は、オレにこんなことをささやく。
(このかわいいエロさは、どうしてくれよう!)
オレは、治したばかりの首筋を舐めまわす。
うん、甘い。甘すぎる。
「あぁ、いやっ、傷が開いちゃう」
さらに王子は、いやらしい声でオレに言ってくる。
「大丈夫。癒しの魔法は、完璧です」
しばらく、王子の首から離れられないオレ。
(まったく、けしからん王子だ♡)
「ティム。体の中の火にも癒しをかけて。早く宿屋に行きたい」
さらにさらに、追い討ちをかけてくる。
オレは、ぎゅいっとなる体をぐぐぐっと押さえ込み。
カッコいいセリフを吐く。
「王子。わたしもです。今しばらく、ご辛抱を」
それから、倒した追いはぎの装備を、はぎ取る。はぎ取る。
(金だ、金だ~! ん? 紙?)
追いはぎの懐から発見された紙。
(なんだ、これ?)
一周目の時に、こんな紙を見つけたことは無い。
(これって、王子の暗殺指令じゃね? なんで?)
ゲームの世界に迷い込んだオレ。
だけど……。
この世界は、ゲームとすべて同じってわけじゃない?
そもそも、従者ティムなんていないんだから当たり前か。
そういえば、ティムの父親のオッサン。
色々知ってるみたいだったなぁ。
あのオッサンも、ゲームには出てこなかったんだよなぁ。
う~ん。
ここで悩んでも答えなんか出るわけない。
愛しい王子とのめくるめく夜を期待して、旅を続けよう!
「街道沿いにある小さな宿屋を知っています。
ひとまず、そこを目指しましょう」
王子のベッドの上でのあられもない姿を思い浮かべて。
鼻歌が出そうになるのをこらえつつ。
オレは、そう王子に提案する。
「分かった。まかせる」
王子らしくキリッとした発言。
だけど、繋いだ手をいやらしくからませてくる王子。
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