魅了なんて、オレには効かない

クリヤ

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第2章 ラントを巡る旅

(4)王都へ、再び

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 5日後。
 ティムと王子は、王都に向かっていた。
 追われている身でなぜか。
 王都に向かわなければならない理由ができていた。

 「遠くに感じてしまうな。自分の生まれたところだというのに」
 「今は、仕方ありません。いつの日か、胸を張って戻りましょう」


 *****

 デレクとの秘密のお茶会で、協力を取りつけることができたふたり。
 次の朝には、さっそく鍛治ギルドに向かう。

 「おう! 来なすったか! どんな剣がほしいんだい?」
 「あまり大きすぎず、立ち回りがラクで……」
 「ふむ。たとえば、こんな大きさだとどうだ?」
 「長さは、それくらいですが、幅はもう少し……」

 王子は、新しい剣には興味がないのか、ブラブラとしている。
 ティムは、ギルドマイスターと話し合いを重ね、理想の剣を依頼できた。
 王子の元に戻ると、なぜかニコニコとしている。

 「どうしました? なにかおもしろいことでも?」
 「うん。鍛治ギルドに、魔法の本が売っていたんだ」
 「鍛治ギルドにですか? どんな?」
 「修復魔法。傷ついた武器や防具を直せる魔法だ」
 「そんなものが?」
 「うん。普通は、戦闘が終わったら鍛治師に持ち込むだろう?
  だが、長旅だとそうもいかない。そういう時の魔法らしい」
 「それがあれば、鍛治師要らずになってしまうのでは?」
 「うん。だけど、剣士は魔法が不得手の者が多いだろう?」
 「そうですね。だから、剣士を選ぶとも言えますし」
 「だから、せっかく魔術師ギルドと共同で開発したのに。
  さっぱり売れなかったらしい」
 「ははぁ。なるほど」
 「だから、買ってみたんだ。これで、ティムの武器防具を直せる」
 「え? わたしのためですか?」
 「うん。ティムに、ケガしてほしくないからな」

 嬉しそうに言う王子に、ティムは胸がぎゅっと詰まる。

 (愛されている、そう思っていいのだろうか?)

 決して口には出せない、王子に直接聞くこともできない。
 王子と自分では、立場が違う。
 デレクとアベルのようにはいかないと分かっている。
 ティムの心は、揺れ続けるのだった。


 3日後。
 ギルドマイスターが、寝る間も惜しんで作ってくれた剣ができあがった。
 すぐに、魔術師ギルドに向かう。
 待ちかねていたらしい魔術師ギルドマイスターがさっそく付呪してくれる。

 「だいたいの魔法の半分くらいは、反射できる」
 「ありがとうございます」
 「全反射じゃなくて、悪いのぅ。あれは、誰でもができるものではなくてな」
 「いえ、とんでもない。半分も反射してもらえれば、格段に違います」

 新しい武器を手に入れたティム。
 王子とともにデレクとアベルに挨拶にきていた。

 「おかげさまで、新しい武器が手に入りました。次の国へ向かいたいと思います」
 「それは良かった。次は、どこに向かうのだ?」
 「グリュンに向かおうかと思っているのですが」
 「そうか。グリュンでなくてはならない理由が?」
 「いえ。グリュンには、王都を追放された姫がいます。
  なにか事情を知っているかもと思いまして」
 「では、先にグリュンでなくてもいいのか?」
 「ええ、それはそうですが」
 「勝手を言ってすまないが、ブラオに先に訪れてはもらえまいか?」
 「構いませんが、どうしてです? アベル様」
 「兄の様子が気になるのだ」
 「兄上様というと、現国王のカール陛下ですね?」
 「うん。何もなければ、それでいい。一筆書いて、おまえたちに協力を願おう」
 「それは、ありがたい。では、ブラオに先に参ります。王子?」
 「ああ、構わない。カール兄様にもお会いしたい」
 「良かった。では、頼む」
 「戦士ギルドとも鍛治ギルドとも協力を取りつけたのだろう?」
 「はい。皆様、協力いただけると」
 「それは、重畳。次に会う時は、決戦か?」
 「そうならぬように、努めます」

 アベルの強い希望で、次の目的地をブラオ=ラントへと決めた。

 「今夜は、ゆっくり休んで明日に備えるといい」

 デレクの言葉をもらい、ふたりはロートでの最後の夜を過ごすことにした。

 「また夕食会などがあるかと思ったが」
 「デレク様の配慮でしょう。我々は、明日からまた野営の身。
  今晩くらいは、くつろいでいけという意味かと」
 「ふむ。なるほど。ありがたい心遣いだ」
 「ええ。もうお休みになりますか?」
 「ふふ。兄様がたの配慮に応えて、くつろぎたい」
 「はい。どのようにくつろぎましょう?」
 「すべてを解き放って」

 そう言うと、王子はピアスを外した。
 青いモヤとともに王子の姿が見えなくなる。
 モヤが消えたあとには、カッツェンの姿をした王子が立っていた。

 久しぶりにカッツェン姿の王子を見る。
 スラリとした肢体。
 艶やかな毛並み。
 月明かりを反射して輝く瞳。
 欲情して潤んだまなざし。
 誘うように動く尻尾。

 「……っ、ルイ」
 「ふふふ。今夜のわたしを受け止めるには、力が必要だぞ」
 「は、はい。わたしも吸血鬼の力を解き放ってもいいのですか?」
 「うん。気を失うまで、交わりたい。ティムとひとつになりたいんだ」

 自分の感情が愛ではないかと気づいてから、ティムは迷っていた。
 今まで通り、欲望のままに王子を抱いていいものかと。
 けれど、いざ王子の裸身を目にすれば体の奥深くがうずいてしまう。
 
 月明かりの下で見る毛並みは、月光を取り込んだかのように輝く。
 毛並みに沿って、手のひらを滑らせる。
 王子が、気持ちよさそうに体を伸ばす。
 ふかふかの体に鼻をつけて、その匂いを吸い込む。
 ネコとも人とも言えない、けれども動物的な香り。
 その香りは、媚薬のような効果をティムにもたらす。
 唇を重ねて、長い舌に巻き取られるとティムの頭はボウッとなる。
 王子の胸の突起は、いつも以上に桃色に張りつめている。
 そこにしゃぶりつくと、王子の腰はゆるやかに動く。
 自然に開かれる足。
 からみつく尻尾。
 気がつけば、迷いなど忘れてひたすら交わるふたりの姿。
 何度も何度も絶頂を迎えたあとで、ふたりはとろけるように眠りについた。

 「お休みのところ、すみませんな」

 聞き覚えのある声に、ティムが目を開ける。

 「他国の、それも城の中に入って来られるとは」
 「ふふふ。そこは、影ですから」
 「一体、どうやっているんだ?」
 「知らないほうが良いこともございます」
 「そうか。ならば、聞かないことにしよう」

 現れたのは、オランジェの影ギルドの例の男。
 他国の城の警備を、かい潜れることにティムは驚く。

 「わざわざ、姿を現したからには、重要な話だろうな?」
 「もちろんにございます」
 「では、早めに頼む」
 「おふたりは、ロートの伝説の宝を手に入れられたとか」
 「なにっ? どうやって、それを」

 伝説の宝の話は、デレクとアベル以外にはしていない。

 「我々は、影です。耳も目も、どこにでもあるとお考えを」
 「……ふむ。それで?」
 「我々も、長い間、我が国の伝説の宝を探して参りました。
  影の力を使っても、どうしても見つからなかった。
  けれど、突然、我が国の宝の在り処が分かったのです」
 「なんだと? それは、どこに?」
 「王都です。王都の闘技場にあるかがり火。
  あれは、消えないかがり火と呼ばれておりますが……」
 「うん。王族の特別観覧席のうしろにあるものだな」
 「はい。あれが、実は伝説の宝なのです。『不滅の炎の槍』です」
 「それは、本当か?」
 「はい。古の盗賊が、闘技場のかがり火に隠したようですが。
  いつの間にか槍そのものが、かがり火と思われてしまった」
 「そうだったのか」
 「このまま、誰も気づかないはずのものでした。
  ところが、王都周辺だけが揺れた地震が数日前に起こります。
  その地震は、かがり火台を倒し、その中に刺さっていた槍が発見されました」
 「偶然……なのか?」
 「分かりません。盾の発見直後に槍ともなると、何らかの作為を」
 「感じてしまうな」
 「はい。しかし、人が地震を起こせるわけもなく……」

 「うん……。それで、なぜ、それをわたしに伝えに来たのだ?」
 「実は困ったことになりまして」
 「なんだ?」
 「その槍は、1週間後に開催される剣闘会の優勝者に贈られるらしいのです」
 「なぜだ? オランジェの宝なのだから、返還を求めたらどうだ?」
 「もちろん、そうしました。しかし、伝説の宝は数十年も前に失われたもの。
  その存在を知る者とて、今では数少ない。
  闘技場は、国の管理下にはなく、国の強制力は効かない様子で」
 「ああ、そうだろうな」
 「金で買い取るという交渉もしたのですが……。
  『ほしいなら、優勝すればいい』という返事でした」
 「なるほど。それで?」
 「オランジェには、剣闘士は、ほとんどおりません。
  衛兵も魔導兵ばかり。剣闘会で優勝できる者など、とてもとても」
 「剣闘会は、魔法禁止なのか?」
 「はい。今回は、純粋に剣闘のみとのことでした」
 「……それで?」
 「あなた様は、ここロートで新しい武器を手に入れられたご様子。
  そもそも、ロートへ一筆書いたのは、我がオランジェ王。
  互いの協力には、このようなものも含まれるのではと」
 「借りを返せということか?」
 「いいえ。引き続き、協力をお願いしたいということでございます」

 男はあくまで穏やかな口調を崩さない。
 けれど、その目は雄弁に物語っていた。
 断るという選択肢はない、ということを。
 断れば、王子への協力もなかったことになりかねないのだと。

 「分かった。わたしが、槍を取り戻そう」
 「それは願ってもない申し出にございます。
  我が国も、我が王もお喜びになられるかと」
 「引き続き、王子への協力はお忘れなきよう」
 「もちろんでございます。それと、これをあなた様に」
 「なんだ、これは?」
 「『影のマンテル』と呼ばれる魔導具にございます。
  これを着た者は、人の記憶に残らないようになります」
 「それはいい。王都には、知り合いも多いからな」
 「そうでしょう。必ずや、宝を取り戻していただけると信じております」

 そう言うと、男は来た時と同じように闇の中に溶けるように消える。
 ティムは、ふぅ~っと大きなため息をつく。
 王子が眠るベッドにもぐり込む。
 カッツェンから人に戻った王子の滑らかな肌が、ティムを迎える。
 その胸に顔を押しつける。
 
 「……ティム? どうした? ……眠れないのか?」

 目を覚ました王子のティムを気遣う甘い声が耳をくすぐる。
 その声に、その体に、ひたすらに甘えたくなる。
 次々と起こる面倒ごとは、すべて忘れて王子だけを見ていたい。
 その言葉は、声には出さずに王子の体を唇と指でまさぐる。

 「ふふふ。ティム、まだ足りなかったのか?」

 黙って王子の体を堪能すると、気分がラクになる気がする。
 王子のいまだとろけている中に、自分を沈める。
 何度も何度も沈めると、ようやく落ち着いてくる。
 悲鳴のようなあえぎ声を聞きながら、ぎゅっと強く抱きしめる。

 (王子のためならば、オレは……)


 ***

 鍛治ギルドと魔術師ギルド。
 両方のマイスターの協力をもらって、オレの新武器は完成!
 全反射とまではいかないが、魔法が反射できるようになった~!
 魔法が使えないんだから、それくらいの防御はできないとな。
 ロートに来て良かったぜ~!

 王子は、武器防具の修復魔法を習得してくれた。
 オレのため……いや、ティムのため。
 この王子。
 王子なのに、献身的だよなぁ。
 オレもそんな風に愛されてみたい。
 人生で一回でいいから。
 さっきから、胸がチクチク痛む。
 悪いもんでも食ったかなぁ?

 次の行き先も決まった。
 ブラオ=ラント。
 攻略サイト的には、グリュンのあとのほうがいいはずだが。
 アベルが兄を心配してるようだし。
 もうふたつの国の協力も取りつけたし。
 大丈夫なのかなぁ? ゲームとは、違う世界っぽいしな。
 え~い、なるようになるだろっ!

 というわけで、ロート最終日の夜は。
 王子との甘い夜にさせてもらうことになった。
 王子は、すでにやる気満々。
 でも、オレは少し複雑な気分。
 王子を好きだという想いが強くなるほど、悩む。
 この笑顔は、オレじゃなくてティムに向けられているんだよなぁ。

 とか、悩みに浸らせてはくれないのが王子。
 久しぶりの発情カッツェンには、オレも欲情が抑えられん!
 あいかわらずのとろけるキスに、脳が思考停止。
 この誘うような香りは、なんなんだ?
 吸血鬼のフルパワーを使って、王子と繋がる。
 王子とオレの境目が分からないくらいに溶けあって。
 眠れると思ったのに……。

 またまた、影ギルドのオッサン現る!
 どう考えても、のぞいてるよなってタイミング。
 今度は、なんだよ?
 って思ったら、サイドストーリークエストだな、こりゃ。
 伝説の宝は、きっと全部を見つけないとダメなんだろうな。
 微妙に王子への協力をやめてもいいんですよ? 的な脅しかけてくるし。
 はい、はい。
 そんなことしなくても、やりますよ。
 サイドクエなんだからさ。
 新しい魔導具も、もらえちゃったし。
 
 だけど、なんだか胸がモヤモヤする。
 影のオッサンが消えるのを見送ると、オレは王子の隣りへ。

 もふもふ王子もかなりかわいいけど、すべすべ王子も素晴らしい!

 「……ティム? どうした? ……眠れないのか?」
 「ふふふ。ティム、まだ足りなかったのか?」

 甘い声で聞かれると、オレの欲に再び火がつく。
 まだまださっきの余韻が残る体に、もう一度挑む。
 こうしてるだけで、すげぇ癒される。
 離したくねぇ!
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