魅了なんて、オレには効かない

クリヤ

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第2章 ラントを巡る旅

(9)カールの悩み

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 翌朝。
 ティムと王子、教授と弟子は、それぞれ馬に乗ってブラオに向かう。
 道すがら聞いた話では、教授はブラオの魔術師ギルドの一員。
 オランジェの大学でも教えているらしい。

 「最近のカール陛下に変わったご様子は、ありませんか?」
 「ああ、やはりウワサになっていますか」
 「と、言うと?」
 「少し前に、王都へ出掛けられてから、体調を崩しておられるようで」
 「王都に行かれていたんですか?」
 「はい。叔母上にあたる王妃様といとこの王子様にお会いに」
 
 ティムが、王子のほうを見ると、王子は黙って首を振る。
 どうやら、知らなかったようだ。

 「どのような状態なのです? 寝たきりとか?」
 「いえ、いえ。公務もきちんとこなされていますし。
  お体に問題はないようです。どちらかといえば、気うつのような」
 「なるほど。それは、心配ですね」
 「ええ。心の不調は、時に体よりも厄介ですから」

 ロートのアベルも、カールの不調の原因を知らなかったようだ。
 ティムと王子が向かったとしても、できることがあるのだろうか。
 ティムは、少し不安を感じる。

 ブラオへは、1日の距離だと聞いていたが半日程度で城壁が見えた。
 眩しいほどの白い壁に、真っ青に塗られた門が見える。
 門の前には、長い行列ができていた。

 「あれは、なんです?」
 「国外からの観光客の列です。
  我が国に観光で入るには、半日ほどの行列を覚悟しないといけません」
 「以前は、そんな様子ではなかったような」
 「はい。連邦で人気の新聞に、紹介されてからですな。
  『一生に一度は行くべき観光地』らしく、連邦中から人が押し寄せて」
 「それは、大変ですね」
 「ええ。住人は、あまり喜んではいません。
  生活がしづらくなって、出ていった者もいるくらいです」
 「早く落ち着くといいですね」
 「はい。でも、いつになることやら」

 ティムと王子は、教授とともに住人用の入り口から入ることができた。

 「助かりました。ありがとうございます」
 「いえ、こちらこそ。あなたがたとご一緒できて、帰りは楽でしたよ」
 「クマもオオカミも、どこにでもいますからね」
 「最近は、街道にまで現れて困っていたんです」
 「ところで、毛皮や肉を売れる店をご存知ないですか?」
 「それなら、魔術師ギルドはどうですかな?
  マイスターに宝を見せていただければ、陛下との面会も取りつけられるはずです」
 「そうですか。では、ぜひに」

 教授と知り合ったおかげで、魔術師ギルドマイスターとも会えることになった。
 すぐに、一行は魔術師ギルドに向かう。

 「リーリエ教授、よくぞ、ご無事で」
 「これは、マイスター殿。実は、こちらのかたがたに助けられましてな」
 「そうでしたか、このたびはありがとうございます。
  我が国の頭脳たる教授をお助けいただきまして」
 「いえ、こちらも助けていただきましたから」
 「なんでも、遺跡で宝を見つけられたとか?」
 「はい。こちらの国の宝ゆえ、お返ししたいのですが」
 「それは、ありがとうございます。さっそく城に約束を取りつけましょう」
 「感謝します」
 「わたしにも、その宝とやらを見せていただけませんか?」
 「ええ、もちろんです」

 ティムが、アイテムバッグから鎧を取り出す。
 マイスターは、それを興味深げに見ている。

 「これは、どのような魔導具なのですか?」
 「これは、『玉風の鎧』と呼ばれております。
  着用者周辺に風を巻き起こし、あらゆる物理攻撃を跳ね返します」
 「それは、素晴らしい」
 「ええ。また、こうして見られる時がくるとは」

 今日の宿を紹介してもらおうと、マイスターに切り出す。
 マイスターは、申し訳なさそうに言う。

 「この国の宿は、もう予約なしでは泊まれないのです。
  よろしければ、ギルドの二階をお使いになりませんか?
  国の恩人に対して、申し訳ないのですが」
 「いえ、ありがたいです。遠慮なく、お借りします」

 今夜は、魔術師ギルドに泊まることになった。
 どの国も、魔術師ギルドは広場に面した大通りにある。
 買い物や街の散策にも都合がいい。


 ***

 ブラオは、豊かな水源を持ち、温泉が湧き出る国。
 水の輸出と観光が、国の基幹産業。

 だけど、観光客の数がやべぇ!
 教授のオッサンと一緒で良かった。
 ゲームでは、こんな感じじゃなかったんだけどなぁ。
 まぁ、でもゲーム内でもキレイな街ではあった。
 青と白の街並みは、地中海の観光地を参考に作られたらしい。

 そうそう!
 ギルドの中には、錬金素材を売る店や魔法書を売る店がある。
 珍しい素材も売ってるし、買ってもくれる。
 ただ、関係者以外とは取り引きしない。
 だから、今回は教授と知り合えて、ラッキー!
 ここで、今までゲットしたレア素材も売れそうだ。


 *****

 ティムと王子は、マイスターの返事を待つ間、街の散策に出ることにした。
 大型の魔法書店や錬金術の店、武器屋。
 旅に必要なものを売っている店を、ひと通り見終わる。
 観光地だけあって、宝石店や衣料品店も多い。
 そのあたりも、ぶらぶらと見て歩く。
 王子が、ティムの手を取って、繋ぐ。
 指をからめる繋ぎかたに、ティムはなぜだか、胸が高鳴る。

 「こうして、ふたりで街に出るのは、久しぶりだな」
 「そうですね。子どもの頃は、城を抜け出して……」
 「そうそう! あれは、楽しかった!」
 「あとで、たっぷり叱られましたけどね」
 「ははは、そうだった」
 「あ、そうだ。温泉、入ってみますか? 個室が取れれば、ですが」
 「うん、入ってみたい」

 運よく、個室の温泉の予約が取れる。
 ティムと王子は、温泉を楽しむことにした。

 「温泉は、初めてだ」

 はしゃぐ王子をつかまえて、椅子に座らせ体を洗う。
 モコモコ泡に包まれた王子は、かわいくて。
 つい、ティムは洗うのに夢中になってしまう。

 「……ティム、そこばっかり洗ったら、のぼせちゃいそうだ……」
 「あ、すみません。ルイ。つい」
 「もう! 湯にも浸かりたい」
 「はい。もちろんです」
 
 泡を洗い流すと、王子はそっとお湯に入る。

 「こ、これは、思ったより熱い……な」

 首をすくめる王子を、横抱きにしてひざの上にのせ、ティムは風呂に入る。

 「あ、これだと、あまり熱くない」
 「ふふ。ご満足ですか?」
 「うん。でも、肌が湯でヌルヌルして、ティムの肌と当たる。
  おかしな気分になりそうだ」
 「なってもいい、と言いたいところですが。
  時間がないし、のぼせそうですから、ガマンします」
 「ふふ。ティムが、ガマンするのか?」
 「はい。いつだって、わたしは王子を求めていますから」
 「マジメな顔で、そんなこと。……あれ? これは?」
 「さっき、宝石店で見つけました。王子に似合いそうで、つい」
 「も、もらっていいのか?」
 「ええ。でも、オモチャみたいなものですよ?」
 「い、いや! 嬉しい! ずっとつける」
 「はは。それは、良かったです」

 ティムが王子を洗っている間に、その指にはめたのは指輪。
 青い宝石がうめ込まれた銀色に光る指輪だった。
 王子の白い肌に、それは、よく似合う。

 「そろそろ、あがりましょうか?」
 「まだ、このままでいたい。けれど、時間があるものな」
 「はい。いつか、また一緒に来ましょう」
 「約束だぞ」


 ***

 この世界に来てから、逃げたり、戦ったりばっかりで。
 街をただ歩くなんて、初めてかも知れない。
 これって、デートだよな?
 王子が、恋人繋ぎで手を握ってくるから、ニヤけてしまう。
 王子とは、もっとすごいこともしてるのに。
 こんなことで、幸せを感じるオレ。

 宝石店でひと目惚れしたものを買ってしまう。
 レア素材を売って、懐に余裕があったからか?
 それとも。
 
 この国の温泉は、自然の石を利用した千人風呂がほとんど。
 入浴着で入る広い混浴。
 でも、他人と入るのに抵抗がある人のための個室もある。

 個室を選んだのは、オレのわがまま。
 たとえ入浴着でも、王子の裸はオレだけが見たい。

 さっきの宝石店で買った指輪をはめると、王子がすごく喜ぶ。
 アクセサリーなんて、正直、なんのためにあるんだよって思ってた。
 けど、自然にあげたくなるもんなんだなぁ。
 こんな、喜んでくれるなら、なおさら。


 *****

 街の酒場で、夕食を食べてから魔術師ギルドに戻る。
 すると、ギルドマイスターがあわてた様子でふたりを待っていた。

 「おお! ようやくお戻りになられたか」
 「はい。どうしました? なにか問題でも?」
 「陛下が、できるだけ速やかに、おふたりにお会いになりたいと」
 「しかし、今日はもう日も暮れますが」
 「ええ。それでも構わないと。城に泊まってほしいと」
 「分かりました。すぐに、支度を」

 ギルドマイスターに連れられて、城へと向かう。
 話が伝わっているのか、誰にも止められることなく中に通される。

 謁見の間には、ブラオの王カールが待っていた。
 色白の肌と煌めく瞳が、王子にも弟のアベルにも似ている。

 「陛下、こちらが伝説の宝を見つけてくださったおふたりです」
 「うん。マイスター、案内、ご苦労であった。
  宝は、のちほど見分のため、魔術師ギルドに届けさせる」
 「はい。承りました。それでは、わたしはこれで」

 用を終えると、そそくさとマイスターは帰っていった。
 謁見の間には、カールとティム、王子が残される。

 「ルートヴィッヒ、こちらへ」
 「はい、陛下。ご存知でしたか」
 「ははは。アベルから、知らせを受けていた。
  陛下などと堅苦しいのはやめて、兄様と呼んでくれ」
 「はい。カール兄様」
 「そっちが、ティムか? 弟が世話になった」
 「いえ、陛下。アベル様には、助けていただきました」
 「そうか。今回も、我が国の宝を見つけてくれたとか」
 「はい。偶然ではございますが、こちらに」
 「うん。これが伝説の。美しい鎧だ」
 「ええ。どうかお納めください」
 「感謝する。我が国も連邦も、これで安泰だろう」
 「兄様、どこか具合が悪いのですか? アベル兄様もご心配を」
 「うん、悪いのは、体ではない。ちょっとした悩みだ」
 「もし、わたしたちで力になれるのならば……」
 「本当か? 本当に、相談にのってくれるか?」
 「はい、もちろんです」

 伝説の宝よりも、深刻な悩みがカールにはあるらしい。
 ふたりは、謁見の間からカールの私室へと案内された。
 ふんわりとした豪華な椅子に座らされる。
 ほどなく、スラリとした長身の美男子が現れる。
 サラサラの亜麻色の髪に、焦茶色の瞳が美しい。
 テーブルの上に、ワインとチーズ、果物に焼き菓子を並べる。
 優雅なお辞儀をして、その美男子はさがっていった。

 「悩みというのは、ほかでもない。さきほどの執事オスカーのことなのだよ」

 発泡性のワインを勧められ、チーズを食べていた王子が少しむせる。

 「ゲホッ! ええと、悩みが執事のことなのですか?」
 「うん。笑えるだろう? 誰にも相談できなくてな」
 「いえ、笑いはしませんが。気うつになるほどの悩みと聞いていたので」
 「はは。そうか。そう見えるのも、仕方ない」
 「なにがあったのです?」
 「うん。あれは、王都に叔母上のご機嫌伺いに出かけた時のこと……」

 カールは、年に数回は王都にお忍びで出かけていた。
 仲の良い叔母に地元の好物を届けたり、いとこと会ったり。
 最新の魔法書や衣服を揃えたり。
 国王として多忙な日々から逃れられる、息抜きの旅であった。

 あの婚約破棄の日。
 カールも謁見の間にいた。
 少しだけ様子のおかしい叔母のことをいとこと話すつもりだった。

 「おまえ第一の叔母上が、ぼんやりとされていて。
  婚約を決めたあげく、今度は破棄すると言う。なにかが、おかしい」
 「けれど、話す前に、あんなことが起きてしまった?」
 「うん。おまえが気を失わされて、どこかに連れて行かれて。
  心配ではあったが、飛び出すわけにもいかず。すまない」
 「いえ、ブラオの王たる兄様には、お立場がありますので」
 「うん、ありがとう。とりあえずは、部屋に戻ったのだが」
 「そこで、何かあったのですか?」
 「世界が変わっていたというべきか」
 「どういう意味です?」
 「謁見の間で、なにがあったのかはよく分からない。
  けれど、あれ以来、自分の本当の気持ちに気づいてしまった」
 「と、言いますと?」
 「王妃のことも、子どもたちのことも大切に思ってはいる。
  だが、我が本当に愛するのは、ただひとりオスカーだけだと」
 「そんな……」
 「アベルがデレクに嫁ぐと決まった時、嬉しい気持ち半分と。
  なぜか、うらやましいとも思っていた。
  その時は、なぜそう思うのか分からなかったのだが」
 「今なら、お分かりになると?」
 「うん。誠に愛する者に嫁ぐ弟が妬ましかったんだろう」
 「そう……ですか」
 「おまえたちは、愛し合っているのだろう?」
 「はい。わたしは、そのつもりです」
 「王子……」
 「ティム、おまえは違うのか?」
 「いえ、あの、王子のことはお慕い申し上げて……」
 「うん。うらやましいことだ」
 「兄様は王なのですから、オスカーをお側におけるでしょう?」
 「ああ、そうだ。けれど、我は、あやつの心がほしいのだ」
 「なるほど。それは、よく分かります」
 「我が望めば、オスカーはその身を我に差し出すだろう。けれど」
 「兄様は、心から愛されたいと。その確証がほしいのですね?」
 「そうなのだ、恥ずかしいことだが」
 「それは、恥ずかしいことではありません」
 「そう言ってくれるか」

 王子がティムに目配せをする。
 ティムはうなずいて、執事が控える間に向かう。
 吸血鬼には、もうひとつの隠れた能力がある。
 『鎮静』と呼ばれるそれは、人の心を落ち着かせて本音を話させる。

 「すみません、オスカーさん。少し、お話してもよろしいでしょうか?」
 「はい。何か、足りないものでも?」
 「いえ、あの、こちらを見ていただけますか?」
 「はい、あ、瞳の色が……」
 「あなたは、これから、嘘がつけなくなります。いいですね?」
 「はい……」
 「あなたは、カール陛下をどう思っていますか?」
 「……お慕い致しております」
 「それは、執事としてですか? それとも、ひとりの人として?」
 「……どちらもです」
 「カール陛下が望めば、ベッドをともにしてもいいと?」
 「……はい。望んでくださればいいのに」
 「分かりました。あなたは、今のできごとをすべて忘れます」
 「……はい」

 ティムがオスカーと目を合わせるのをやめる。
 オスカーはハッとしたような仕草をするが、すぐに普通に戻る。

 「何か足りないものでも?」
 「ええ、ワインを少しとあなたが」

 ティムは、ワインを持ったオスカーとともにカールの私室に戻る。
 室内には、心配そうな顔をしたカールと慰めるような王子の姿があった。

 「陛下、お連れしました。陛下のお気持ちを、ぜひに」
 「本当か? 言っても構わないのか?」
 「はい。お望みのままに」

 カールは、オスカーを手招きする。
 オスカーが、それに応えてカールの元に近づく。
 すると、カールはオスカーを抱えて、自らのひざの上にのせる。

 「陛下⁉︎」
 「オスカー。我は、おまえがほしい。愛しているのだ」
 「陛下……。わたしもです。こんな日がくるのを夢見ておりました」
 「誠か? 我の気持ちに応えてくれると?」
 「はい。お側においていただけますか?」
 「もちろんだ」

 そういうと、カールはオスカーの唇をふさぐ。
 オスカーもそれに応えて、情熱的に舌をからませ合う。
 カールの唇が首から胸へおりていく。

 「……兄様」
 「すまん。ルートヴィッヒ、つい夢中に」
 「お気持ちは、分かります。わたしたちは、部屋に」
 「うん。ありがとう。また明日、話そう」
 「はい」

 オスカーの悦びに満ちたあえぎ声が聞こえる。
 ティムと王子は、顔を見合わせてほほ笑むと部屋をあとにした。

 「まさか、陛下の気うつの原因が恋だったとは」
 「兄様は、昔からなんでもよくできるかただったからな。
  悩んだことなど、なかったのだろう」
 「お気持ちが通じて、幸いでした」
 「うん。吸血鬼の能力は、本当にすごいな」
 「ええ。でも、能力を使わなくても、きっと大丈夫でしたよ」
 「なぜだ?」
 「陛下は気づいておられないようでしたが。
  オスカーさんが陛下を見る目は、いつも潤んでいましたから」
 「そうか……。こんな風にか?」

 王子が、ティムを潤んだ瞳で見つめる。
 ティムは、その瞳に見つめられると、すぐに唇を奪ってしまう。
 唇だけでは、到底ガマンできずに、すべてを食べ尽くしたくなる。
 目の前で、他人の情事を見てしまったからか。
 王子もいつにも増して、積極的に迫ってくる。
 服を脱ぐのももどかしく、ベッドの上に王子をうつ伏せに押し倒す。
 窪みは誘うように、開かれている。
 ティムは、すっかりと自分のかたちになったそこに沈める。
 深く、浅く、そして、深く。
 自分のこの気持ちも、王子が受け止めてくれることを願いながら。


 ***

 いや~!
 ブラオの王の悩みが、恋!
 これだよ、これ、これ。
 一周目では、こういう展開が多かったんだよな。

 王子が、各国のイケメンと恋に落ちたり。
 もちろん、あっちのほうも盛り上がったり。

 クエストも、恋の相談とかあったわ!
 この世界にきてから、戦闘とか宝の謎とか多すぎて!
 こういうラブ展開って、やっぱいいよな~。

 目の前で見せつけられたおかげで、王子もオレも盛り上がる!
 ほぼ毎日、王子の肌は見てるのに、全然飽きない。
 見れば見るほど、ほしくなる。

 オレも、ずっと王子といられればいいのに。
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