お前がおれのこと大好きなのはわかったけど、どうして国を消す方向に話が進んでるわけ?

にわとりこ

文字の大きさ
4 / 6
本編

家族会議のその行方【4】

しおりを挟む



「……は?」


それから数十秒ほどの間があって、ようやく絞り出せたのは、たったの1文字だった。

いや、おれじゃなくてもこうなるだろう。

弟の衝撃発言に、言葉どころか呼吸の仕方すらド忘れした。

え、なにこいつ。まさか酔ってるのか?いやそんなバカな。こいつが今飲んでるのみりんだぞ?みりんで人って酔えるのか?そもそもそこに入っているのは本当にみりんなのか?そして目の前のルクスに入ってるのは本当にルクスなのか?


「………え、お前、おれのこと好きなの?」


動揺のあまり我ながらどうでもいいことに思考を巡らせることさらに5分。

ついにつむぎ出した言葉は、17歳男にしてはあまりに間の抜けた確認の言葉だった。


「ああ」


それに対し、ルクスは怖いくらいの真顔で頭を縦に振る。

これが他人だったなら冗談としか思えないが、声音からしてこいつがふざけていないことは長年の付き合いから伝わってくる。一応兄弟だからな。で、どっきり大成功の札はどこだ?……ねぇな。


「……いつから」

「さあな。初めて会った時じゃないか?」

「……なにゆえ」

「かわいい、えろい、おもしろい」

「……??……????お前men食いだったの???」

「それはあれか、『面』と『men』をかけた意味でのめんくいか。実にくだらないがお前のそういう空気が読めないところは好きだ」

いや、少しくらい照れろよ。
ここは面接会場か。
つかもう一度言うが、お前、やっぱ喧嘩売ってるよな?

そう言いかけたが、無表情がデフォルトの弟が微かに緊張している様子を感じ取り押し黙る。

なんとなくいたたまれない気持ちになりながら初耳すぎる弟の言葉をひとつひとつ丁寧に飲み込んでいると、なぜか愉快そうに笑ったルクスがおもむろに手のひらを寄せてきた。


「……顔が赤いな」


頬に触れた低い体温に、自分の顔にさらに熱が集まるのがわかる。

……いっやしょうがねぇだろ!!え、なに?なに突然?びっくりした、びっくりした!!お前、イケメンの癖に童貞だったのそういうことかよ!いやおれもだけど!!

初めて女の子に告白された時以上に全力で照れていると、じっとこちらを見つめていたルクスがボソリと何かを呟いた。


「お前がもし皇位を継ぎたいと言うのなら王都の革命軍を動かして全てリセット・・・・しようと思っていたが、まあまずそれはないだろうと思い連れ去る準備はしていた。親がクズだったおかげで理由作りをする手間が省けたな。これで心おきなく祖父に侵略を頼める」


………?


「しんりゃく?」

「ああ。追いかけてこられては面倒だからな。地位を剥奪して身ぐるみ全て剥いでしまえば手を出す気も失うだろう?これでお前も心置き無く新婚生活がおくれるわけだ」








いや、別にいいんだけどさ。

こいつがおれの返事全く聞かずに新婚とか宣おうと、意外にも不快な気持ちにはならんから聞き流してやるさ。


でも……でもよ。


「……お前がおれのこと大好きなのはわかったけど、どうして国を消す方向に話が進んでるわけ?」


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた

木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。 自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。 しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。 ユエ×フォラン (ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。 男前受け

BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた

BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。 断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。 ーーそれなのに。 婚約者に婚約は破棄され、 気づけば断罪寸前の立場に。 しかも理由もわからないまま、 何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。 ※最終的にハッピーエンド ※愛され悪役令息

従者は知らない間に外堀を埋められていた

SEKISUI
BL
新作ゲーム胸にルンルン気分で家に帰る途中事故にあってそのゲームの中転生してしまったOL 転生先は悪役令息の従者でした でも内容は宣伝で流れたプロモーション程度しか知りません だから知らんけど精神で人生歩みます

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

処理中です...