復讐のナイトメア

はれのいち

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第二 天敵 風間一心

2-5

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 『もう大丈夫じゃ……小春』一心は優しく小

春に話しかけ、両膝をつき、小さく震える

小春を抱き寄せた。

「すぐに……小春の嫌なもんオレが全部やっ

つけるからな。だから安心して待ってな」

一心は、制服の上着を脱ぎ、それを小春に

掛けた。

「貴様か……小春を苦しめている奴は?」

一心は、立ち上がり先程から、がんがん感

じる殺気の方へ目を向けた。

「風間君……どうして貴方が……」と松木は、口

ずさむ、さらにもし嘘が、真山瞬に、ばれたら

と思うと頭の中が、真っ白になり松木は、焦り

始めたのであった。

真山は、その一瞬の松木の動揺を見逃さなかった。

感の良い真山は男が、この世界に来てから松木の

顔色や動揺する仕草をみてもしかして松木が、

嘘をついているのではないかと疑っていたが、

それが確信にかわった。

ーーほぉ……もしかして俺は利用されたのか。

と仮面の下で苦笑いをする真山。

「それにしても、この世界に入って来たなんて

見上げた男だ」

そうして真山は、この状況を一部始終見て察

した真山は、連れてきた松木の方へ向い少し間を

おき、低いトーンの声で言った。

「お前、俺に嘘ついたろ……」

松木は、動揺し、しどろもどろな言い訳をする

のである。

「いや……その……相原小春が、いなければ私

達は間違いなく交際していたんです!」

「ストーカーは、お前だろ? まぁ、お前のお

仕置きは、後で考える」と言い真山は、一心の

方へ向き言った。

「お前は、どうして、ここへ来られた?」

「そんな……事より早く小春をこの呪縛から

解放しろ」

『ふっ』真山は、鼻息であざ笑った。

更に赤茶色した光沢あるソファーに腰掛け

脚を組みかえながら言うのであった。

「お前は、この状況をあまり理解出来てい

ないようだな。まぁ王子様のお手並みの拝見

といきますか」


「偉そうに高いところから見下ろして、殿様気

取りじゃな……」と一心は、何かぶつぶつと言い

はじめ、真山を横目で睨みつけチャンスを伺う。

真山は、立ち上がり一心の方へ、ゆっくりと歩き

始め一心の前で言い放った。

「まあ……今回は、その女を解放する。だから二

度と俺の前に現れるな」と真山は、小春を悪夢

から解放し真山が、背を向けた一瞬を一心は、

見逃さなかった。

この世界で真山は、始めて動揺した。

自分が、支配していると思っていた世界で突然

現れた男に好きなようにされ、更にその男に背

中を見せた一瞬の間に背に何かを貼り付けられ

た。

「これで……茶番は、おしまいじゃ」

真山の体が、石のように重たくなっていく。

「お前、俺に一体何をした……」

一心は、小春に酷い目に合わせた事をゆるせな

かった。

「これは、じいちゃん直伝の霊を縛りつけ 

動けなくする札、後は、貴様をこの世界の生と

死の狭間の片隅に放置するだけじゃ」

「おい!松木何をしている俺を助けろ」

松木は、何がなんだか混乱している状況で

真山の貼られた札を剥がしにいく。

一心は、札を剥がそうとする松木の手を振り払

うと、その衝撃で松木の仮面が、外れおちた。

「お前は、確か、隣のクラスの女、松……」
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