復讐のナイトメア

はれのいち

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第二 天敵 風間一心

2-9

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松木は少し早口になりながら春崎刑事に復讐のナイトメアを利用した話をするのであった。

「そのサイトを知ったのは偶然なんですが……」

 松木が小春の顔色をうかがいながら説明をするのであった。

「本当にごっごめんなさい……小春ちゃん」

小春は両手で握り拳をつくり松木のこめかみの辺りをぐりぐりとする。
 
「ところで松木さん犯人と接触して気付いた事ないですか」

春崎は咳払いの後、本題を切り出した。

「そうね……男女二人組だったわ。あと仮面を付けてたわね」

春崎は小さくため息をつく。
「そうか……一心君と同じ情報しかないか」

そこで一心が話を切り出した。

「松木さんに思い出して欲しい事がある」

「一心君の為なら頭から脳みそ吹きでるまで考えますわ」

(脳みそが吹き出るのは困るのだがーー)
 
「料金と小春の所有物をロッカーに入れたのは何曜日の何時か覚えてるか」

松木は腕を組みながら考える。

「……わかりません」

「じゃあ質問を変えてみようか」

一心はストローでコーラフロートをすすりながら松木に質問した。

「ロッカーにお金を入れた日を教えてくれ……」

それで前回の春崎刑事がロッカー使用した日。

その二回の防犯カメラの映像を後日、確認をする事にした。

そうして数日後、春崎から連絡があり一心は一緒に防犯カメラを確認する為に警察署に行く事に。

もちろん小春等も一緒の同行だ。

そうして一心等は何度もその映像を見せられ、普段の映像と見比べる。

「丁度、通勤ラッシュで駅構内は混雑して人だらけでわかりませんね」

山田がさじを投げるが一心は徐ろに口を開いた。

「なるほど……思った通りだ」

小春が目をキラキラ光らせ一心をみつめる……。

「なに! なに!」

「嫌々そんな大した事じゃないけど……」

一心は気付いた事の説明を始めた。

「そうか……なるほど」

「朝の通勤は、毎日ほぼ同じ人ばかりですが、その日だけ、この女性が写っています」

松木がアゴを親指と人差し指でつまみながら、まるで映画に出てくる探偵ような口調で話すのであった。

「この人どこかで見た事あるわ……思い出した。この髪型、夢の中にいた女と同じ髪型だわ」

「ほお……確かに言われて見ればそうだな。意外に松木は洞察力があるんだな」

一心はそう呟くと松木は更に調子付いたのか突拍子もないことを言う。

「しかも、この女はよく図書室にいるわ……」

「という事は同じ学校という事か……」

一心以外は冗談だと思い軽く聞き流すが彼だけは頭の中で、その可能性を探っていた。

(もしその女が本当にうちの学校にいた場合、犯人の男も同じ学校の可能性が……)

「あの防犯カメラの時間からだと余裕で学校に間に合うな……」

「おい……一心君まで何を言ってるんだ」

山田は少し心配そうな顔をして一心を見つめる。

「春崎さん、この子達、疲れたんだと思います。今日はそろそろ、お開きにしませんか」 

山田が気を回し、また後日と言い、強引にお開きにしようとする。

だがしかし……一心だけは松木仮説の裏付けをしていた。

そこで、一つ気付いた事があった。

それは、ベンチに置いてあるカバンが自分の通う高校と同じカバンだという事に気付いたのであった。

しかも彼女がいなくなると同時にそのカバンも無くなっていた。
 

 

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