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6等星・保健室と報告
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保健室のドアをノックして開ける。
椅子に座りカルテを見る女の先生。
「はーい、どうしたの?あっ」
みんな似合っているわね!と嬉しそうに言う先生。
英理空は素直にありがとうございます!と返す。
「サルース先生、それどころではないです」
「!烏野君、それ誰にやられたの」
俺っちを見て驚くサルース先生、この人は中学の時から世話になってる。
昔、オリオンと戦った時に初めて来た。
それ以降は3人で先生の手伝いをしたりしている。
「そこに座らせて、ちょっと診せてね」
「いっ...」
「結構腫れてるね、今治すから」
ジッとしててと言われ、頬に手を当てられると触れられるだけで痛い。
そのまま先生の手が緑色のオーラを纏い、徐々に腫れと痛みが引いていく。
「よしっ、もういいよ」
「あざっす!」
「3人共、オリンピアに出るんだね」
勿論!と返せば、少し暗い顔をするサルース先生。
俺っち、なんか余計な事を言ったか?
「皆、分かってると思うけどオリンピアは死者が出る」
考え直さない?と聞かれる、確かに死ぬのは怖いし、まだやりたいことが沢山ある。
だけど、これはまたとないチャンスなんだ。
「わりぃサルース先生、俺っちは出るぜ」
「俺もです!」
「...私も出ます、2人と一緒に優勝して戻ってきます」
サルース先生はそっか、でも無理しちゃ駄目だよと笑って言ってくれた。
だけど、どこか悲しそうな顔をする。
「教室に戻ろう、パーティー会場には戻りたくないからな」
「賛成!」
「流石にスーツはきついぜ」
その会話にサルース先生は笑う、何で笑ったのか聞いてみた。
さっきまでの真剣な顔から、いつもの会話が始まるのが可笑しくてと答える。
「これでも緊張してるんっすよ!」
「俺も、そのせいでご飯食べてないです」
お前、さっき皿に沢山乗せていただろ!とツッコむ。
それに再び笑い始めるサルース先生、オリオンはやれやれと小さく溜息をつく。
「失礼します。サルース先生、学園長がお呼びです」
「あっ、はい!」
それじゃあみんな、怪我しないように頑張ってねと言い保健室を出て行くサルース先生。
俺っちたちも教室に向かう。
その後、黒板には謎の張り紙がされていた。
取って中を見ると、パーティーの事は気にしなくていいとのことだった。
「よかったな、オリオン」
「ああ、もう帰っていいらしい」
「帰るか!」
全員着替え終えて、帰ろうとした時。
オリオンが言い忘れたことがあると言った。
「家族にはしっかり言いたいことを伝えておけ、でなければ後悔するぞ」
「分かってる、爺ちゃんたちに言っておく」
「俺は母さんに言う」
オリオンはどうするんだ?と聞けば、あの男は知っているだろうと言いながら鞄を持つ。
まぁ、問題を起こしたことは事実だが、どうせあの学園長が喋るんだろうと思った。
「それじゃあ、また明日なオリオン、英理空」
「またなオリオン!羽白!」
「ああ、また明日」
俺っちたちは学校を出て、家へと帰って行った。
正直、爺ちゃんたちに言うのはきついが何とかなるだろう。
玄関に入って、ただいま~と言うと奥から爺ちゃんと婆ちゃんがお帰りと返してくれた。
きっと話す側も聞く側も辛いだろうなと思いながら、居間にいた爺ちゃんたちに声を掛ける。
「爺ちゃん、婆ちゃん、話があるんだけどいいか?」
爺ちゃんは彼女でもできたのかと笑顔で言う、それに対してちげぇよ!とツッコむ。
「そのっ、俺っち...オリンピアに出るんだ」
その言葉を聞いて爺ちゃんたちは驚いた、2人は顔を見合わせ頷く。
口を開くと驚きの答えが返ってきた。
「やっぱり、彼奴の息子やな」
「貴方のお父さんも、オリンピアに出た人のよ」
「えっ、父さんも...」
俺っち初耳なんだけどと驚いていると、爺ちゃんはお前が産まれて少しして夫婦で海外出張に行ってしまってな。
大きくなったら教えてやろうと思っていたと言われた。
じゃあ、俺っちの父さんと母さんは生きているのかと驚きが隠せなかった。
「オリンピアは死と隣り合わせ、それは彼奴も知って参加した」
「ああ、俺っちも先生に言われた」
俺っちの目的は、父さんと母さんに会うために参加するつもりでいた。
一瞬で願い事が無くなってしまった、どうすればいいんだよと頭を抱えた。
「羽白、参加を辞めるのか?」
「...いや、俺っちは出る」
どうしてだいと婆ちゃんに聞かれ、ふとオリオンと英理空の顔が浮かんだ。
あの2人と一緒にオリンピアで優勝したい、そう思ってしまった。
「大切な仲間が参加してるんだ」
そいつ等を放って置くと、何をしでかすか分からねぇからなと笑って言う。
婆ちゃんは本当に優しい子だねと言い、俺っちの頭を撫でる。
「へへっ」
「羽白が大好きな物沢山作ってあげよう」
「マジで!よっしゃ!」
俺っちも手伝うと言って、婆ちゃんと一緒に台所に立った。
爺ちゃんはいつものようにお茶を飲んでいた。
_______
その頃、オリオンはある墓地にいた。
白、青、黄色が入った薔薇の花束を持ち、ある墓の前に立ち花束を置く。
「もうここには来れないんだ、あの子たちにも後でオリンピアの事を言う」
学校での出来事を話し、今からあの人達にも報告するつもりなんだ、怒られるかもなと言うオリオン。
明日の朝にまた来るよと言い、もう1つの花束を持ってその場を去った。
椅子に座りカルテを見る女の先生。
「はーい、どうしたの?あっ」
みんな似合っているわね!と嬉しそうに言う先生。
英理空は素直にありがとうございます!と返す。
「サルース先生、それどころではないです」
「!烏野君、それ誰にやられたの」
俺っちを見て驚くサルース先生、この人は中学の時から世話になってる。
昔、オリオンと戦った時に初めて来た。
それ以降は3人で先生の手伝いをしたりしている。
「そこに座らせて、ちょっと診せてね」
「いっ...」
「結構腫れてるね、今治すから」
ジッとしててと言われ、頬に手を当てられると触れられるだけで痛い。
そのまま先生の手が緑色のオーラを纏い、徐々に腫れと痛みが引いていく。
「よしっ、もういいよ」
「あざっす!」
「3人共、オリンピアに出るんだね」
勿論!と返せば、少し暗い顔をするサルース先生。
俺っち、なんか余計な事を言ったか?
「皆、分かってると思うけどオリンピアは死者が出る」
考え直さない?と聞かれる、確かに死ぬのは怖いし、まだやりたいことが沢山ある。
だけど、これはまたとないチャンスなんだ。
「わりぃサルース先生、俺っちは出るぜ」
「俺もです!」
「...私も出ます、2人と一緒に優勝して戻ってきます」
サルース先生はそっか、でも無理しちゃ駄目だよと笑って言ってくれた。
だけど、どこか悲しそうな顔をする。
「教室に戻ろう、パーティー会場には戻りたくないからな」
「賛成!」
「流石にスーツはきついぜ」
その会話にサルース先生は笑う、何で笑ったのか聞いてみた。
さっきまでの真剣な顔から、いつもの会話が始まるのが可笑しくてと答える。
「これでも緊張してるんっすよ!」
「俺も、そのせいでご飯食べてないです」
お前、さっき皿に沢山乗せていただろ!とツッコむ。
それに再び笑い始めるサルース先生、オリオンはやれやれと小さく溜息をつく。
「失礼します。サルース先生、学園長がお呼びです」
「あっ、はい!」
それじゃあみんな、怪我しないように頑張ってねと言い保健室を出て行くサルース先生。
俺っちたちも教室に向かう。
その後、黒板には謎の張り紙がされていた。
取って中を見ると、パーティーの事は気にしなくていいとのことだった。
「よかったな、オリオン」
「ああ、もう帰っていいらしい」
「帰るか!」
全員着替え終えて、帰ろうとした時。
オリオンが言い忘れたことがあると言った。
「家族にはしっかり言いたいことを伝えておけ、でなければ後悔するぞ」
「分かってる、爺ちゃんたちに言っておく」
「俺は母さんに言う」
オリオンはどうするんだ?と聞けば、あの男は知っているだろうと言いながら鞄を持つ。
まぁ、問題を起こしたことは事実だが、どうせあの学園長が喋るんだろうと思った。
「それじゃあ、また明日なオリオン、英理空」
「またなオリオン!羽白!」
「ああ、また明日」
俺っちたちは学校を出て、家へと帰って行った。
正直、爺ちゃんたちに言うのはきついが何とかなるだろう。
玄関に入って、ただいま~と言うと奥から爺ちゃんと婆ちゃんがお帰りと返してくれた。
きっと話す側も聞く側も辛いだろうなと思いながら、居間にいた爺ちゃんたちに声を掛ける。
「爺ちゃん、婆ちゃん、話があるんだけどいいか?」
爺ちゃんは彼女でもできたのかと笑顔で言う、それに対してちげぇよ!とツッコむ。
「そのっ、俺っち...オリンピアに出るんだ」
その言葉を聞いて爺ちゃんたちは驚いた、2人は顔を見合わせ頷く。
口を開くと驚きの答えが返ってきた。
「やっぱり、彼奴の息子やな」
「貴方のお父さんも、オリンピアに出た人のよ」
「えっ、父さんも...」
俺っち初耳なんだけどと驚いていると、爺ちゃんはお前が産まれて少しして夫婦で海外出張に行ってしまってな。
大きくなったら教えてやろうと思っていたと言われた。
じゃあ、俺っちの父さんと母さんは生きているのかと驚きが隠せなかった。
「オリンピアは死と隣り合わせ、それは彼奴も知って参加した」
「ああ、俺っちも先生に言われた」
俺っちの目的は、父さんと母さんに会うために参加するつもりでいた。
一瞬で願い事が無くなってしまった、どうすればいいんだよと頭を抱えた。
「羽白、参加を辞めるのか?」
「...いや、俺っちは出る」
どうしてだいと婆ちゃんに聞かれ、ふとオリオンと英理空の顔が浮かんだ。
あの2人と一緒にオリンピアで優勝したい、そう思ってしまった。
「大切な仲間が参加してるんだ」
そいつ等を放って置くと、何をしでかすか分からねぇからなと笑って言う。
婆ちゃんは本当に優しい子だねと言い、俺っちの頭を撫でる。
「へへっ」
「羽白が大好きな物沢山作ってあげよう」
「マジで!よっしゃ!」
俺っちも手伝うと言って、婆ちゃんと一緒に台所に立った。
爺ちゃんはいつものようにお茶を飲んでいた。
_______
その頃、オリオンはある墓地にいた。
白、青、黄色が入った薔薇の花束を持ち、ある墓の前に立ち花束を置く。
「もうここには来れないんだ、あの子たちにも後でオリンピアの事を言う」
学校での出来事を話し、今からあの人達にも報告するつもりなんだ、怒られるかもなと言うオリオン。
明日の朝にまた来るよと言い、もう1つの花束を持ってその場を去った。
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