アストロノミー~星火燎原~

リオン・アルバーン

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29等星・特訓とオリオンの武器

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一度、サルース先生に診察してもらい、何とか特訓できる許可を貰って安心した。
オリオンたちと共に、昨日の場所に向かった。

「昨日はわりぃ、折角の特訓なのに」

「平気だ、それより体調は?」

「昨日の筋肉痛が無くなって、大分楽になったぜ」

それなら練習に支障は無いなと言うオリオン。
英理空は良かったな、羽白!と笑顔で言う。

「先に私と羽白で手合わせをする」

「いきなりかよ、いいぜ!」

オリオンと向かい合う形で位置につく、俺が審判しようと言い、中央辺りに立つ英理空。
俺っちは準備体操をして、昨日の事を思い出そうとしたが、どうも思い出せない。
とりあえず今は特訓に集中しようと、顔をぺちぺちと軽くたたく。

「始めるぞ、頼む英理空」

「ああ!」

俺っちとオリオンは構える。
そういや、こうやってオリオンと手合わせするの久々だな。
始めっ!と英理空の声で俺っちは能力を使って羽を飛ばす。

華麗に躱して俺っちに近付こうとする、それを狙って高く飛んで再び羽を飛ばして、急降下で奇襲を掛けようとしたが、オリオンには見透かされていたようで、俺っちの翼を掴んで地面に叩きつける。

「ぐぇっ!」

「そこまで!勝者、オリオン!」

「前より強くなったな」

「よく言うぜ、俺っちを叩きつけておいて」

俺っちに手を差し伸べるオリオン、手を掴んで立ち上がると、奇襲には流石に驚いたと言われた。
こいつ、顔にあまり出ないから分かりづれぇ…でも、はっきりいわれると照れる。

「もっとそのスピードを活かせ、もう1つ何かできればいいんだが」

「何かって急に言われてもなぁ…あっ、俺っち、喋るの好きだわ」

「…お前のその声、前に私にやったみたいにできないか?」

「えっ、あれか」

できなくねぇけど、あれ意外と喉を痛めるんだよなと返す。
喉も鍛えておけ、そうすれば武器になると言われた。

「ありがとな、そっちもやってみるわ!」

「オリオン、次は俺と!」

俺っちは英理空と交代した。
オリオンは準備はいいか?と聞く、それにいつでもいいぞ!と返してお互いに構える。

「怪我すんなよ、始めっ!」

「行くぞオリオン!」

「来い」

英理空が能力を使い、下半身が蛇になり、そのままオリオンに向かう。
なんなく躱して英理空の後ろに回ろうとしたが吹っ飛ばされる。
気付くと、真横には服の砂埃を払うオリオンが立っていた。

「何が起きた?」

「成程、尻尾を使っての攻撃か」

「冷静に説明してる場合か!?」

どうだオリオン!と聞く英理空、それにいい攻撃だと言って靴先をトントンッとして一瞬で消える。
それに驚いて見渡していると、英理空が腕を前に出した途端、吹っ飛ばされた。
尻尾で態勢を立て直すが、オリオンの拳が目の前にあった。
英理空は避けきれずに顔面で受けてしまった、俺っちとオリオンは、あっ…と声が出てしまった。

_______

「鼻の骨は折れてなくてよかったな」

「すまない英理空」

「気にするな!オリオン!」

俺っちは水を飲んで言う。
水で濡らしたタオルを、英理空の鼻に当てるオリオン。

「しかしオリオンは強いな!全く追いつけなかった!」

「いや、まだ遅すぎる。英理空、攻撃も咄嗟に防いだところはよかった」

攻撃か防御、どちらかに特化させた方がよさそうだなと言うオリオン。
うっ、どちらか…と悩む英理空、俺っちは英理空の肩に腕を回して言った。

「どっちでもいいんじゃねぇの?オメーらしく特化させちまえよ」

「俺らしく…」

オリオンもそう思うだろ?英理空にどっちかは無理だからよと言う。
お前が無理しなければどっちも特化させれる、できるか?と英理空を見て聞く

「ああ、できる!俺はアテナの息子だ!」

「流石英理空、その意気だぜ!」

「燃えてきたーっ!」

しばらく特訓をして、俺っちと英理空が地面に倒れる。
空はオレンジ色に染まっていた、綺麗だな~っ…横で棒を振ってるオリオンが目に入る。

「オリオン、そろそろ切り上げて宿に戻ろうぜ」

「そうだな、また明日続きをやろう」

賛成~っと倒れている英理空が手を挙げて言った。
オリオンが俺っちの前に立って、手を差し出す。

「平気か?」

「ああ、ありがとな」

立ち上がって英理空を起こそうとした時、ふらついて後ろに居たオリオンにぶつかった。
カラカランッと地面に棒が転がる。

「わりぃ、オリオン」

「ああ、平気だ」

オリオンは転がった棒を拾い、腰にしまった。
英理空がそれを見て思い出したかのように言った。

「なぁオリオン!その棒、いつも持ち歩いているがなんて武器だ?」

「武器は棒だが…強いて言えば‘嘘密こみつ’」

「こみつ?」

「嘘と書いて秘密の密で、噓密だ」

変わった名前だなと言うと、自分でつけたと答えるオリオン。
なんで名前をつけたんだと聞く英理空。

「自分の罪を忘れないために、この名前にした…それだけだ」

「罪?」

「宿に戻るぞ、風呂の時間もあるからな」

そう言って先を歩くオリオン、俺っちと英理空は急いで後を追いかけた。
ただ少し気になったのは、さっきの言葉。
自分の罪を忘れないためって、どういう意味なんだよ…オリオン。

_______

飯を食い終えて、汗を流そうと大浴場に来た。
流石に体がまだい痛い、頑張って特訓すれば、もしかしたら夢であの2人に会えるかもしんねぇ!
とりあえず、ひとっ風呂浴びて明日の為にも…よ~し、また後で来て入るとするか。

「あれれ、烏君じゃん」

「なんでお前がここに居るんだよ、河童野郎」

「烏野と五角、今から風呂か」

「はい!獅子丸先輩たちもですか?」

そうなんだよと言う獅子丸先輩、俺っちはマジかよと呟いて頭を押さえる。
渋々、河童野郎と木綿先輩たちと入ることになった。
体を洗い終えて湯船に浸かっていると、女湯から声を掛けられた。

(「英理空、後でサルース先生に診てもらうから、あまり鼻に触れるなよ」)

「ああ!分かった!」

「おっ、やっぱりオリオンいたか」

今1人か?と聞く河童野郎。ああ、それがどうしたと返すオリオン。
よしっと言い、黄色の風呂椅子を重ね始めた。

「オメー、何やってんだ」

「何って…覗き」

「馬鹿じゃねーのか!?」

大丈夫大丈夫、オイラ忍者だしとウィンクして言う河童野郎。
オメーのことは1ミリも心配してねぇんだよ!と怒って言い返す。

「まぁまぁ烏君、何だったら一緒に覗いても…」

カコーンッ   ドサッ

河童野郎の頭に檜の桶が命中して、その場で倒れる。
もちろん、これをやったのは1人しかいない。

(「木綿、河太郎を頼む」)

「すまないオリオン」

「覗きは最低だぞ、河太郎」

木綿は河太郎を抱えて大浴場を出た。
獅子丸先輩に冷たく言われていた。
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