アストロノミー~星火燎原~

リオン・アルバーン

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30等星・昔の話とトーナメントルール

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大浴場から出て、オリオンがソファーで牛乳を飲んでいた。
俺っちは慌てて駆け寄ってさっきのことを説明した。

「オリオン、別に俺っちは覗こうなんてしてなくて、あの河童野郎が勝手に言い始めたことで」

「分かっている。フルーツ牛乳はなかった」

これで我慢しろと言い、俺っちに牛乳を渡され受け取る。
蓋を開けて一気に飲み干した。

「「ぷはっ、美味いっ!」」

「なんで同じことを言うんだよ、河童野郎」

「仕方ないじゃん、オイラのマネをした烏君」

お互いに睨み合っていると、オリオンが再び牛乳を飲む。
隣にいる英理空と獅子舞先輩は、ぷはっ!と一気に飲み干していた。
木綿先輩はいい加減にしろ、河太郎と言い、首に布を巻き付ける。

「ぐぇっ、ちょっと、木綿」

「いいから話せ」

やはりそうかと言い、オリオンは俺っちの肩を掴んでソファーに座らせる。
河童野郎の前に立って、わざわざ風呂の時間をずらしてまで話したいことはなんだと聞く。

「…やっぱり分かっちまうか、良い知らせと悪い知らせ、どっちがいい」

「良い知らせ」

その言葉に即答するオリオン、めっちゃ食い気味で驚いた。
よし分かった、良い知らせは鬼越先生が見に来るってよと言う河童野郎。
それを聞いて少し嬉しそうな顔をする。

「先生が来るのか」

「顔出してやれよ、会いたがっていたぜ」

そうだなとオリオンは一言返し、牛乳を飲み干した。
あと悪い知らせだと言う河童野郎。
オリオンがそれを聞いた途端、顔が少し強張る。

が参加してきたと言いたいんだろ」

「そういうこと、あのクソ神が参加するとか最悪すぎるぜ」

神が参加した時から予想はしていたが、よく会わなかったなと言うオリオン。
ああ、しっかしトーナメントにどっちかが当たるだろと言い、牛乳を一気に飲む。

「その時は分かっているだろ、河太郎」

「分かってるって、オリオン」

「「絶対にあの神をぶっ飛ばす」」

静かに恐ろしいことを言ったオリオンと河童野郎、その神はお前等に一体何をしたんだ。
それじゃあ、おやすみと言い、その場を去る河童野郎と木綿先輩たち。
俺っちは気になって、そいつにどんな恨みがあるんだ?と聞いた。
するとオリオンはソファーに座り直し、長くなるがいいか?と聞かれ、俺っちと英理空は頷いた。

「…小学1年の時、私は‘都市伝説組’と呼ばれる不良に目を付けられたことがあってな」

「都市伝説組って、中学の時にあった七不思議のか!?」

「ああ、その時の私は能力を使うことができず逃げた。しかし逃げれずボロボロに殴られ死にかけた」

そんな時だ、金棒を持った鬼が現れて私を助けてくれた。
もしかして、さっき言っていた鬼越先生か!と言う英理空。

「そうだ、あの人が居なかったら私は死んでいただろう。手当てまでしてくれて、その後に河太郎たちと出会って、勉強を一緒に受けて、他に護身術や武器の使い方も教わった」

「良い先生だな」

「ああ…ただあの神に出会わなければ、河太郎も」

「河童野郎、何かされたのか」

「私を庇って大怪我を負ってな…その後ヘルメスに見つかり、家に連れ戻された」

それから会えずに中学3年になった時、手紙を送ったら返事がきて、お互いにあの時の事を気にして手紙を送っていいのか悩んでいたと言うオリオン。

「パーティーで再会した時は嬉しかったな」

「通りであんなに喜んでいたわけか」

「結局、その神は誰なんだ?」

「あまりあの神の名前を出したくはないが…そいつは’大日如来‘と言う神だ」

彼奴は私があの男の子だと知っていたから、あんな事をしたんだと言い、悔しそうな顔をするオリオン。
俺っちはオリオンの前に立って、拳を出す。

「もしその大日って奴がトーナメントで当たったら、俺っちがぶっ飛ばしてやる…心配すんな、俺っちはそんな奴に負けねぇよ」

「俺もだ!負けはしない!」

「羽白、英理空…ああ、頼りにしてるぞ」

そう言って俺っちの拳に自分の拳をコツンッとぶつける。
英理空もオリオンとしてもらい、嬉しそうだった。

_______

あれから特訓を重ねて、ついにこの日が来た。
俺っちたちはトーナメント表が掲示される闘技場へ向かった。
観客席に座って辺りを見渡していると、反対の方にはゼウスたちが座っていた。

「オリオン!向こうに学園長がいる!」

「…ああ、そうだな」

何故かオリオンの声トーンが下がった、それに違和感を覚えてゼウスの方を見るとそりゃ嫌な顔をするわな。
ポセイドンがいる、その横に居る女は確か…。

「アンピトリテだったか?」

「へぇ~っ、あの女はアンピトリテって言うんだ」

「だから…なんっでお前が居るんだよ!!」

俺っちが横の席を見ると河童野郎が居た、指を指していうと呑気によっ!と返す。
木綿先輩と獅子丸先輩がすでに座って、オリオンは溜息をついてそろそろ始まるぞと言う。
中央からヘルメスと受付の女たちが現れて、マイクを持ってヘルメスが喋り始めた。

「難関をクリアした皆様、お集まりいただきありがとうございます。
 明日から始まるオリンピアのご説明をさせていただきます。
 ルールは簡単、相手を戦闘不能にすること、もちろん殺すこともありです。
 ただし、降参することはできません、どちらかが倒れるまでの試合になります。」

「おいおい、本当の殺し合いじゃねかこれ」

「やはり昔と変わらないか」

「…

そう言って反対側を睨みつけるオリオン、その先には頬杖を付いて真顔でこちらを見つめるポセイドン。
もしかして、このルールを知っていたのか?だったらなんで言わなかったんだ…いや、知ってても言えなかったのか、変わることを読んで。

「それではトーナメント表の書かれた紙をお配りします、お気をつけて」

「何に気を付けるんだ」

受付の女たちの持っていた紙が、操られたかのように飛んできて1枚を手にする。
書かれている内容を見ようとした時、燃え出した。

「おわっ!」

「羽白!」

俺っちは驚いて投げ捨てちまった、オリオンがその紙に手を伸ばして握り潰した。
プシューッと音と白い煙が出て、すぐに静かになる。

「オリオンっ、大丈夫か!?」

「平気だ、怪我はないか」

喋っている途中に手を掴み、ゆっくり開かせる。
紙は灰とかしていたが、手は赤くなっていた。

「ばっか!火傷してるじゃねぇか!」

「押さえられなかったか、流石叔父様」

そんなこと言っている場合か!といいオリオンの手首を掴んで、この場から離れようとした。
河童野郎が俺っちに声を掛けて何かを投げつけた、それをキャッチすると竹筒だった。
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