この雨にも唄ってくれますか…?

富屋まーる

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亜章

探偵の仕事

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 どうもどうも、初めまして。私が女子高生探偵のKです。
名前……?まあ、いいじゃないですか、そんなもの。
ここでは、誰もが名前などあってないようなもの。大事なのは役割です。

 ええ。わかっています。とても不可解な事件が起きて、私の力が必要となったのでしょう?
もちろん!私で良ければいくらでも力になりましょう。
これは、私にしか解けない事件……。そんな予感がするのです。

 ほう、今日の現場はここですか。なるほど、随分と散らかっていますね。
そこら中に血が飛び散っていて、ひどい有様です。
犠牲者は三人、いえ、四人でしょうか?男性の死体が一体、残りが女性という事ですね。
情報ありがとうございます。これは、もう検証は済んでいますか?そうですか。それは良かったです。

 では早速、事件の詳細をお聞きしましょうか。



 死亡推定時刻は_____月_日、夜21時頃。被害者はこの家に住む四人家族で、両親とその子供たちという事ですね。
 
 死因は?
父親と子供が、刃物による出血死、母親は殴打死ですか。なんともむごい。

 事件当日にこの家に誰かが訪れた、あるいは押し入った可能性は? 
形跡はなし、ですか……。ということは、この家庭内で起こった事件の可能性が高いと……。

 第一発見者は?
母親の姉ですか。事件の翌日に母親と会う約束をしていた、と。
その人物のアリバイはもう取れているんですね。
はい、分かりました。

 ということは家族内トラブルでしょうか……?

 では、凶器となった刃物の指紋は?
子供と父親についていた、……なるほどなるほど。
これは厄介ですね。もしかしたら犯人となる人物自身が亡くなったことも考えられますね。
事故?それとも無理心中?確かにそう考えると母親や子供に抵抗の痕のようなものが見受けられます。

 家族仲や、父親の仕事については何か分かっていますか?
私が見るに、家の外観、調度品、服装に至るまで絵に描いたような理想の家族のように感じられます。
ええ。ええ。やはり、近隣住民からも評判だったと。

 いえ、それは違いますね。
だからこそ怪しいんです。本当にそんな素敵な家族だったのなら、少しは嫉妬の声があったり、粗を探そうとする人もいるはずですから。
ええ。今一度、周辺住民の聞き込みをお願いいたします。

 一体、この家族に何があったのでしょうね……?

 ……どうしたんですか?なぜ、そんなに頭を抱えているんですか?
大丈夫。私がいるんです。名探偵は最後には必ず真実を解き明かすものなんですから。

 その代わり、約束してもらえませんか?
この先、絶対に被害者を出さないと。もしかしたら、第二の事件が起こることもあり得ます。
でも、そのとき探偵は無力なんです。謎を解き明かすことは出来ても、被害者を減らすことはできないんです。
そういう役割を背負わされた運命なんです。

 だから、よろしくお願いしますね。
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