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第一章
プロローグ
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二○七○年。時代の流れに合わせて、子供から大人まで遊ぶゲーム機も進化し、ついには夢のまた夢とまで言われていたVRMMOまでもが実現した。もちろんVRMMOだけではない。オンラインゲームが苦手な人用向けにもVRSLGというオフラインであり、一人プレイ専用のゲームも開発された。
VRMMOとVRSLG。大勢で一つの物語をプレイするか、一人で一つの物語をプレイするか、それだけの違いではあるものの、その意味合いは大きく違ってくる。
「あー、早く帰って『召喚術師はじめました』やりたいなあ」
大学からの帰り道、一人小さく呟く。
フルダイブ機能が搭載されたVRMMOとVRSLGは異世界ともいえるもう一つの世界と言っても過言ではない。そのため現実とゲームの区別がつく年齢、そして脳が抱える情報を読み取ることによる身体への負担を考え、フルダイブは二十歳からという制限が設けられた。
だから去年ようやく二十歳になった鈴は、ようやく専用のゲーム機器を手に入れたのである。ゲーム機器を手に入れて初めて手にしたのが『召喚術師はじめました』という女性に人気なゲームだ。このゲームは最初、契約術師として様々な契約獣の悩みを解決し、契約獣と契約。そして最終的には契約獣との強大な絆の力により、主人公は輝人という特別な存在になって、召喚術師という新たな力を手にし、契約獣から召喚獣になった相棒と色んな事件を解決したりするタイトルそのまんまのゲームだ。
もちろん女性に人気というだけあって、ただのRPGゲームではない。
召喚獣は人化もでき、乙女ゲーム要素、つまりは恋愛もすることができる。そしてここで活躍してくるのが人工AIだ。プレイヤーの態度や周囲の環境によって召喚獣の見目や性格も変わってくる。だから同じゲームとは言っても、全く同じ召喚獣と恋愛をすることはできないのだ。一人一人が違う相手と恋をできる、そういう素晴らしいゲームなのである。そして何より、人気な理由が、その召喚獣と十八禁なこともできるというところである。
鈴は一年ゲームをプレイしてきて、ようやく契約術師の最高峰である輝人になることができた。素晴らしい召喚獣という名の恋人もできたし、まだ十八禁なとこまではいっていないが、もう毎日ゲームをするのが楽しくて仕方なかった。
そんな今日この頃。
まさか鈴はこんな事態に陥るなんて思いもしなかった。
講義が終わったのは十九時過ぎで、仕事終わりの会社員や、鈴と同じく講義を受け終えた学生がちらほらと駅のホームに集まっていた。
電車を待つ列に並びながら、スマートフォンを触っていると誰かが勢いよくぶつかってきた。もちろんそんなふいうちに鈴が耐えられるはずもなく。そして運の悪い事に鈴は列の一番前にいて。
電車の耳が痛くなるような音と、人々の悲鳴をあとに鈴は電車にはねられた。
そんな鈴が最後に発した一言と言えば。
ゲームの続きがやりたかった――だった。
VRMMOとVRSLG。大勢で一つの物語をプレイするか、一人で一つの物語をプレイするか、それだけの違いではあるものの、その意味合いは大きく違ってくる。
「あー、早く帰って『召喚術師はじめました』やりたいなあ」
大学からの帰り道、一人小さく呟く。
フルダイブ機能が搭載されたVRMMOとVRSLGは異世界ともいえるもう一つの世界と言っても過言ではない。そのため現実とゲームの区別がつく年齢、そして脳が抱える情報を読み取ることによる身体への負担を考え、フルダイブは二十歳からという制限が設けられた。
だから去年ようやく二十歳になった鈴は、ようやく専用のゲーム機器を手に入れたのである。ゲーム機器を手に入れて初めて手にしたのが『召喚術師はじめました』という女性に人気なゲームだ。このゲームは最初、契約術師として様々な契約獣の悩みを解決し、契約獣と契約。そして最終的には契約獣との強大な絆の力により、主人公は輝人という特別な存在になって、召喚術師という新たな力を手にし、契約獣から召喚獣になった相棒と色んな事件を解決したりするタイトルそのまんまのゲームだ。
もちろん女性に人気というだけあって、ただのRPGゲームではない。
召喚獣は人化もでき、乙女ゲーム要素、つまりは恋愛もすることができる。そしてここで活躍してくるのが人工AIだ。プレイヤーの態度や周囲の環境によって召喚獣の見目や性格も変わってくる。だから同じゲームとは言っても、全く同じ召喚獣と恋愛をすることはできないのだ。一人一人が違う相手と恋をできる、そういう素晴らしいゲームなのである。そして何より、人気な理由が、その召喚獣と十八禁なこともできるというところである。
鈴は一年ゲームをプレイしてきて、ようやく契約術師の最高峰である輝人になることができた。素晴らしい召喚獣という名の恋人もできたし、まだ十八禁なとこまではいっていないが、もう毎日ゲームをするのが楽しくて仕方なかった。
そんな今日この頃。
まさか鈴はこんな事態に陥るなんて思いもしなかった。
講義が終わったのは十九時過ぎで、仕事終わりの会社員や、鈴と同じく講義を受け終えた学生がちらほらと駅のホームに集まっていた。
電車を待つ列に並びながら、スマートフォンを触っていると誰かが勢いよくぶつかってきた。もちろんそんなふいうちに鈴が耐えられるはずもなく。そして運の悪い事に鈴は列の一番前にいて。
電車の耳が痛くなるような音と、人々の悲鳴をあとに鈴は電車にはねられた。
そんな鈴が最後に発した一言と言えば。
ゲームの続きがやりたかった――だった。
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