ジンクス【ZINKUSU】 ―エンジン エピソードゼロ―

鬼霧宗作

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第二話 Q&A【事件編】

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 クスリの多量摂取。それは、舞香の口からは聞けていない言葉だった。クスリの常用を坂田に知られたくなかった――といえば聞こえはいいのだが、どうにも納得できない。

「その男、実は掲示板で引っ掛けた男とは違ったって知ってたか?」

 坂田が問うと、巌鉄は目を丸くして「そうなのか?」と一言。どうやら、そこから説明しなければならないらしい。

「あぁ、あれは例の女が付きまといの事実をでっち上げるためにやったことだよ。死んでた男は現地調達……と本人は言ってたが、それもいよいよ信憑性がなくなってきたな」

 状況をはっきりと理解できていないであろう巌鉄をさておき、坂田は思考を先に進めてしまう。

 そもそも、今回の囮捜査は、舞香と被害者がクスリをやっていたという事実をすり替えるために行われた。これらのことから考えると、少なくとも被害者の死にクスリが関わっていると、舞香は思っているようだ。

「おっさん、被害者の交友関係をちょっと洗ってみてくれ。どっかで、誰かさんがイキって取り締まってくれたグループの人間にたどり着くはずだ」

 巌鉄に直接的な捜査権はないから、改めて他の人間が動くことになるだろう。例えば、倉科とかいう刑事が。

「交友関係ねぇ――。ちょっと時間がかかるかもしれんな」

 メモ帳を開きながら、段取りを組んでいる様子の巌鉄に、坂田はさらに問う。

「話は変わるけどよ、もう遺体って火葬されてんだよな?」

 事件はそれなりに前の話だし、すでに葬儀は執り行われたどり着く聞いた。ならば、遺体は火葬されてしまっているはずだ。

「あぁ、今さら解剖のほうに回して、クスリの成分が出てくるか調べることはできねぇな。事件の後、一度は解剖に回されてるが、今回のクスリLSDに似てるんだろ? だとしたら、頭からそれを念頭に解剖しなきゃ、異常な成分は検出できねぇよ。最近のは色々と出来が良くなってるんだ」

 今回の事件とクスリは大きく関わりを持っている。となると、やはり舞香が怪しくなってくるだろう。なぜなら、被害者と一緒にクスリをやっていたのだから。そして、それを隠蔽するために、囮捜査なんてものまでやってのけた。

「おっさん、それじゃ舞香のやつは? あいつはどこにいる? あいつに話を聞くべきだと俺は思うけどな」

 坂田の言葉に巌鉄は首を横に振る。

「何度かこちらから連絡してるんだが、電話に出てもくれねぇよ。家にも帰ってないみたいだしな」
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