ジンクス【ZINKUSU】 ―エンジン エピソードゼロ―

鬼霧宗作

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第二話 Q&A【事件編】

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【12】

 警察の仕事は、坂田が思っていたよりも速かった。やはり、遺体の見落としという重大なミスをやらかしてしまったから、挽回に努めたのかもしれない。

 その日、坂田は珍しくグラウンドゼロに入り浸っていた。時間がある時は日雇いのバイトなどで日銭を稼ぐ時もあるが、基本的に坂田は生活さえ成立すれば、それ以外のことは全く気にならないタイプ。それでも、しばらくバイトに出ていたから、久しぶりの休みだった。

 マスターにコーヒーを出してもらい、それと煙草で一服していると、携帯電話が鳴った。出てみると、相手は巌鉄だった。堂々と警察署の電話から連絡してきてくれるが、そういうのは大丈夫なのだろうか。

「巌鉄だ。先日の遺体の詳細が分かったぞ」

 時間はお昼の少し前。ちょっとは気を遣って欲しいものだ。

「マスター、飯はもうちょっと後にしてくれ。下手すると飯が喉を通らねぇかもしれねぇから」

 もうじきしたら、マスターお任せでランチが出てくる手筈になっていたが、目の前でコーヒーカップを磨くマスターに言うと、事情を察してくれたのか、マスターは無言で頷いた。

「それで、どこのどいつだったんだ?」

 遺体は腐敗が始まっていたが、体型と顔つきからして女性だったと思う。問題は、その女性がどこの誰で、千秋とどんな関係にあったかだ。

丸山千穂子むらやまちほこ先月、仕事に出かけたまま家に帰っておらず、今月に入ってから両親が捜索願いを出していた。死因は手首の動脈を切断されたことによる出血性ショック死だった」

 手首の動脈を切断。それと同じような状況を坂田は聞いたことがあった。

「手首を切られてるって、確か最初の犠牲者の加藤千秋も、同じだったよな?」

 坂田の問いに、受話器越しのため息が漏れてくる。

「その通りだ。死亡推定時刻は腐敗が進んでいたために断定することは難しかったが、おそらくは殺害された加藤千秋と、時期は同じだろうとのことだ」

 遺体の発見が相当に遅れてしまったから、正確な情報は出てこないだろうとは踏んでいた。ただ、分かったこともある。

「手口から考えて、使われた凶器はもちろん、犯人も同じだと考えられるな――」

 坂田の言葉に、ライターで煙草に火を点けるような音がしてから、巌鉄の返事があった。

「あぁ、凶器は同様のものだという見解が出てる。つまり、あのホテルで殺されたのは、加藤千秋だけじゃなかったということだ。その他にも、同じタイミングでもう一人殺されていた」
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