ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【出題編】

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 現場は山奥の倉庫として使用されていた。当然ながら、外側からは鍵をかけられるようにしておかねばならないだろう。内側から鍵をかけられないという仕様は、まぁ倉庫であれば問題ない。

「山奥のキャンプ場で倉庫として使われていたんだろ? だったら、そういう仕様でも問題ねぇだろ」

 斑目の言葉を代弁するかのごとく鯖洲が呟く。その通り。倉庫として使うだけであれば、内側から鍵がかけられなくても問題はない。

「それがもしも、私達の思い込みだったとしたら? そう思い込んでしまうことで、あるおかしな点が隠されてしまっていたとしたら?」

 コトリは意味深なことを言いながら、スマホ画面をフリックする。写真が切り替わる。次は外側のドアノブを写したものらしい。内側のほうと同じように、長方形の土台があり、その上にドアノブがある。土台の四方にはネジが止められていた。内側の写真ともっとも異なるのは、ドアノブに鍵穴があるということか。

「――これでは、セキュリティーとして意味を成さないのでは?」

 ふと、何かに気づいたかのように呟き落とす冥。コトリは「気づいたみたいですわね」と笑みを浮かべる。自然と鯖洲と目が合った。どうやら、こちらは分からない組らしい。その答えを求めるため、コトリに熱い視線を向けていたのであるが、残念ながらスルーされてしまった。スマホを片付けるコトリ。

「現状はここまでにしておきましょう。もう少し調べておきたいことがあるから。それはさておき、食事にしましょ」

 コトリが密使の謎に片足を突っ込んだからこそ、冥の手が止まったわけだが、コトリの一言がきっかけとなり、冥がテキパキと動き出す。

「申し訳ありませんが、そちらはセルフサービスで」

 台拭きらしきものを取り出すと、お茶で氾濫していた鯖洲の目の前に置く冥。自分で拭け――ということなのであろう。鯖洲は少し面白くなさそうにしていたが、渋々とテーブルを拭く。その間に冥は朝食の準備を進め、鯖洲がテーブルの上を片付けた頃には、立派なサンドウィッチがそれぞれの目の前に並べられていた。朝食は食べない派ではあるものの、その美味そうなビジュアルに腹が鳴る。

「それでは、いただきましょうか」

 コトリが手を合わせると、自然に朝食の流れとなった。冥が淹れてくれたお茶をひと口。紅茶の香りが鼻から突き抜ける。

「もうひとつだけ、引っかかっていることがありますの。それは、なぜ窓辺野不動産は、あんなところを買い取ったのか――ですわ」
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