ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

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 冥が鯖洲に付き添う形で院内へと入っていく。さすがに緊急搬送口から大所帯で中に入るわけにはいかない。

「ここだと危険かもしれません。どこか建物の中が好ましいのですが――あ、あそこにしましょうか」

 病院の斜向かいに、こぢんまりとした喫茶店のようなものがあった。看板は出ているが、ぱっと見た感じ営業しているか否かも怪しいような喫茶店。隠れ家として使うには、もしかすると下手に人が多いファミレスよりもいいのかもしれない。

 斑目が先導をし、喫茶店のほうへと向かう。道路を渡るだけなのに、随分と斑目は周囲を警戒していた。

 道路を渡ると、なかば小走りで喫茶店へと向かった斑目。扉を開け、営業しているかを確認したのであろう。こちらに向かってオッケーサインを出してきた。コトリと千早も喫茶店へと向かう。

 喫茶店の中は外界から遮断されていた。カーテンの隙間から外の光は入るものの、随分と店内は薄暗い。ただ、小さくジャズミュージックらしき音楽が流れており、それらを含めると雰囲気は悪くない。

「とりあえずコーヒーでもいただきましょうか」

 斑目がテーブルに座り、千早とコトリが対面になる形で着席する。お冷やを出してくれた、癖のありそうなマスターにコーヒーを頼む斑目。

「それで、さっきの話の続きは?」

 やや落ち着いた空間に入ったものの、コトリの心中は穏やかではなかった。なぜゆえに自分が狙われてしまうのか。なぜ、こんなことになっているのか。分からないことが多すぎる。

「えぇ、どこまで話しましたっけ? あ、とにかく過去の事件を引っ張り出してしまったからこそ、あなたは命を狙われているのです」

 なかなか本質的な部分に触れてくれない。まるで、わざとそこに触れることを避けているようにも感じられた。それは、きっと事情を知っているであろう千早も感じたのか、小さく咳払いをした千早が代わりに口を開いた。

「窓辺野さん。あなたはこれまで、会社を通じて事故物件を確保し、そこで起きた未解決事件を解決するということを繰り返してきました。しかも、社員である一里之君まで動員してです。くわえて、玄界灘さんと鯖洲さんまで、給与を出して雇っている。これを、なぜ会社が――いえ、あなたのお父様がお許しになっていたのでしょうか」

 それは、昔からわがままをなんでも聞いてくれた父だから。ぱっと思いつくのはそれくらいだったのであるが、しかし千早の口からは意外な言葉が飛び出した。

「それは、あなたが過去の事件に触れると困るからです。だから、あなたのわがままは聞き入れられたし、会社を私的な理由で使っていても、許されていたのです」
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