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わがまま姫とそれが不愉快な仲間達【午後1時〜午後2時】
わがまま姫とそれが不愉快な仲間達【午後1時〜午後2時】1
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【午後1時 西宮富治 地下道】
普通、地下道といえばジメジメとしていて、空気は淀み、外では見たこともないような気味の悪い虫の一匹や二匹くらいいるような気がするのだが、ここは随分と真新しい。一応、通路の中央が深く掘られており、下水道のような構造にはなっている。しかし、実際に下水が流れているわけでもなく、ただただコンクリートで塗り固められた通路が続いているだけだ。その本来ならば下水が流れるであろう水路を、彼――西宮富治は同行者と共に歩き続けていた。
「この下水道――まだ下水が流れた形跡がないし、何よりも新しすぎる。つい最近になって作られたみてぇだな」
西宮は同行者に向かって口を開く。すると、同行者は実に不機嫌そうな表情をさらに不機嫌にしながら口を開く。
「じゃあ、オッさんの言う通り、ここはゲームのためだけに作られたと? 馬鹿馬鹿しい」
ヒールの音を響かせながら否定的な発言をする彼女は瀬戸晴美というらしい。茶色がかった髪が印象的な、ややキツめの美人といったところか。黒のキャミソールに黒のロングスカートという出で立ちであり、外見だけならば西宮も異性として嫌いではない。まぁ、もはや還暦が近い男など相手にはされないだろうが、なによりも蓋を開けてびっくり。とにもかくにも外見以上に性格がキツいのだ。
西宮と晴美が合流したのは、妙なアナウンスが終わってすぐのことだった。
目を覚ましたのは、この下水道らしき場所だった。なぜだか周囲はほんのりと明るかった。ショルダーバッグのそばにロウソクが立てられていたからなのだが、そのおかげでショルダーバッグを見つけることができたし、SGTという端末も問題なく手に入れることができた。アナウンスが終わる頃にはロウソクの灯りも消えてしまったのだが、しかし西宮にはおあつらえ向きの物資が支給されていたのだった。それが、今現在も足元を照らしてくれている懐中電灯である。
――ヒント【B】 ブービートラップに与えられた【固有ヒント】は偽物である。
西宮のSGTに入っていた【固有ヒント】だ。時代はどんどんと進化し、それに辛うじて追いつこうとガラケーの扱いを覚え、ようやくそれを覚えたと思ったら、世の中はスマートフォンとかいう、もはや機能付き携帯電話ではなく、電話機能付のなにかに移行してしまった。むろん、西宮はガラケーの生産が終わっても、自分の持っているガラケーが壊れるまでは、ガラケーを使い続けるつもりでいたタイプである。
普通、地下道といえばジメジメとしていて、空気は淀み、外では見たこともないような気味の悪い虫の一匹や二匹くらいいるような気がするのだが、ここは随分と真新しい。一応、通路の中央が深く掘られており、下水道のような構造にはなっている。しかし、実際に下水が流れているわけでもなく、ただただコンクリートで塗り固められた通路が続いているだけだ。その本来ならば下水が流れるであろう水路を、彼――西宮富治は同行者と共に歩き続けていた。
「この下水道――まだ下水が流れた形跡がないし、何よりも新しすぎる。つい最近になって作られたみてぇだな」
西宮は同行者に向かって口を開く。すると、同行者は実に不機嫌そうな表情をさらに不機嫌にしながら口を開く。
「じゃあ、オッさんの言う通り、ここはゲームのためだけに作られたと? 馬鹿馬鹿しい」
ヒールの音を響かせながら否定的な発言をする彼女は瀬戸晴美というらしい。茶色がかった髪が印象的な、ややキツめの美人といったところか。黒のキャミソールに黒のロングスカートという出で立ちであり、外見だけならば西宮も異性として嫌いではない。まぁ、もはや還暦が近い男など相手にはされないだろうが、なによりも蓋を開けてびっくり。とにもかくにも外見以上に性格がキツいのだ。
西宮と晴美が合流したのは、妙なアナウンスが終わってすぐのことだった。
目を覚ましたのは、この下水道らしき場所だった。なぜだか周囲はほんのりと明るかった。ショルダーバッグのそばにロウソクが立てられていたからなのだが、そのおかげでショルダーバッグを見つけることができたし、SGTという端末も問題なく手に入れることができた。アナウンスが終わる頃にはロウソクの灯りも消えてしまったのだが、しかし西宮にはおあつらえ向きの物資が支給されていたのだった。それが、今現在も足元を照らしてくれている懐中電灯である。
――ヒント【B】 ブービートラップに与えられた【固有ヒント】は偽物である。
西宮のSGTに入っていた【固有ヒント】だ。時代はどんどんと進化し、それに辛うじて追いつこうとガラケーの扱いを覚え、ようやくそれを覚えたと思ったら、世の中はスマートフォンとかいう、もはや機能付き携帯電話ではなく、電話機能付のなにかに移行してしまった。むろん、西宮はガラケーの生産が終わっても、自分の持っているガラケーが壊れるまでは、ガラケーを使い続けるつもりでいたタイプである。
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