BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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頑固親父と全く笑えない冗談【午後2時〜午後3時】

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 晴美の言葉に西宮は頷く。

「あぁ、見たところ、あれは機密性の高い蓋だと思われる。それを閉めることで、可燃性のガスと空気の混合比率が燃焼範囲に入らないようにできないかって思ってな。蓋を閉めてやることで、本来なら追い出されなければならない空気と可燃性のガスを留まらせることで、空気の混合比率を燃焼範囲から外すことができれば、理論上ではどんな強力なエネルギーを与えても燃焼は起きない。今回の場合は可燃性ガスの割合を7.6パーセント以上にしてやったってことだな。そうでもしなけりゃ、程よく混合した空気と可燃性のガスに、あのバーナーの火が着火して大爆発。今頃は仲良く黒焦げだっただろう」

 西宮の言葉に晴美は改めて脱力の溜め息をひとつ。

「蓋を閉めることで、燃焼範囲を狂わせた――って考えればいいの? でも、良くそこまでたどり着けたわね。根拠は?」

「そんなものはない。わざわざ燃焼範囲のことをヒントにしてるくらいだから、蓋を閉めればなんとかなると思ったんだよ。機密性の高そうな蓋だったしな」

 もう一度……もう一度だけ溜め息をひとつ。それは脱力した勢いで漏れ出した溜め息だった。

「よくもそんな薄い根拠で――」

「でも、こうして生きてるだろ? 結果オーライってやつだ」

 晴美は呆れかえっていた。西宮は確実な根拠もなく、その場の勢いでピンチを乗り切ったのだ。結果論としては乗り切れたから良かったものの、もし蓋を閉めることで程よく混合比率が燃焼範囲に入るようになっていたら、どうするつもりだったのだろうか。

「さぁ、こんなガソリン臭いところとはおさらばだ。外に出よう」

 死の間際からの生還。根拠なき西宮の提案によってもたらされた結果的な生還。そこにロジカルなものは存在して存在しないようなもの。でも、まともに考えていては時間が足りなかったかもしれない。西宮の感覚で立ち回ったからこそ得られた結果かもしれなかった。

 脱力して動く気にすらならなかった晴美であったが、いつまでもガソリンまみれでいたくはない。西宮に肩を貸してもらって梯子を掴むとのぼり始めた。いつしか、蓋から出ていたバーナーの火は消えていた。カウントダウンのアナウンスも消え去り、ただ晴美が梯子をのぼる音だけが響いた。

 どうかハンドルが回ってくれますように。西宮から見守られる中、晴美はバランスを取りながらハンドルに両手を伸ばす。力を精一杯込めると、何事もなくハンドルは簡単に回ってくれた。
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