68 / 231
駆けよペーパードライバー【午後3時〜午後4時】
3
しおりを挟む
「説明している暇はありません! 分かりました。僕がギアの操作をします! すぐるさんは僕が合図をしたら、クラッチを踏んでください。そして、もう一度合図をしたらゆっくりクラッチペダルから足を離すんです! 言っておきますけど、クラッチの繋ぎ方に失敗するとエンストします。エンストするってことは、またエンジンをかけ直さないといけない。僕が言ってる意味、分かりますよね?」
幸いなことに、片岡は学校帰りにゲームセンターに寄り道をするという悪い習慣を持っていた。昔からゲームは好きだが、わざわざゲームセンターにまで足を運ぶ理由は、体感型のレースゲームがあるからだった。免許がなくても、速いタイムを叩き出すには、やはりマニュアル操作でなければならないことくらい知っていた。また、片岡がたまたま好きだったシリーズが、現実に近い操作方法を要求するレースゲームだった。
「はぁ? クラッチペダルってどれや?」
「ブレーキの隣にあるペダルです! とにかくブレーキは意識しなくていい。車にとっては良くないことだけど、アクセルも踏みっぱなしでいいと思います! ただ、僕の合図に合わせてクラッチペダルを踏んだり離したりしてくれればいいです!」
時としてゲームというものは、変なことに関連付けられて悪とされる風潮がある。でも、ゲームから学べることだってある。事実、片岡がゲーマーでなかったとしたら、ここまで適切なアドバイスはできなかったことだろう。
「ちなみに、踏みつつも半分くらい開ける半クラっていう技術もあります。確実にギアを繋げるなら、完全にクラッチペダルを踏み込まずに、少しだけ余裕を持たせるイメージをしたらいいと思います」
現状で恐ろしいのは、クラッチペダルからいきなり足を離すことによるエンストだ。それを避けるためには半クラッチがベストだと片岡は考えていた。もっとも、深田がそれを理解してくれるかどうかは別の話だが。
「――いいですか? 行きますよ!」
練習している余裕なんてないし、合図を決めている暇すらない。ぶっつけ本番でどれだけ深田と息を合わせることができるのか。それが問われているような気がした。
「クラッチを踏んで!」
ニュートラルのままエンジンが空ぶかしになっていた軽トラ。深田がクラッチペダルを踏み、そして片岡はギアを一気に2速に入れた。通常、1速は坂道をのぼるために用いるギアという印象が強い。例え軽トラックだとしても、状況が状況だし2速走行のほうがスタートダッシュできると思った。
幸いなことに、片岡は学校帰りにゲームセンターに寄り道をするという悪い習慣を持っていた。昔からゲームは好きだが、わざわざゲームセンターにまで足を運ぶ理由は、体感型のレースゲームがあるからだった。免許がなくても、速いタイムを叩き出すには、やはりマニュアル操作でなければならないことくらい知っていた。また、片岡がたまたま好きだったシリーズが、現実に近い操作方法を要求するレースゲームだった。
「はぁ? クラッチペダルってどれや?」
「ブレーキの隣にあるペダルです! とにかくブレーキは意識しなくていい。車にとっては良くないことだけど、アクセルも踏みっぱなしでいいと思います! ただ、僕の合図に合わせてクラッチペダルを踏んだり離したりしてくれればいいです!」
時としてゲームというものは、変なことに関連付けられて悪とされる風潮がある。でも、ゲームから学べることだってある。事実、片岡がゲーマーでなかったとしたら、ここまで適切なアドバイスはできなかったことだろう。
「ちなみに、踏みつつも半分くらい開ける半クラっていう技術もあります。確実にギアを繋げるなら、完全にクラッチペダルを踏み込まずに、少しだけ余裕を持たせるイメージをしたらいいと思います」
現状で恐ろしいのは、クラッチペダルからいきなり足を離すことによるエンストだ。それを避けるためには半クラッチがベストだと片岡は考えていた。もっとも、深田がそれを理解してくれるかどうかは別の話だが。
「――いいですか? 行きますよ!」
練習している余裕なんてないし、合図を決めている暇すらない。ぶっつけ本番でどれだけ深田と息を合わせることができるのか。それが問われているような気がした。
「クラッチを踏んで!」
ニュートラルのままエンジンが空ぶかしになっていた軽トラ。深田がクラッチペダルを踏み、そして片岡はギアを一気に2速に入れた。通常、1速は坂道をのぼるために用いるギアという印象が強い。例え軽トラックだとしても、状況が状況だし2速走行のほうがスタートダッシュできると思った。
0
あなたにおすすめの小説
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる