BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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狂気には凶器を【午後4時〜午後5時】

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 片岡の言葉に苦笑いを浮かべる水落。すでに下の名前で呼んでいる辺りを察するに、深田とそれなりの信頼関係を築けているように思えるのだが。

「そうか。何か意見があるようなら、遠慮なく言って欲しいんだ。年下だとか、そういうのは気にせずにな」

 日本にはいまだに年齢による序列のようなものがある。特に片岡は、その年齢の序列――先輩だとか後輩だとかに妙にこだわらねばならない世代である。しかし、ここでは年齢など関係なく、意見すべき時は意見して欲しいと思う。

「――気を遣ってもらってありがとうございます」

 片岡はそう言うと、小さく頭を下げた。水落が彼くらいの時は、もう少しひねくれていたというか、格好つけて悪ぶっていたものであるが、それに比べたら彼は随分と礼儀正しい。どうして、こんな子がここに放り込まれてしまったのか。もっとも、そんなことを言い出したらきりがないのかもしれないが。

 春日が先頭に立ち、水落と片岡で後に続く。周囲を警戒しつつ、とにかく死の象徴である【トラッペ君】に注意しながら受付カウンターまで進んだ。そこからは左右に廊下が伸びており、右手には診察室などがあるようだった。逆に左手はトイレなどがあるようだ。どちらから先に調べるべきか。辺りが薄暗く、下手をすると【トラッペ君】を見逃してしまう恐れがあるため、二手に分かれるのは得策ではない。

「――普通に考えて、物資の調達が期待できるのは診察室のほうだろうな」

 水落がぽつりと呟いたのに対して、春日でも片岡でもない誰かが声を漏らす。

「おーい、誰かいるのか? た、助けてくれぇ」

 弱々しいながらも、しかしはっきりと聞き取れた。思わず春日と片岡と顔を見合わせる。

「誰かいるのか?」

 声のしたであろう方向――診察室のほうに向かって問いかける春日。すると、今度はさっきよりはっきりした言葉が返ってきた。

「やった。人だ……。こ、ここだ! 身動きができないんだ。助けてくれぇ」

 ややかすれた男の声は、間違いなく診察室のほうから聞こえた。共に頷き合うと診察室の前に向かう水落達。このひっそりとした生活感のない診療所にぴったりの、冷たそうな引き戸の前で春日が口を開く。

「一応確認しておくが、引き戸を開けても問題はなさそうか?」

 助けを求めている男は、どうして身動きができないのか。罠にかかっている可能性も考慮して、春日はそんなことを問うたのであろう。

「そ、そこを開ける分には問題ない。なんでもいいから、とにかく早く助けてくれよぉ」
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