BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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狂気には凶器を【午後4時〜午後5時】

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 もし答えが間違っていたら、全員が跡形なく吹き飛ばされていた――。そう考えるとゾッとしたが、しかし春日はそれが当たり前であるかのように淡々としている。自分の推測や行動に自信が持てるということは、素直に羨ましいことだった。

「あ、あぁ――」

 春日の手を借りて立ち上がろうとする浜野であるが、しかしどうやら腰が抜けてしまったらしい。生まれたての子鹿のように膝を笑わせる。

「水落、今何時だ?」

 春日から唐突に聞かれた水落は、反射的にショルダーバッグの腕時計に視線を落とす。水落に配布された物資である腕時計は、5時半を回ったところだった。

「5時半だな――」

「開始前に多少の時間があったから、ざっと考えても6時間くらいか。よくも身動きが取れない状況で耐えたな。私にはきっと真似できないだろう」

 恐らく、春日なりに浜野のことを褒め称えているのであろう。仮に春日が同じ目に遭っても、すぐに答えを導き出して脱出していただろうが――と喉まで出かかったが、何とか飲み込んだ。

「な、なんとも耐えがたい6時間だったけどな」

 もう一度立ち上がろうとするが、けれども立ち上がれない浜野。ただ、ずっと緊張していた状態から解放されたからか、少しばかり表情は明るい。

「もうしばらく休んでいればいい。こちらもどうせ怪我人がいるものでな」

 そこで言葉を区切ると、今度は片岡のほうへと視線を移す春日。

「片岡、ここに来るまでの安全なルートは把握しているな? 深田達を呼んで来て欲しいんだ。距離もそこそこに近いわけだし、ここからいちいち物資を持ち出すより、彼らにここに来てもらったほうが早い。頼めるか?」

 春日は誰でも分け隔てなく、一人の人間として扱う。片岡がまだ高校生であっても、一人前としてみなしているのだろう。それが嬉しいのか、片岡は「分かりました!」と、張り切って診察室を出て行った。

「さて、それでは今のうちに【固有ヒント】を共有しようか」

 春日はSGTを取り出したのを見て、自然と水落もSGTを取り出す。しかし、浜野は視線を宙に泳がせ、SGTを取り出そうとしない。

「――どうした?」

「いや、ちょっと――あんまり他の人に見られたくない【固有ヒント】だから」

 浜野の言葉に顔を見合わせる春日と水落。命まで助けてもらったというのに、どうして共有を拒むのか。しかも礼のひとつもない。少しばかり浜野の態度に苛立った水落は、強行手段に出てしまった。きっと、これまでのできごとのせいで、知らないうちにストレスが溜まっていたのかもしれない。
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