BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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闇の中からの強行突破【午後6時〜午後7時】

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 しんと静まり返ってしまった空気を払拭するかのごとく、春日が小さく咳払いをする。声を荒げてしまったことを反省するかのごとく、やけに冷静な口調だった。

「確かに、それも手段のひとつであることは認めよう。わざわざ他の参加者と合流せずとも、死者の【固有ヒント】はSGTに転送されるようになっている。罠にかかってしまうリスクなどを考えれば、何もせずにその場を動かないというのもひとつの手だ。また、そのシステムを利用して意図的に死者を出す――つまり、殺して回ることも、れっきとした手段だ」

 春日の声は落ち着いていながらも、得体の知れぬ威圧感があった。それを向けられている浜野には、きっとひしひしと伝わっているはずだ。それを弾き飛ばさんとばかりに発言する浜野。

「それに、犯人役が死んだ場合は、問答無用でゲームが終了となる。つまり、他の参加者を殺して回ることは【固有ヒント】を得ることができるだけじゃなく、運が良ければ犯人役を殺してゲームが強制終了になる可能性もある一石二鳥の手段になる」

 春日は何かしらのリアクションを見せるわけでなく、完全に浜野の一言を無視して続ける。

「しかし、私は可能な限り平和的な手段で事態を収束させたいんだ。このゲームに用意されたルールは、一見して参加者同士の協力を促しているように見えるが、実際のところはそうではない。むしろ、参加者同士が対立し、殺し合うように仕向けられているような気がしてならないんだ。そもそも、ルールで暴力が認められているなんて、どう考えたっておかしいと思わないか?」

 春日の言葉は、浜野だけではなく、その場にいる全員に投げかけられているような気がした。これまで、当たり前のようにルールに組み込まれていた暴力の容認。言われてみれば、これがわざわざルールとして組み込まれている意味が分からない。

「人間は――特に日本人は、規則というものに従順だ。あえて規則として暴力を容認することで、正当性を与えたのか」

 陸士長がぽつりと漏らすと、春日は大きく頷いた。どうやら、春日の言いたいことは陸士長には伝わっているようだが、他の一同にはいまいち伝わっていないらしい。事実、水落自身も分かったような分からないような中途半端な状態だった。その空気を察したのか、春日が口を開く。

「もっと噛み砕いてしまえば、暴力を容認するルールが大義名分となって、この街では暴力が振るいやすい状態になっているんだ。ルールに従っているという偽りの安心感――正当性があることによって、暴力を振るっても罪悪感を抱かないように巧みに心理操作されているとでも言おうか」
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