BOOBY TRAP 〜僕らが生きる理由〜

鬼霧宗作

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闇の中からの強行突破【午後6時〜午後7時】

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 抜き足、差し足、忍び足。こちらの気配を相手に悟られてしまったら意味がない。目的の教室が近づくにつれ、より慎重に行動する。

 とうとう、目的の教室の前へとたどり着く。電気は点いておらず、またバリケードでもしてあるのだろうか。引き戸の小窓から中の様子を伺おうとしたが、何かに遮られているようだった。恐らく、教室の先生中にあるものでバリケードを作成し、こちらの侵入を防ぐつもりでいるのだろう。もう一方の出入り口のほうに向かったが、同じような状態だった。

 こんなものは猿知恵。教室の中にあるものなんてたかが知れている。せいぜい掃除用具入れのロッカーだとか教壇などが関の山だ。後は机や椅子などの軽いものばかり。すなわち――どちらか一方のバリケードは極端にもろくなっている可能性がある。

 言わば人間心理である。もし、この教室の中に立てこもろうとしてバリケードを作成するのだとすれば、その出入り口をより強固なものにしたいと考えるのが普通だ。しかしながら、この教室は前と後ろに出入り口がある。ゆえに、どちらかのバリケードを強固に作成してしまうと、残りの出入り口のバリケードの材料が、物理的に足りなくなる。それに、万が一のことを考えて、人間というものは逃走経路を確保しておこうと考えるものだ。いざ何かがあった時に教室から脱出できないのは困る。だからこそ、むしろどちらかの出入り口の守りを、あえて緩いものにしてしまいがち。

 比嘉は音を立てないように引き戸へと背中を預けると、込み上げてくる笑いを必死で堪える。

 ――バリケードは両方の出入り口に作成されている。そして、バリケードを崩そうとするのならば、それなりの時間がかかるはずだ。少なくとも、迷彩服達を見かけてから、ここに比嘉がやってくるまでの時間では、バリケードを崩して改めて作成するなんて真似はできないはず。それなのに、バリケードは両方の出入り口に作成されている。これが何を意味するのか……つまり、あの迷彩服達と女共は合流できていないということだ。

 この中にいるのは女共のみ。あちらの戦力は把握しているし、どう考えたって刃物を有する自分のほうが有利だ。モデルガンの一撃などたかがしれている。あえて警戒するのだとすれば、高飛車そうな女のほうの足だ。

 この暗闇に便乗すれば、女の二人くらい容易い。少しばかり惜しいような気もするが、意外と烏合の衆は恐ろしかったりする。単純にあちらの人数が増えれば増えるほど、こちらは不利になってしまう。脅威になり得る芽は、摘み取れるうちに摘み取っておきたい。
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