14 / 95
ようこそ捜査第六課へ
8
しおりを挟む
他にも刑事部という範囲で見れば、刑事総務課、暴力団対策課、捜査共助課、国際捜査課、鑑識課、機動捜査隊三隊、科学捜査研究所などがあるが、やはり捜査第六課などという部署は存在しない。しかも、これらの組織体は警察庁刑事部のものであり、所轄ともなれば、もっと部署の数は少なくなる。そんな所轄に過ぎない日々の坂署に、国のトップである警察庁の組織体にも組み込まれていない六課が存在するとは、実に滑稽な話だ。
――堀口を乗せた車は、その六課との距離を着実に縮めていった。
緩い勾配の坂の上に広がる街並は日々の坂の名に恥じぬ光景だった。街そのものが坂の途中にあるというか、常にゆるい勾配に包まれた街。その勾配が元に戻った時には他の市町村だ。
坂の切れ目が境界線になっているようで、道案内の時なども日々の坂という名前が頻繁に使用されるせいか、特に何もない街ではあるが、それなりに知名度はあったりする。堀口自身も配属先の話を聞いて、真っ先に夕日の沈むゆるい勾配の景色を想像したくらいなのだから。
坂を上ると住宅が広がり、しばらく進むと商業地帯らしき通りに入る。日々の坂では、この辺りがメイン通りとなるのだろう。そんなメイン通りを一本入った先に、堀口の配属先はあった。
事前に駐車場の位置はきいていたし、また停める場所も指定されていたため、さほど迷わずに車を駐車することができた。
車から降り、改めて見上げると、所轄とは思えない大きさに驚くと共に、これだけの警察署であるにも関わらず、配属先が六課であることに愕然とする。
堀口は元上司が描いてくれた手書きの地図を片手に、日々の坂署へと重い足取りで向かった。署の中はかなり広く、地図を片手に右往左往する姿は、まるで都会の駅で迷う田舎者のようだった。
すれ違う人達の目が、自分を蔑んでいるように思えてならない。これまで何度も自分の勤務態度を見直してみたが、六課に左遷されるような心当たりはなかった。それなのに、どうして問題児ばかりの部署に配属となるのか。どれだけ抗議しても、事情を知らない上司を困らせるだけなのは分かっていた。
六課が警察署の地下……それも地下の奥まったところにあると知ったのは、恥を忍んで署員をつかまえて話を聞いたからだった。こちらが「捜査六課はどこですか?」と尋ねた時の、あちらの同情するかのような顔は、しばらく忘れられそうにない。自分を蔑むかのような視線から逃げるようにして、堀口は地下に向かった。もっとも、それは堀口の被害妄想のようなものなのだろうが。
――堀口を乗せた車は、その六課との距離を着実に縮めていった。
緩い勾配の坂の上に広がる街並は日々の坂の名に恥じぬ光景だった。街そのものが坂の途中にあるというか、常にゆるい勾配に包まれた街。その勾配が元に戻った時には他の市町村だ。
坂の切れ目が境界線になっているようで、道案内の時なども日々の坂という名前が頻繁に使用されるせいか、特に何もない街ではあるが、それなりに知名度はあったりする。堀口自身も配属先の話を聞いて、真っ先に夕日の沈むゆるい勾配の景色を想像したくらいなのだから。
坂を上ると住宅が広がり、しばらく進むと商業地帯らしき通りに入る。日々の坂では、この辺りがメイン通りとなるのだろう。そんなメイン通りを一本入った先に、堀口の配属先はあった。
事前に駐車場の位置はきいていたし、また停める場所も指定されていたため、さほど迷わずに車を駐車することができた。
車から降り、改めて見上げると、所轄とは思えない大きさに驚くと共に、これだけの警察署であるにも関わらず、配属先が六課であることに愕然とする。
堀口は元上司が描いてくれた手書きの地図を片手に、日々の坂署へと重い足取りで向かった。署の中はかなり広く、地図を片手に右往左往する姿は、まるで都会の駅で迷う田舎者のようだった。
すれ違う人達の目が、自分を蔑んでいるように思えてならない。これまで何度も自分の勤務態度を見直してみたが、六課に左遷されるような心当たりはなかった。それなのに、どうして問題児ばかりの部署に配属となるのか。どれだけ抗議しても、事情を知らない上司を困らせるだけなのは分かっていた。
六課が警察署の地下……それも地下の奥まったところにあると知ったのは、恥を忍んで署員をつかまえて話を聞いたからだった。こちらが「捜査六課はどこですか?」と尋ねた時の、あちらの同情するかのような顔は、しばらく忘れられそうにない。自分を蔑むかのような視線から逃げるようにして、堀口は地下に向かった。もっとも、それは堀口の被害妄想のようなものなのだろうが。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
7月は男子校の探偵少女
金時るるの
ミステリー
孤児院暮らしから一転、女であるにも関わらずなぜか全寮制の名門男子校に入学する事になったユーリ。
性別を隠しながらも初めての学園生活を満喫していたのもつかの間、とある出来事をきっかけに、ルームメイトに目を付けられて、厄介ごとを押し付けられる。
顔の塗りつぶされた肖像画。
完成しない彫刻作品。
ユーリが遭遇する謎の数々とその真相とは。
19世紀末。ヨーロッパのとある国を舞台にした日常系ミステリー。
(タイトルに※マークのついているエピソードは他キャラ視点です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる