巣喰RAP【スクラップ】 ―日々の坂署捜査第六課―

鬼霧宗作

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はがれた化けの皮

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 簡単に言ってしまえば、あえて餌をばらまいて生け捕りにするということだ。田之上が偽物の情報をリークし、堀口が次の犯行にいたるのを促す。そして、亜紀に借りた人材で徹底的に堀口をマークし、犯行現場を押さえようということなのだろう。

「その件に関しては、俺から亜紀に話したほうが早いかもしれねぇ。曲がりなりにも昔の女だからよ――。ただ、ここまで話をでかくすんだ。お互いに退けねぇぞ」

 六課の人間を動かすだけならまだしも、一課の人間を24時間体制で動かすとなると、それなりの結果が必要となる。これで犯人を取り逃がしたり、そもそも堀口が犯人ではないなどということになったら、責任問題になることは免れない。一度失策をしてしまった亜紀はもちろんのこと、六課だって無事では済まない。

「その辺りの根回しは問題ないよ。すでに天野には動いてもらっているし、他の事件の解剖結果がそろえばかなり心強いから」

 解剖結果の詳細を桂が知りたがるのは、他の事件で女性が先に殺されたことを明記しているものがないかを探るためだと思われる。現時点で堀口を犯人とする根拠は状況証拠だけであり、それを確たるものにするためにも、詳しい解剖結果が必要不可欠だ。この辺りは雅がうまいことやってくれることを祈るしかない。

「それと、堀口が犯行を実行しやすい日をあえて作っておきたいと思う。犯行へと誘い出すことができても、今のように仕事に拘束されていると動きにくいだろうし、こちらも現場を抑えるのが難しくなる。どうせなら、堀口が犯行に及ぶ可能性が高い日を作っておいたいいと思うんだ。というか、もう手を回しておいた」

 堀口が犯行に及ぶであろう日を絞り込みたいとのことだが、それは恐らく張り込む人員などを調整しておきたいからであろう。一課から人手を借りるにしても、それは有限。効率的に使わねばならない。もっとも、まだ話を一課に通してさえいないのだから、取らぬ狸の皮算用というやつだが。手を回すにしても、まずは一課に話を通してからだと思うのだが。

「今日、あえて堀口に残ってもらうことにしただろう? こうして彼だけ仕事の時間を作っておけば、後で彼一人に休暇の日が生じても不自然じゃなくなると思ってね。人間誰しも、自分の自由なことはやっぱり休日にやりたいもんさ。だから、あえてその日を指定できるように、今日は彼に残ってもらったのさ」

 堀口がアクションを起こすのならば、仕事のある日ではなく休暇をとっている日の可能性が高い。ならば、堀口だけが休暇をとってもおかしくないような状況を作ってやればいい。休暇ではない日に犯行に及ぶ可能性が怖いのであれば、何かと理由をつけて深夜まで仕事に付き合わせればいいだけのこと。すなわち、堀口が犯行に及べる日を、こちらから休日だけに限定してやればいいだけ――と桂は言いたいのであろう。
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