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エピローグ
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亜紀が姿を消したのを確認すると、田之上は溜め息をつきながら紙袋へと手を伸ばした。随分と紙袋は大きく、買いすぎたなどというレベルではない。
「あっ、その包み紙――宝文堂のじゃない? もしかしてぇ、もしかしてぇ……」
宝文堂の包み紙を見るや否や、化粧を中断して雅が田之上のそばへとやって来る。そして、田之上が包み紙を開いた時、雅は歓喜のあまりか、声にならない声を上げてから、興奮気味に口を開いた。
「ほっ、宝文堂のバケツ焼きプリンだよ! たのぴー! 宝文堂のバケツ焼きプリン!」
火気厳禁と描かれた真っ赤なバケツの中には、これでもかと言わんばかりに焼きプリンが詰まっていた。焼きプリンを保護しているビニールシートをはがすと、独特な甘い香りが六課に立ち込める。
「分かったから落ち着けって。亜紀の奴、買いすぎたってことにしたいなら、もう少し違うチョイスにすれば良かったのによぉだろう――。とにかくお茶だ。雅、この前の麻薬密売店の現場で、こっそりくすねて来た最高級の玉露を用意しろ! 桂が来る前に俺達で全部食っちまうぞ!」
「う、うん! あれだもんね! 食べちゃえば証拠も残らないもんね!」
宝文堂のバケツ焼きプリンといえば、一日一食限定で、一部のマニアから圧倒的な支持を受けている銘菓である。店が予約を取らない方針であるため、手に入れるのは単純に早い者勝ち。しかも、開店してすぐに店頭に並ぶわけではなく、実に不規則な時間帯で店頭に出されるため、狙って手に入れることが非常に難しい。くわえて、お値段もそれ相応であり、存在は知っていても実物を見るのは、田之上もこれが初めてだった。
「……それ、僕にって話みたいだから、もうひとつお茶を追加してくれないかねぇ? というか、話が外まで筒抜けだよ」
幻のバケツ焼きプリンを、雅と山分けしようとしていた田之上。しかしながら、どうやら筒抜けだったようで、桂の声が耳にまとわりついてくる。それでいて、えらく呆れているかのような、溜め息混じりの声だ。
「ちょうど小腹が空いていたところです。それに、これは滅多にお目にかかれない銘菓だとか――。ご一緒させてもらってよろしいですか?」
それに加えて、やや鼻につくような声。渋々とそちらのほうに視線をやると桂と凡場がいた。
「今回の事件解決に大いに貢献した敏腕刑事様が、こんなところで油を売ってていいのかよ?」
「あっ、その包み紙――宝文堂のじゃない? もしかしてぇ、もしかしてぇ……」
宝文堂の包み紙を見るや否や、化粧を中断して雅が田之上のそばへとやって来る。そして、田之上が包み紙を開いた時、雅は歓喜のあまりか、声にならない声を上げてから、興奮気味に口を開いた。
「ほっ、宝文堂のバケツ焼きプリンだよ! たのぴー! 宝文堂のバケツ焼きプリン!」
火気厳禁と描かれた真っ赤なバケツの中には、これでもかと言わんばかりに焼きプリンが詰まっていた。焼きプリンを保護しているビニールシートをはがすと、独特な甘い香りが六課に立ち込める。
「分かったから落ち着けって。亜紀の奴、買いすぎたってことにしたいなら、もう少し違うチョイスにすれば良かったのによぉだろう――。とにかくお茶だ。雅、この前の麻薬密売店の現場で、こっそりくすねて来た最高級の玉露を用意しろ! 桂が来る前に俺達で全部食っちまうぞ!」
「う、うん! あれだもんね! 食べちゃえば証拠も残らないもんね!」
宝文堂のバケツ焼きプリンといえば、一日一食限定で、一部のマニアから圧倒的な支持を受けている銘菓である。店が予約を取らない方針であるため、手に入れるのは単純に早い者勝ち。しかも、開店してすぐに店頭に並ぶわけではなく、実に不規則な時間帯で店頭に出されるため、狙って手に入れることが非常に難しい。くわえて、お値段もそれ相応であり、存在は知っていても実物を見るのは、田之上もこれが初めてだった。
「……それ、僕にって話みたいだから、もうひとつお茶を追加してくれないかねぇ? というか、話が外まで筒抜けだよ」
幻のバケツ焼きプリンを、雅と山分けしようとしていた田之上。しかしながら、どうやら筒抜けだったようで、桂の声が耳にまとわりついてくる。それでいて、えらく呆れているかのような、溜め息混じりの声だ。
「ちょうど小腹が空いていたところです。それに、これは滅多にお目にかかれない銘菓だとか――。ご一緒させてもらってよろしいですか?」
それに加えて、やや鼻につくような声。渋々とそちらのほうに視線をやると桂と凡場がいた。
「今回の事件解決に大いに貢献した敏腕刑事様が、こんなところで油を売ってていいのかよ?」
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