探偵残念 ―安楽樹は渋々推理する―

鬼霧宗作

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1.絶海の孤島へ

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 操舵室から見える前方に視線をやると、緑が隆起した島が見える。どうやら、島の中央に向かって土地が盛り上がっている地形らしい。ちょっとした登山も楽しめそうだ。孤島に来ておきながら登山とは、なんとも贅沢ではないだろうか。

「いや、時間をかけた甲斐があるよ。まさしくリゾートのための島って感じだね」

 菱田が言うと、管理人が小さく頷きながら続く。

「島の南側は砂浜になってるから、時間と天候を見て行ってみたらいい。必要なものは別荘に運んではあるが、さすがに水着までは用意していないからな。あぁ、ついでだから、今のうちに島のことについて話しておくか」

 エンジン音が唸りを上げ、小さく見えていた島が徐々に大きくなる。舵を握りながら管理人が島の説明を始める。

「これから船をつける港は、島の東側にある。桟橋があるだけの質素なもんだがね。そこから道が伸びていて、途中で南側に折れれば砂浜に出る。真っ直ぐ西側に進んでいくと、これから数日過ごすことになる別荘へ到着だ。ちなみに、山のほうに入る道も北側に伸びてはいるが、遊び半分では入らないこと。こうして見ると分かるが、それなりに深い森になっているし、見た目よりも山は険しい。しかも、北側に出ると、いきなり断崖絶壁で滑落なんてことも有り得る。だから、君達が行っていいのは、別荘と砂浜だけだ。山には決して近づかないこと。これだけは約束して欲しい」

 ぱっと見た感じ、山の大半は緑の森と山に包まれているように見えるが、その山を楽しむことは禁止されるらしい。海よりも山のほうが好きな蘭からすると、上陸前に肩透かしをくらったような気になる。

「せっかくだから、ちょっとデッキに出てみません?」

 そう言い出したのは、安曇野医大側のか細い女性だ。蘭はあちらのスタイルを見て確信。おそらく、胸という部門については勝っている。それほど彼女は細かった。自然と眼鏡達が彼女に道を譲り、中途半端なところにいた安楽へと、か細い女性は声をかける。

「安楽さん。大丈夫ですの? もう少し外に風に当たっては?」

 吹けば飛ぶようなスタイルの上に顔立ちは整っている。たまに出るお嬢様のような言葉はなんなのか。申し訳ないがあざとく見えてしまう。普段はなんとも思わない幼馴染だというのに、他の女に色目を使われるのは、それはそれで腹が立つ。

「あ、あぁ。気を遣わせて申し訳ないね、神楽坂さん」
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