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1.絶海の孤島へ
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そこに細川が口を挟む。相変わらず発電機の駆動音が、地鳴りのように聞こえてはいるが、しかし確かにおかしな音がする。定期的に何かが叩きつけられるような音。その度に風の音が大きくなったり小さくなったりしていた.
「え、この音って、ここからじゃない?」
亜純がひとつの扉のほうへと視線をやった。一同もそちらに視線をやる。そこには、リネン室へとつ繋がる扉があった。
「この先ってリネン室だったよね? 確か――」
蘭がドアノブに手をかけようとすると、それを阻止するかのごとく雷鳴が鳴り響いた。タイミングを合わせたかのように風の音が強くなる。
「ここは俺が……」
菱田が蘭の前に出てドアノブを捻った。開けた途端、一陣の湿った風が突き抜ける。
「え? 麗里ちゃん?」
扉の隙間からリネン室の中を覗いた香純が、今にも泣き出しそうな声を出した。
その目は何かに驚いたかのごとく、天井に向けられたまま見開かれている。瞳は混濁しているように見えた。乾燥機に寄りかかるようにして、両足を前に放り出した姿は、尻餅をついて後退りをした結果なのか。その胸にはナタらしきものが突き立てられており、白のワンピースを朱に染めていた。
音の正体は、外開きの勝手口の扉が開いていたことによるものだった。開けたままの扉が風に煽られて音を立てていたらしい。ずっと扉を開けていたせいか、床は雨で濡れていた。
「なんてこった。これは、これは――」
菱田が焦燥したかのように言葉を詰まらせる。その脇を通り抜けて、榎本が麗里だったものに歩み寄る。
「と、とりあえず勝手口を閉めておこう」
かつて麗里だったものを見ないようにしつつ、細川が巨体を揺らしながら勝手口を閉めに行く。嵐はいよいよ本格的になったようで、少し扉に近づいただけで細川はびしょ濡れになり、そのそばから体より湯気が立ち上っていた。
「駄目だ、死んでる。ナタを突き立てられたのが致命傷になったの間違いないね。下手をすると心臓にまで傷は達していそうだ」
手首の脈をとった榎本が首を横に振る。彼だけではなく、あちらのミス研は全員が医大生だ。だから、死体を見てもあまり動じないようだし、平気で検死をすることができてしまうのだろう。そんな榎本の隣で安楽がぶつぶつと呟いていた。
「マジかよ。だから来たくなかったんだよ。どうせこうなるんだから。あー、マジかよ」
巻き込まれ体質の安楽だからこそ、これはもっとも見たくなかった光景なのであろう。
「でも、一体誰が……ん? これはなんだ?」
「え、この音って、ここからじゃない?」
亜純がひとつの扉のほうへと視線をやった。一同もそちらに視線をやる。そこには、リネン室へとつ繋がる扉があった。
「この先ってリネン室だったよね? 確か――」
蘭がドアノブに手をかけようとすると、それを阻止するかのごとく雷鳴が鳴り響いた。タイミングを合わせたかのように風の音が強くなる。
「ここは俺が……」
菱田が蘭の前に出てドアノブを捻った。開けた途端、一陣の湿った風が突き抜ける。
「え? 麗里ちゃん?」
扉の隙間からリネン室の中を覗いた香純が、今にも泣き出しそうな声を出した。
その目は何かに驚いたかのごとく、天井に向けられたまま見開かれている。瞳は混濁しているように見えた。乾燥機に寄りかかるようにして、両足を前に放り出した姿は、尻餅をついて後退りをした結果なのか。その胸にはナタらしきものが突き立てられており、白のワンピースを朱に染めていた。
音の正体は、外開きの勝手口の扉が開いていたことによるものだった。開けたままの扉が風に煽られて音を立てていたらしい。ずっと扉を開けていたせいか、床は雨で濡れていた。
「なんてこった。これは、これは――」
菱田が焦燥したかのように言葉を詰まらせる。その脇を通り抜けて、榎本が麗里だったものに歩み寄る。
「と、とりあえず勝手口を閉めておこう」
かつて麗里だったものを見ないようにしつつ、細川が巨体を揺らしながら勝手口を閉めに行く。嵐はいよいよ本格的になったようで、少し扉に近づいただけで細川はびしょ濡れになり、そのそばから体より湯気が立ち上っていた。
「駄目だ、死んでる。ナタを突き立てられたのが致命傷になったの間違いないね。下手をすると心臓にまで傷は達していそうだ」
手首の脈をとった榎本が首を横に振る。彼だけではなく、あちらのミス研は全員が医大生だ。だから、死体を見てもあまり動じないようだし、平気で検死をすることができてしまうのだろう。そんな榎本の隣で安楽がぶつぶつと呟いていた。
「マジかよ。だから来たくなかったんだよ。どうせこうなるんだから。あー、マジかよ」
巻き込まれ体質の安楽だからこそ、これはもっとも見たくなかった光景なのであろう。
「でも、一体誰が……ん? これはなんだ?」
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