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3.深まる謎と疑惑
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まだズボンを履くことに奮闘していた安楽が動きを止める。菱田も宙に視線をやりながら呟いた。
「どうやら、俺の聞き間違いじゃないらしいな。しかも1人の悲鳴じゃなかった」
蘭達は互いにアイコンを取る。真っ先に動いたのは、中に残る予定でこの場にとどまっていた榎本だった。それに続いて蘭達も駆け出す。
「雷に驚いての悲鳴くらいだったら可愛いんだが……」
榎本と並んだ菱田が言うと、榎本が首を横に振る。
「残念ながら、あの2人はもう少し肝が据わっているよ」
エントランスにいたのは安楽、菱田、榎本、蘭、英梨の5人。エントランスを離れて地下室に向かったのが真美子と香純の2人。この状況で蘭達が聞いた悲鳴。その発信源は、真美子と香純以外に考えられない。
地下室の入り口までたどり着いたのであるが、階段はせいぜい1人が通れる程度の広さしかない。ゆえに、降りる前に菱田が中に声をかける。
「おーい! なにかあったのか?」
菱田の声が地下室で反響して返ってくる。まるでこだまのように反響する声の中に、慌てた様子の声が混じった。
「ちょ、ちょっと降りてきて! これ、やばいって!」
この時点で、蘭よりも警戒度が上がっていた安楽。なにかを察知したのか、菱田を押し退けるような形で地下に降りていく。一度地下には降りたことがあるのだが、かなり狭かったはず。これだけの人数が降りるとなると容易ではない。安楽と入れ替わる形で真美子と香純が出てきたのを見て、今度は菱田と榎本が地下へと降りた。真美子と香純は顔面蒼白で、香純にいたっては両腕をさすりながら震えてさえいる。今にも泣きそうな表情だ。
「細川……多分、死んでる」
真美子がぽつりと漏らした。この言葉がなかば予測できていたことに、蘭は大きく溜め息を漏らした。もうこれ以上、犠牲は出て欲しくない。犠牲が出れば出るほど、安楽を連れてきた責任を感じてしまうから。一刻も早く、この事件を解決してしまわねば。しかし、事件を解決するだけの知識もなければ頭脳もない。こういう時に頼るべきは――やはり安楽しかいない。
「頭を殴られたんだと思う。血が出てた。私達が何度呼びかけても返事はなかったから――」
声を震わせる香純。このほんの数日で、親しかった人間が次々と殺されたのだ。その精神的ストレスと恐怖はかなりのものであろう。
一体、誰がなんのために、こうも人を殺すのであろうか。そして、自分達は無事に帰ることができるのであろうか。
蘭の不安をさらに際立たせるかのごとく、轟音が血を這っては、地下へと降りていった。
「どうやら、俺の聞き間違いじゃないらしいな。しかも1人の悲鳴じゃなかった」
蘭達は互いにアイコンを取る。真っ先に動いたのは、中に残る予定でこの場にとどまっていた榎本だった。それに続いて蘭達も駆け出す。
「雷に驚いての悲鳴くらいだったら可愛いんだが……」
榎本と並んだ菱田が言うと、榎本が首を横に振る。
「残念ながら、あの2人はもう少し肝が据わっているよ」
エントランスにいたのは安楽、菱田、榎本、蘭、英梨の5人。エントランスを離れて地下室に向かったのが真美子と香純の2人。この状況で蘭達が聞いた悲鳴。その発信源は、真美子と香純以外に考えられない。
地下室の入り口までたどり着いたのであるが、階段はせいぜい1人が通れる程度の広さしかない。ゆえに、降りる前に菱田が中に声をかける。
「おーい! なにかあったのか?」
菱田の声が地下室で反響して返ってくる。まるでこだまのように反響する声の中に、慌てた様子の声が混じった。
「ちょ、ちょっと降りてきて! これ、やばいって!」
この時点で、蘭よりも警戒度が上がっていた安楽。なにかを察知したのか、菱田を押し退けるような形で地下に降りていく。一度地下には降りたことがあるのだが、かなり狭かったはず。これだけの人数が降りるとなると容易ではない。安楽と入れ替わる形で真美子と香純が出てきたのを見て、今度は菱田と榎本が地下へと降りた。真美子と香純は顔面蒼白で、香純にいたっては両腕をさすりながら震えてさえいる。今にも泣きそうな表情だ。
「細川……多分、死んでる」
真美子がぽつりと漏らした。この言葉がなかば予測できていたことに、蘭は大きく溜め息を漏らした。もうこれ以上、犠牲は出て欲しくない。犠牲が出れば出るほど、安楽を連れてきた責任を感じてしまうから。一刻も早く、この事件を解決してしまわねば。しかし、事件を解決するだけの知識もなければ頭脳もない。こういう時に頼るべきは――やはり安楽しかいない。
「頭を殴られたんだと思う。血が出てた。私達が何度呼びかけても返事はなかったから――」
声を震わせる香純。このほんの数日で、親しかった人間が次々と殺されたのだ。その精神的ストレスと恐怖はかなりのものであろう。
一体、誰がなんのために、こうも人を殺すのであろうか。そして、自分達は無事に帰ることができるのであろうか。
蘭の不安をさらに際立たせるかのごとく、轟音が血を這っては、地下へと降りていった。
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