11 / 14
ようこそ特進クラスへ その1
しおりを挟む
明けない夜はない。朝は必ずやってくる。
プラスな意味で良く使われる言葉。
うん。そうだよね、どんなに苦しくても、希望はあるよってことだよね。
でも神様、朝が来たら確実に地獄な人もいるんです。
だから明けない夜があってもいいと思うんだ・・・
「麻実、そろそろ起きないと。今日から特進クラスになるんでしょう?」
容赦なく朝がやってきました。
おはようございます。寝不足絶好調なテンションでお送りしたいと思います。
「・・・お母さん、昨日わたし学校で倒れたんだよ? 今日ぐらいゆっくり休んでいいと思わない?」
「何言ってるの。圭くんの掛かり付けのお医者様に一通り診てもらって、大丈夫だったんでしょう?休む理由がないじゃない」
う"っ、と言葉に詰まる。
その通りである。昨日、夕食を御馳走になっている時、どんな風に倒れたかと話したら顔色を変えた圭に病院に連れていかれ、諸々の検査を受けさせられた。結果は異状なし。それを聞いた圭は大げさなぐらい安心してて、お前はわたしの父親か!と突っ込みたくなったほど。
「で、でもね。精神的な理由で倒れたと思うんだ?ほら、目の下に隈があるでしょう」
じっとわたしの顔を見る母。
「隈なんてないわよ?さっさと顔洗ってきなさい」
うそだー!!昨晩一睡もできてないんだよ?!貫徹なんだよ?!
「大丈夫よ。若いから一日寝ないぐらいで隈なんてできないわ」
よ、読まれている・・・!?
「小嶋さんから説明は受けているけど。父さんも母さんも、あなたの特進クラス移動は正直不安なの」
はぁ、と胸に手をあてて心配そうな母に、もしやこれはチャンスか?!と意気込む。
「そうだよね!?わたしも不安なの。普通クラスのままじゃダメかな?お母さんから小嶋さんに話してくれない?」
「お世話になっている九条さんご両親に頼まれて、あなたを青葉学園に入れたけど。ただでさえ高額な授業料が、特進クラスになんて行ったらその何倍もの額になるでしょう?九条さんは出世払いで構わないって仰って下さるけど、あなた、きちんと働いて返すのよ?」
え?!何その話、初めて聞いたんだけど?!
「まってお母さん・・・学校の授業料って、わたしのツケなの?特待生免除じゃないの?」
「言ってなかったかしら?そうよ。特待生免除は、あなたのレベルだと授業料の一部減額のみで、足りない分の授業料や入学金、教科書代などもすべて九条さんが立て替えて下さっているわ。そうじゃなきゃ、うちみたいな一般家庭が青葉学園の制服なんて買えるわけないでしょう? お金は気にしなくていいと仰って下さったんだけど、そんなご迷惑も掛けられないし。それなら無利子で出世払いでいいからって言われてね」
「聞いてないよ!!」
なんてことだ・・・ショックのあまり空いた口が塞がらない。
友達のいないわたしは、ひたすら勉強を頑張って、先生に褒めてもらうのだけが楽しみだった。
だから勉強は嫌いじゃない。頑張ればその分点数として返ってくるから。
高校進学も、本当は公立の学校を希望してた。
だけど、進学率も就職率も抜群な青葉学園からなぜかわたし指名で特待生の誘いがあり、海外留学の噂のあった圭も同じ学校に行くと言う。九条家が絡んでいると踏んだわたしは速攻でお断りした。
が、その後折り菓子を持って圭パパと圭ママが我が家に現れ、「圭が麻実ちゃんと同じ学校じゃないと行かないって聞かないの。麻実ちゃんの志望校も素敵な学校だとは思うんだけど、圭は九条家の跡取りだし、お家の事情もあって、どうしても高校は青葉学園に行って欲しいの。だから麻実ちゃんも、青葉学園に行ってくれない?」と懇願されたのだ。説得するならわたしじゃなくて圭でしょう?!って思ったが、うるうるとした瞳で圭ママにお願いされたら、過去の負い目もあるわたしは頷くしかなかった。
そんな経緯があるため、てっきり特待生枠として学費や諸々が免除されていると思っていたのに・・・!!
「お金は心配しなくていいわ」と言っていたのに、まさかの全額わたしの借金。
まるでひどい詐欺にでもあった気分だ。
感情と情報の整理が追い付かず、パジャマのままわたしはベッドに倒れ込んだ。
確かに、色々おかしいと思うことはあったよ?
特待生のはずなのに、全然先生から期待とかされてないし。かと言って、友達のいないわたしは他の特待生なんて知らないし、特待生がどんななのかもよく分かってなかった。頑張って勉強してたけど、同じぐらい出来る子は普通クラスにも一杯いるし、さすがは青葉学園、レベルが高いなって思ってたけど。
なんだろう・・・なんか涙が出てくる。
どこまで惨めなんだろう自分は。
ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴り響き、母は「はいは~い」と言って下へ降りて行った。
わたしは部屋の窓をあけて下を覗く。
「あ、麻美おはよう!特進クラスの制服持ってきたよ。ちょっと早すぎたかな?」
キラキラと朝日を浴びて輝いているような圭の顔目掛けて、麻美は二階から教科書を思いっきり投げつけた。
プラスな意味で良く使われる言葉。
うん。そうだよね、どんなに苦しくても、希望はあるよってことだよね。
でも神様、朝が来たら確実に地獄な人もいるんです。
だから明けない夜があってもいいと思うんだ・・・
「麻実、そろそろ起きないと。今日から特進クラスになるんでしょう?」
容赦なく朝がやってきました。
おはようございます。寝不足絶好調なテンションでお送りしたいと思います。
「・・・お母さん、昨日わたし学校で倒れたんだよ? 今日ぐらいゆっくり休んでいいと思わない?」
「何言ってるの。圭くんの掛かり付けのお医者様に一通り診てもらって、大丈夫だったんでしょう?休む理由がないじゃない」
う"っ、と言葉に詰まる。
その通りである。昨日、夕食を御馳走になっている時、どんな風に倒れたかと話したら顔色を変えた圭に病院に連れていかれ、諸々の検査を受けさせられた。結果は異状なし。それを聞いた圭は大げさなぐらい安心してて、お前はわたしの父親か!と突っ込みたくなったほど。
「で、でもね。精神的な理由で倒れたと思うんだ?ほら、目の下に隈があるでしょう」
じっとわたしの顔を見る母。
「隈なんてないわよ?さっさと顔洗ってきなさい」
うそだー!!昨晩一睡もできてないんだよ?!貫徹なんだよ?!
「大丈夫よ。若いから一日寝ないぐらいで隈なんてできないわ」
よ、読まれている・・・!?
「小嶋さんから説明は受けているけど。父さんも母さんも、あなたの特進クラス移動は正直不安なの」
はぁ、と胸に手をあてて心配そうな母に、もしやこれはチャンスか?!と意気込む。
「そうだよね!?わたしも不安なの。普通クラスのままじゃダメかな?お母さんから小嶋さんに話してくれない?」
「お世話になっている九条さんご両親に頼まれて、あなたを青葉学園に入れたけど。ただでさえ高額な授業料が、特進クラスになんて行ったらその何倍もの額になるでしょう?九条さんは出世払いで構わないって仰って下さるけど、あなた、きちんと働いて返すのよ?」
え?!何その話、初めて聞いたんだけど?!
「まってお母さん・・・学校の授業料って、わたしのツケなの?特待生免除じゃないの?」
「言ってなかったかしら?そうよ。特待生免除は、あなたのレベルだと授業料の一部減額のみで、足りない分の授業料や入学金、教科書代などもすべて九条さんが立て替えて下さっているわ。そうじゃなきゃ、うちみたいな一般家庭が青葉学園の制服なんて買えるわけないでしょう? お金は気にしなくていいと仰って下さったんだけど、そんなご迷惑も掛けられないし。それなら無利子で出世払いでいいからって言われてね」
「聞いてないよ!!」
なんてことだ・・・ショックのあまり空いた口が塞がらない。
友達のいないわたしは、ひたすら勉強を頑張って、先生に褒めてもらうのだけが楽しみだった。
だから勉強は嫌いじゃない。頑張ればその分点数として返ってくるから。
高校進学も、本当は公立の学校を希望してた。
だけど、進学率も就職率も抜群な青葉学園からなぜかわたし指名で特待生の誘いがあり、海外留学の噂のあった圭も同じ学校に行くと言う。九条家が絡んでいると踏んだわたしは速攻でお断りした。
が、その後折り菓子を持って圭パパと圭ママが我が家に現れ、「圭が麻実ちゃんと同じ学校じゃないと行かないって聞かないの。麻実ちゃんの志望校も素敵な学校だとは思うんだけど、圭は九条家の跡取りだし、お家の事情もあって、どうしても高校は青葉学園に行って欲しいの。だから麻実ちゃんも、青葉学園に行ってくれない?」と懇願されたのだ。説得するならわたしじゃなくて圭でしょう?!って思ったが、うるうるとした瞳で圭ママにお願いされたら、過去の負い目もあるわたしは頷くしかなかった。
そんな経緯があるため、てっきり特待生枠として学費や諸々が免除されていると思っていたのに・・・!!
「お金は心配しなくていいわ」と言っていたのに、まさかの全額わたしの借金。
まるでひどい詐欺にでもあった気分だ。
感情と情報の整理が追い付かず、パジャマのままわたしはベッドに倒れ込んだ。
確かに、色々おかしいと思うことはあったよ?
特待生のはずなのに、全然先生から期待とかされてないし。かと言って、友達のいないわたしは他の特待生なんて知らないし、特待生がどんななのかもよく分かってなかった。頑張って勉強してたけど、同じぐらい出来る子は普通クラスにも一杯いるし、さすがは青葉学園、レベルが高いなって思ってたけど。
なんだろう・・・なんか涙が出てくる。
どこまで惨めなんだろう自分は。
ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴り響き、母は「はいは~い」と言って下へ降りて行った。
わたしは部屋の窓をあけて下を覗く。
「あ、麻美おはよう!特進クラスの制服持ってきたよ。ちょっと早すぎたかな?」
キラキラと朝日を浴びて輝いているような圭の顔目掛けて、麻美は二階から教科書を思いっきり投げつけた。
0
あなたにおすすめの小説
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
女性が少ない世界でVTuberやります!
dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉
なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。
※毎週火曜・金曜日の夜に投稿。作者ブル
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる