光の部屋、花の下で。

三尾

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四日目

21

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 条件は悪くなかった。むしろ、提示された給与や手当は、介護職の平均からするとだいぶ高い。事業拡大中の介護事業者が相場よりも好待遇で人を集めようとするのは、労働力を買い叩かれがちな介護職にとっても良いことだろう。
 より気にすべきなのは、今日の面接では本社の応接室しか見られていないことのほうかもしれなかった。グループが運営する事業所が近くにあるなら、外観や雰囲気だけでも見ておけば判断材料になるかもしれない。
 考えているうちに電車がやってくる。私鉄への乗り継ぎ駅まで移動するあいだにスマホの電源を入れて、LINEの通知に気が付いた。
『今起きた。』
 響野からの短い返信が、既読のついた俺のメッセージの下に続いている。
『朝食ありがとう。食べる。』
 文面がそっけないせいで、メッセージの向こうで相手が何を考えているのか、まったくわからなかった。こちらに気を遣っているようにも、自分の行動をただ報告しているだけのようにも読める。
 十数文字のメッセージが収まった二つの吹き出しを何度か読み返して、気を遣っていないってことはないか、と後者の可能性を否定した。
 わかりにくいだけで、むしろ気を遣うタイプだ。ここ数日で何度も「ありがとう」と感謝されたし、「悪い」とあやまられた。何か言葉を交わすたびに俺の話を真剣に聞こうとしてくれた。今の響野が当然感じているであろう不安や苛立ちをぶつけてくることもなかった。
 そういう相手の気遣いに俺自身も気付いていたはずだ。でも、を深く考えてみようとしなかった。
 響野は強いから。冷静だから。育ちが良いから。こっちがサポートをしている側だから俺の顔を立てようとして。
 色々な理由を勝手に想像して、彼を理解したつもりになっていた。
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