助けたご令嬢に惚れられた〜非モテ親父の何処がいいんだ?〜

水河忍

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おっさん、家族に諭される

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 ……覚悟。確かにそれはなかったかもしれない。
 綾華の想いを受け入れて恋人になるなんて考えてもなかった。
 好きか嫌いかと言われれば好きではある。この前の聖歌隊の綾華には不覚にもトキメイたし。
 でも、相手は超お嬢様。財力も教養も社会的地位も段違い、付き合えば綾華にも恥をかかす場合も出てくる。
 クリスマス礼拝のディナーの時だって綾華のフォローがなかったら、マナーですら危うかった。
 第一、付き合うってことは当然その先もあるわけで綾華とそんな関係に?

 それまで黙っていた親父とお袋も姉貴の話に加わってきた。

「英二、お前は頭で考えすぎだ。恋愛ってのは頭で考えるより心で行動するものだ。四条さんが良い例だ」 
「ただ、考えなさすぎも良くないけどね。若い頃に英二が何度も振られたのはお母さん知っているし」
「それは英二が下心を丸出しでアプローチしていたからよ。男女の関係になろうってんだから、下心はあっていいと思うけど、そこに愛がなきゃ意味がないわ。恋は下心 愛は真心っていうけど、それをひっくるめての恋愛だからね」

 もう、なんか好き放題言われているな俺。
 こんな事を言われるために実家に帰ってきたわけじゃないんだけどなぁ。
 そういや、親父の体調が悪いんじゃなかったの?

「そういや親父、お袋から聞いたけど体調悪いんじゃないの? だから帰って来たのに」
「あぁ、悪いのは体調じゃなくて腰だ。一週間前の雪かきでギックリ腰になって、昨日ようやく回復したところだ」
「……俺、四条家に戻っていい?」
「何言っているの、顔を見せて直ぐ帰るなんてお母さん寂しいわ。せめて、お正月までは居なさいな」
「いや、綾華も四条家での正月があるだろうし、向こうの都合を聞かないと」

 お袋は席を立ち、仲居さんを呼んで綾華の客室番号を聞くと、客室の内線を鳴らした。
 そして、綾華と電話越しに少し話した後、再び席に着き笑顔で言ってきた。

「元々、一週間の予定だから正月までこっちに居ても問題ないそうよ。四条さんのご両親には連絡しといてくれるって」

 いや、確かに一週間って言って出てきたけど、それは親父の体調が悪いと思っていたから……。

「後、英二の部屋は四条さんと一緒の部屋にしておいたからね」
「はぁ? いや、ちょっとそれは問題ありでしょ! 第一、俺が使っていた部屋はどうなっているのさ?」
「長い間、帰って来てなかったから旅館の物置小屋状態よ。今から住める状態にするのは無理ね。それに四条さんも英二と一緒の部屋って聞いて喜んでいたわよ。ちょうど、四人家族用の部屋が空いているから、二人でのんびり使いなさい」

 綾華、喜んでないで少しは身の危険を考えてくれ。
 健全な男女が一週間も一つの部屋で二人っきりって何も起こらない方が問題だろ。
 四条家でも一つの部屋で綾華と二人っきりの時もあったけど、それは一~二時間だけだったし。
 頭を抱える俺に姉貴が背中を軽く叩きながら言ってくる。

「まあ、色んな意味で覚悟を決めることね」
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