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一章 ヴォジャノーイ
七
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ダンジョン構築に必要なものは、莫大な魔力と偏執的な想像力。微に入り細を穿つ作業だ。並大抵の者では成し得ない偉業でもある。
例えば魔王のダンジョンは、魔王城とその城下町からなる広範囲型。おどろおどろしい外観と、それに違わぬモンスターへの強化と人間への弱化というフィールドエフェクトを保有していた。
対して、デストラップダンジョンは天高く聳える塔型。煉瓦を積み上げたような外観はありふれたものだが、その内部には古今東西ありとあらゆる罠がそこかしこに詰め込まれていた。
そして、デストラップダンジョンの主人が新たに造り出したダンジョンは、外観こそ以前のそれと同じであったが、その中身は全く異なっている。
「言い出した俺が言うのもあれだけど、馬鹿?」
「言い出しっぺが言うにしては本当にな!」
最上階、ダンジョンの主人の居住空間にして研究室。そこはほぼ以前と変わらなかったが、ダンジョンの中を監視するための水晶板が増設されていた。死者なら死んだ後ある程度時間が経っていても研究材料にできるが、臨死状態の場合は正にその時が重要になるからだ。
「こほん、さて、後は命名だけだな……」
「取り繕えてないからな?」
「後は命名だけだな……」
「そうだな」
硬くて長い、龍の頭の彫刻を戴く杖の先を向けられたノーイは両手を挙げて同意した。主人が持つレアアイテムの一つ、魔力倍加の効果がある龍頭の杖だ。
「ふむ……とはいえあまり思いつかないが」
「まぁ、うん」
「確かお前の真名には沼という意味が……」
「やだよこんな場所に俺の真名がちょっとでも使われるの。それに勇者が知ったら絶対こっち来るから止めて」
「うーむ……」
二人してうんうんと唸りながら名前を考える。今後のダンジョンの成長や集客に関わるだけに、手を抜けない作業である。
「モンスターの名前を使うってんならオークは?」
「悪くはないが……」
「あ、知ってるぜ。悪くはないってのはよくもないって」
「中々よい名前が浮かばんな」
「うーん困った」
「あ」
「あ?」
「ふむ、ふむ……エロトラップダンジョン」
「あー……あー、エロってあれだろ? 古代語で色欲とか何とか……あ、ダンジョンも反応してる」
「よし、ここはエロトラップダンジョンだ。そう決めた」
刹那、水晶板に映っていた無機質なダンジョンが、色付いた。主人の魔力に満ち、どくりどくりと脈動する。ノーイはその光景を眺めながら、ははぁ、と感嘆の溜め息を吐いた。
こうして、エロトラップダンジョンは始動したのだ。
例えば魔王のダンジョンは、魔王城とその城下町からなる広範囲型。おどろおどろしい外観と、それに違わぬモンスターへの強化と人間への弱化というフィールドエフェクトを保有していた。
対して、デストラップダンジョンは天高く聳える塔型。煉瓦を積み上げたような外観はありふれたものだが、その内部には古今東西ありとあらゆる罠がそこかしこに詰め込まれていた。
そして、デストラップダンジョンの主人が新たに造り出したダンジョンは、外観こそ以前のそれと同じであったが、その中身は全く異なっている。
「言い出した俺が言うのもあれだけど、馬鹿?」
「言い出しっぺが言うにしては本当にな!」
最上階、ダンジョンの主人の居住空間にして研究室。そこはほぼ以前と変わらなかったが、ダンジョンの中を監視するための水晶板が増設されていた。死者なら死んだ後ある程度時間が経っていても研究材料にできるが、臨死状態の場合は正にその時が重要になるからだ。
「こほん、さて、後は命名だけだな……」
「取り繕えてないからな?」
「後は命名だけだな……」
「そうだな」
硬くて長い、龍の頭の彫刻を戴く杖の先を向けられたノーイは両手を挙げて同意した。主人が持つレアアイテムの一つ、魔力倍加の効果がある龍頭の杖だ。
「ふむ……とはいえあまり思いつかないが」
「まぁ、うん」
「確かお前の真名には沼という意味が……」
「やだよこんな場所に俺の真名がちょっとでも使われるの。それに勇者が知ったら絶対こっち来るから止めて」
「うーむ……」
二人してうんうんと唸りながら名前を考える。今後のダンジョンの成長や集客に関わるだけに、手を抜けない作業である。
「モンスターの名前を使うってんならオークは?」
「悪くはないが……」
「あ、知ってるぜ。悪くはないってのはよくもないって」
「中々よい名前が浮かばんな」
「うーん困った」
「あ」
「あ?」
「ふむ、ふむ……エロトラップダンジョン」
「あー……あー、エロってあれだろ? 古代語で色欲とか何とか……あ、ダンジョンも反応してる」
「よし、ここはエロトラップダンジョンだ。そう決めた」
刹那、水晶板に映っていた無機質なダンジョンが、色付いた。主人の魔力に満ち、どくりどくりと脈動する。ノーイはその光景を眺めながら、ははぁ、と感嘆の溜め息を吐いた。
こうして、エロトラップダンジョンは始動したのだ。
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