風と翼

田代剛大

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豊臣秀吉編:RESET

第10話 リセットボタン

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首都圏にJアラートが鳴る。
逃げ惑う東京都民。
「全裸になりたくねえ!!」



カイト「安藤くん、発射を止められそうか!?」
安藤「ダメです!一度発射コマンドを実行されたら取り消せない・・・!」
サラ「着弾地点を海上にそらせないの?」
キーボードを叩く安藤「やってみます・・・!」
大道寺「きたねえ東京湾がキレイになるならいい爆弾だよな」
ウォンイク「確かに・・・」
安藤「軌道変更コードは見つかりました!」
サラ「さすがハッキングの天才!」

その時、ミサイルが発射されてしまう。

安藤「ああっ間に合わなかった!すいません、着弾場所は神奈川県になりました!」
大道寺「何やってんだゴラア!!」
ウォンイク「発射後は制御できないのかね?」
安藤「ISO14001は破壊エリアが広域な戦略核兵器なので、慣性航法しかできないみたいです!」
大道寺「は?」
ウォンイク「もう制御できないそうだ。」
サラ「どうすんのよ!私たちの神奈川県が滅亡するじゃない!」



逃げるのをやめる東京都民。
「神奈川県くらいなら、まあいいか。」



サラ「どうしよう、カイトくん・・・!」
カイト「安藤くん、逆にもう一発発射することはできるの?」
安藤「え?」
サラ「こうなりゃ、東京も一緒に滅ぼす?」
カイト「そうじゃなくて・・・
ISOにISOをぶつければ・・・」
ウォンイク「お互い自然に帰るのか・・・!」
カイト「大道寺くんの言うとおり、打ち返そうぜ・・・!」
大道寺「しかしよ、間に合うのか?」
安藤「ロフテッド軌道で神奈川に向かっているので、低い斜角で第二発目を発射すれば間に合いますが・・・落下速度が尋常じゃないので、激突させるのは至難の業かと」
ウォンイク「外野のフライにホームからボールをぶつけるようなものだな」
カイト「・・・それならやったことがある・・・」
翼「カイトさん・・・」
カイト「やっと“野球”が見せられるね・・・」
安藤「では、そちらの制御パネルに、ISO14001の発射コマンドを転送します!タイミングよく発射してください!」
天守閣のコンソールに向かうカイト。
サラ「カイトくんがんばって!」
コンソールに座るカイト「このミートカーソルをあわせるだけでしょ?実況パワフルプロ野球みたいなもんさ」
安藤「ちなみに失敗すると、2発目は太平洋を超えてロサンゼルスが崩壊します!」
大道寺「プレッシャーを与えるんじゃねえ!」
カイト「エンゼルスと神奈川県は俺が守る!!」



宇宙空間で静止し今度は落下をはじめるミサイル。



安藤「神奈川に向かって落下を開始しました!現在高度3500km!!高度1000kmを下回ると迎撃は困難になります!」
サラ「早く発射しないと、どんどん加速するわよ!」
カイト「いや、このタイミングじゃ大谷翔平さんを全裸にしてしまう・・・!」
サラ「カイトくん!」
安藤「先輩!」
大道寺「カイト!」
ウォンイク「風間くん!」
翼「カイトさん頑張って!!!」
カイト「・・・ここだ!!」
発射ボタンを押すカイト。

二発目がディプレスト軌道で発射される。
安藤「マッハ15を超えました!」
カイト「頼む・・・!」

神奈川上空が青白く光る。
サラ「当たった!!」
カイト「ゲームセットだ」
カイトに抱きつく翼「カイトさんかっこい~~!」



ガレージを出て空を見上げる安藤。
「さすが先輩だ・・・」
神奈川県上空に爆発したミサイルから大量に何かが降ってくる。
それは、大量の1万円札だった。
1万円をひろう安藤。
1万円には「こんな兵器にマジになっちゃってどうするの」と書いてあった。
安藤「あの人らしいや・・・」



私設飛行場に秀吉のリムジンが入ってくる。
秀吉「なんだよ、リセットしなかったのかい。
まあいいや、あとの尻拭いは若い奴らに任せよう。
日本の未来は頼んだぜ、あんちゃん。」
自家用ジェット機に乗り込もうとリムジンを降りる秀吉。
すると、ジェット機の入口に殺し屋プラナスが立っていることに気づく。
殺し屋「やっと見つけた・・・石川五右衛門・・・」
秀吉「何だ、お前・・・」
とっさに秀吉をかばうSPたち。
拳銃で応戦するが、剣を持った殺し屋にあっという間に倒されてしまう。
真剣な顔になる秀吉「・・・・・・。」
秀吉に剣先を向ける殺し屋。
秀吉「・・・仮面をとってくれねえか。どんなやつが俺を殺したか、知りたくてよ」
マスクを外す殺し屋。
美しい長い髪が現れる。
秀吉「あんたは・・・警察の・・・」
八重「あなたのことはあなた以上に知っているわよ・・・
伊賀忍者の抜け忍であることもね・・・」
すべてを把握した秀吉「だから、百地の嬢ちゃんに近づいたのかい」
八重「20年間・・・ずっとこの時を待っていた・・・20年・・・
3億円事件の捜査の失態を糾弾されて警察官だった私の家族は職を失った・・・
一方、テレビや世間は、泥棒のあなたをヒーロー扱い・・・
何が、誰ひとり傷つけない天下の義賊よ、そんなのは詭弁よ!
あなたたち忍者がいる限り、この世の中は決して良くならない・・・!
せっかく織田信長が滅ぼしてくれたのに、それでも今もしぶとく残党がいる・・・!」
秀吉「そうか・・・あの時の子どもが・・・」
八重に近づく秀吉。
八重「・・・な・・・!」
秀吉「姉ちゃん、悪かったな・・・
オイラの首はくれてやる。次の警視総監はあんただ。」
いさぎよい秀吉の反応に、首を切るのを一瞬ためらう八重「・・・・・」
その背後から、八重の胸を撃ち抜く幸村。
秀吉「幸村・・・」
幸村「ご無事ですか、殿。」
秀吉「あ、ああ・・・」
八重の残した血痕を悲しげに見つめる秀吉。
「・・・あの姉ちゃんは忍者を恨むあまり、誰よりも恐ろしい忍びになっちまったな・・・」



闇に包まれた連絡通路
胸を抑えながら、よろよろと逃げていく八重
「が・・・がはっ、あと少しで・・・あの男の首を取れたのに・・・あと少しで・・・」
冷たいコンクリートの床にうつ伏せに倒れる。
頭上に目をやると、目の前に人間がいることに気づく。
八重「・・・!」
翼「八重さん・・・」
八重「翼・・・ちゃん・・・
止めをさしに来たの・・・?」
翼「時代劇の見すぎです。」
かがんで八重の手当をする翼。
八重「後悔するわよ・・・私は忍者をぜったいに許さない・・・」
翼「いいんです、私はそれだけのことをしました・・・
人生にリセットボタンなんてない・・・自分の過去を受け入れて生きるしかないんだ・・・
だから・・・八重さんには私のようになって欲しくない・・・」



その後・・・東京ドーム。
日韓共催ワールドベースボールが開かれている。
会場には秀吉や翼が観戦している。
翼「日本に戻ってたんですか?」
秀吉「おお姉ちゃんか、この一戦は見るだろ!」
翼「・・・この一戦は見ますよね。」

サラ「ということで、とうとう決着の瞬間を迎えようとしております!
日韓共催ワールドベースボール決勝戦!
9回裏、アメリカメジャーリーグオールスターに対して、日韓合同チームが守りきれば、優勝が決まります!!」
「それでは、もう一度スターティングメンバーをご紹介しましょう!」
「9番ライト、防弾少年の異名をとる守備の天才イ・ウォンイク!!」
「3番ファースト、通称ホームランランチャーのパワープレイヤー、大道寺ヨシヲ!!」
「2番キャッチャー、二つ名はマネーボール!頭脳派バッテリー、安藤夏博!!!」
「そして、全てはマウンド上のこの男にかかっています!!
甲子園予選に流星のようにあらわれ、そのままどこかへ行っちゃって、忍者として、伊賀忍者と織田信長と豊臣秀吉と戦い、撃破した、天才的ピッチャー・・・
球種大図鑑の風間カイトに・・・!」
渾身の一球を投げるカイト。

おしまい
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