風と翼

田代剛大

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徳川家康編:REVELATION

第4話 ロフトプラスワンにて

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ニュース映像
キャスター「子どものなりたい職業第3位は公務員、第2位はサラリーマン、そして栄えある1位は・・・ロボット開発者です!」
街のこどもにマイクを向けるリポーター「去年まではプロ野球選手になりたい子が多かったんだけど・・・」
ちびっこ「野球選手?別になりたくないよ。ロボット同士の試合見ているだけで楽しいもん。」
リポーター「ユーチューバーは?」
ちびっこ「あれもAIが作った動画で十分面白いし」
リポーター「漫画家は?」
ちびっこ「AI絵師でいいじゃん」



リモコンでテレビのニュースを消す病室のカイト。
「時代は変わったな・・・」
花束を置く翼「怪我の具合はどうですか・・・?」
カイト「レッズのチャップマンの真似なんかするんじゃなかった・・・」
翼「カイトさん・・・」
カイト「人間の野球選手が稼げるうちにメジャーに行っておけば、翼にこんな苦労をかけることは・・・」
翼「カイトさんはかっこよかったですよ。
私、幸せです。野球選手のカイトさんが見れて。」
カイト「翼は天使のように優しいなあ・・・」
病室に白い小型冷蔵庫のようなロボットが入ってくる。
看護ロボット「検診で~す。」
体を起こそうとするカイト「あ、すいません・・・」
ロボット「あ、そのままで結構です。」
赤外線を飛ばす。
ロボット「体温、血圧、心拍数正常・・・これでもう退院できますね。」
カイト「ありがとうございます・・・」
病室から出ていこうとするロボット。
しかしぴたりと動きを止める。
ロボット「もしかして・・・プロ野球選手の風間カイトさんですよね?
あんなロボットに一度負けたからって落ち込まないでください。
きっとまた活躍できますよ!また逢いましょう、いや、また逢っちゃダメか、あはは」
病室から立ち去るロボット。
力なく笑うカイト「ロボットに励まされちゃったよ・・・」
翼「どんどん巷のロボットが気を使えるようになってきて不気味です・・・」
カイト「でもあのロボットには本当に入院中は世話になった・・・ありがたいよ・・・」

病院の外から声が聞こえる。
デモ隊「病院のロボット導入反対~!!人間の生死を機械に託すのか~~!」
カイト「なんだろう・・・??」
翼「デモみたいですね・・・」
デモ隊「日本の医師は診察も治療も手術もせずに患者から報酬を得るのか~!!
これは政府と医師会が結託した陰謀だ~!」
カイト「なんか聞き覚えのあるような声・・・」
窓の外を覗く翼「あれ・・・天井さんですよ・・・!!」
カイト「え??人権派弁護士になったんじゃ・・・」
天井サラはスーツをまとい、髪はロングになっている。
「日光テクノロジーの横暴を許すな~!ロボット技術を法的に規制しなければ人間はすべての仕事を奪われるぞ~!」
カイト「相変わらず、反政府的な運動が好きだなあ・・・荷物とってくれる?」
翼「どうぞ」
上着を着るカイト「警察が来ちゃう前に解散させよう・・・」
サイレンが鳴る。
カイト「遅かったか・・・」



自動運転の無人パトカーが来る。
パトカー「病院側から通報がありました。ここでの集会は直ちに解散してください。
威力業務妨害にあたります。」
サラ「来たわよ!みんな顔を隠して・・・!勝手に録画されるから!
そうなったらマイナンバーの照会で一発懲役よ!」
ラジエータの真ん中についている旭日章のカメラのレンズの上に盗撮禁止のシールを貼ってしまうサラ。
パトカー「公務執行妨害です!はずしなさい!」
サラ「だいたいあんたこそ機械のくせに何の権限があってパトロールしてんのよ」
デモ隊「そーだそーだ!!」
サラ「みんな、コイツのすべてのタイヤをパンクさせちゃいましょう!」
デモ隊「イエス、ビッグモーター!」
後部ドアが開いて自動小銃が出てくる。
パトカー「それ以上近づくと発砲します!」
サラ「ロボットの管理社会もここまで来たわね・・・!みんな、こんなのは脅しよ!」
デモ隊「しかしリーダー・・・!」
サラ「警察法第67条の警官の小型武器の所持にロボットは適用されないわ!」
デモ隊「パンクさせろ!」
パトカー「やめなさい~!器物損壊で3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料・・・」
パトカーのフロントガラスにスプレーで「市民は公僕に屈しない」と落書きをするサラ
「黙れナイトライダー!!無法には無法よ!!だいたい何がAIよ!あんたの恋愛予測アプリのせいで私はカイト君への告白を諦め・・・」
パトカーを破壊する幼馴染にドン引きのカイト「サラちゃん・・・」
サラ「きゃああああああああ!!」



新宿のロフトプラスワン
AIに反対する市民団体や弁護士などが当局の目を恐れて学習会を開いている。
全身黒づくめの細身のイケメン検察官がプレゼンテーションをしている。
豊臣秀頼「人類はもう引き返せないところまで来ている・・・
売国企業の日光テクノロジーが産業界に進出してから早2年・・・この短い間にも数えきれない職業が機械に取って代わられた・・・」

サラにつれられて会場の後ろの席に座るカイトと翼。

秀頼「役所や銀行など窓口業務を皮切りに、大企業の事務職は軒並みリストラ、小売店のレジやレストランの調理師、芸能界にクリエイター、挙句の果てには医師や学者などの専門職まで・・・そして今月そこにプロスポーツ選手が加わった・・・」

会場をゆっくりと歩き一息ついてから演説を続ける秀頼。

「今、我々人間に残っている仕事は何だ?
土木・建設作業員、工場労働者、ごみ収集、介護士、軍隊、荒れた学校の教員・・・どれもAIがやりたがらない肉体労働だけではないか。」
カイト「・・・。」
秀頼「私は労働のAI化は、独占禁止法に違反すると、何度も徳川家康を起訴しようとしたが、愚かな国家はあのタヌキを不起訴処分とし、やつは無責任にもAIロボットの投げ売りを続けた・・・
家康はこう言う。“買った方が悪い”と。
しかし、その言い分はドラッグのバイヤーにも通るだろうか?
人工知能はある種、アヘンよりも恐ろしい依存性を持つ。
そして、人類を人類たらしめる思考と想像力を人類から奪っていく・・・」
うんうんと頷く来場者たち。
「家康は、AIが人類の代わりに思考をすれば問題ないとうそぶくが、大間違いだ・・・
AIにそんな力はない・・・
また、批判を覚悟した上であえて言おう。
そもそも大多数の人間にそこまで大層な思考力などないのだ・・・
AIは、そんな無知蒙昧な大衆を御し易くする・・・
家康のような狡猾な統治者のメリットは、まさにそこなのだ。
思考力がある人間は得てして数が少ない。
民主主義では多数派が正義。必ず大衆を味方につけたものが勝つ。
たった数万円の便利さと引き換えに、日本国民は多くのものを失うだろう・・・
引き返すなら今だ。」
まばらな拍手が起きる。
司会「元東京地検特捜部の豊臣秀頼さんでした。」

ニコニコしながらカイトと翼を見るサラ「どうだった?すばらしいでしょう?」
カイト「う・・・うん・・・」
翼「陰鬱な気持ちになりました・・・」
サラ「司法修習時代の私の指導教官なんだ。二人にも紹介してあげるね!」
秀頼に元気よく手を振るサラ「教授~!」
微笑む秀頼「サラくんか・・・私はもう君のプロフェッサーではないぞ。
おや、お友達かな?」
サラ「高校時代の悪友です。」
秀頼「ということは・・・君こそが我が宿敵家康の風俗店を焼き討ちした勇者、風間カイト殿か・・・!」
カイト「えっ、ちが・・・はい・・・」
秀頼「貴殿の武功はかねがね・・・奥で話そう。」
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