80日間宇宙一周

田代剛大

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第二章 希望の海――Sea of hope

17日目

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隕石にすら我々は勝利したのだ。何を臆することがある?

                                 ――青ヒゲ



トライデント城の上空にノーチラス号が浮いている。

ライトはリンドバーグ号を、ノーチラス号の前にホバリングさせた。

「隕石は持ってきた。まずは海王星から出て行け」

と、ライト。

《本物かどうか、この目で確認しなければ、それはできませんね。まあ中にお入りなさいな。》

無線からピカールがそう告げると、ノーチラス号の格納ハッチがゆっくりとスライドし、大きく口を開けた。

「いくで・・・」

ライトは操縦桿を倒し、ノーチラス号の船内にリンドバーグ号を進めた。



ライトとルヴェリエが案内された、ノーチラス号の応接室は、まるで冥王星にあったピカールのオフィスを、そのまま運んだのではないかと思うほど、彼の私物で溢れていた。

ピカールは、ソファに座るライトが手にした“希望の海”にルーペを近づけて、じっくりと表面の結晶構造を観察した。

「どや本物やろ!だから海王星でもう馬鹿な真似はすんな」

ライトは隕石を乗せた手の平を握り締めた。

ピカールはテーブルにルーペを置くと、首をかしげて苦笑いをし、

「いや~私も鉱物学の専門家じゃないので、本物かどうかわかりませんねえ。
とりあえずメイルシュトローム砲のリアクターにセットして試し撃ちでもしてみないと・・・」

と、とんでもないことを言った。

「そんな!話が違う!!」

と、ルヴェリエが、ソファから身を乗り出した。

「そう来る思うた。だがホンマにそんなことしてええんかな」

ライトが不敵な笑みを浮かべた。

ピカールは、きょとんとした。

「お前覚えてないんか?
生真面目な性格利用して、オレのエンジンを盗ませた軍人がおったやろ」

「そんな人もいたかもしれませんね・・・」

紅茶をすすりながらピカール。

「そいつな、実は今この星に来てんねん。自分のやったことに落とし前つける言うてな」

ピカールの動きが止まった。

「わからんか?人の心を弄ぶっていうのは、それなりのしっぺ返しを喰らうってこっちゃ」

艦内に警報が鳴った。



「はああああ!」

ノーチラス号の機関室では、ライトたちと別れて船内に潜入していたミグが、警備員を次々に鮮やかな格闘術で倒していった。

最後の作業員を部屋から追い出すと、彼女は扉のバルブを回し、コンソールの上に並んだ無線機の一つを掴んだ。

「ライトか?こっちは制圧した」

内側からロックした扉の向こうでは、警報を聞いて駆けつけた武装テロリストたちが叫んでいる。

「だが長くは持ちそうにない・・・
ピカールに、私に盗ませたエンジンを壊して構わないか聞いてくれ」

応接室のモニターに映された機関室の様子を、ピカールは無言で見つめていた。

「さあどうする?」

と、携帯無線を向けながらライト。

ピカールは、目線をモニターからライトに戻し、ソファにもたれた。

「ふむ・・・どうしてほしいんです?」

「まずはお前らが人質にしてる王族の連中を解放しろ」

「わかりました。飲みましょう」

ピカールはライトの要求をあっさりと受け入れ、壁に掛けられた受話器を取った。

「ナイアド女王をここへ」

ライトはルヴェリエの顔を見つめた。

ほどなくしてナイアド女王が、応接室へ入ってきた。

ルヴェリエが母親のもとに駆け寄る。

「母さん・・・・!」

「ルヴェリエ!無事でしたか!」

女王は我が子を力強く抱きしめた。

離れ離れになった親子は、ここについに再会した。

12歳の彼にとって、母親のもとを離れたこの三日間は永遠にも思えただろう。

――そういや自分も、もう随分と親には会ってないな・・・

ライトはぼんやりと親のことを考えた。

――ま、うちの親は、こうやって子どもを優しく抱きしめるようなタイプやなかったけどな。

そしてルヴェリエの肩に手を置いた。


「よかったな、ルヴェリエ」

「貴方は・・・」

と、女王。

「この人が僕を救ってくれたんです・・・」

ルヴェリエは母親に事情を説明した。

「そうだったのですか・・・女王として、そして一人の親として深く感謝を申し上げます」

「いや~おたくのお子さんに助けてもらったんは、こっちなんやけど・・・
ええ教育してますね・・・」

ライトが頭をかいた。

そして振り返ると、

「よし、あんたらは先にこの船から脱出してくれ」

と、非常口のドアを開けた。

「ライトさんは!?」

「オレは、このおっさんと、もう少し話すことがあるんや。あとは任せろ」

「ライトさん・・・」

ルヴェリエが不安そうな顔をした。

「心配するな。海王星はオレたちが必ず守ったる」

ピカールの命令で解放された王族の人質が、ノーチラス号の連絡通路を歩いていく。

通路の周りのテロリストは、悔しそうに、憎きアッパークラスを見送っていた。

「まさか本当にルヴェリエに救われるとはな・・・」

と、アラゴ。

デスピナは、通路のテロリストに悪態をついていた。

「よくもこのわたくしを、あんな狭い部屋に閉じ込めてくれたわね!バ~カバ~カ!」

人質たちは脱出用のポッドに乗り込み、ノーチラス号から離れていった。

ルヴェリエはポッドの中から、窓の外のノーチラス号を見つめた。

ライトとミグは、まだあの中にいる。

敵しかいない、あの戦艦に。

少年は二人の無事を神に祈った。



ピカールは拍手をした。

「いやあ、見事ですライトくん。正直驚きました」

「あんた、随分素直に人質を諦めたな。それくらい、この石が欲しいんやな」

「そうですね・・・私にとっては、この星の王族がどうなろうと関係ないですからね。
では、その隕石をいただきましょうか?」

ピカールが手を伸ばすと、ライトが“希望の海”をピカールから遠ざけた。

冥王星で、ピカールに奪われた設計図を見せつけられた時とは、全く逆の状況だ。

「一度これをやってみたかったんや」

ライトが微笑んだ。

「なるほど・・・」

「そんで、これで何をするつもりや?地球を吹き飛ばすのか?」

「緋色の旅団の諸君は、そう息巻いていますね・・・」

と、他人事のようにピカール。

「おい、大将はあんたやろ。あんたの計画ちゃうんか?」

「私は“実験”ができれば、なんでもいいんですよ・・・」

「実験やと?」

ライトが眉をひそめた。

「問題は、その資金をどうやって集めるかですライトくん。
我々科学者にはパトロンがいる。
現在地球に恨みを持つ勢力はとても多い」

「そうなの?」

と、地球人。

「残念ながら。
ですから、地球を破壊することで莫大な研究資金が手に入るなら、私はそれで十分なんですよ」

「全ては金か。それじゃ海賊の連中といっしょやな」

「全ては科学の進歩のためです。建前はやめにしようじゃありませんか。
君も私も同じ科学者。世界を変える力を欲する志は同じはずです」

「前にも言ったけど・・・オレはあんたと組むつもりはないで。
それに、あんたに言っておく。
オレは紅茶が嫌いや」

「そうですか・・・」

ピカールはカップを置いた。

ライトの無線が鳴った。

《どうやら、人質は全員解放されたようだな。こっちも脱出しよう。》

と、ミグ。

「ああ、せやな」

「ここから逃げきれると思っているんですか?」

「あんた分かってないようやな。
オレたちがリンドバーグ号に乗り込むまで、あんたは、部下に手出しをさせないように、命令する必要があるんちゃうんか?
さもないと、ミグがこの船、本当に飛べへんようにするで」

「ほう、すっかり勝ち誇ったような態度ですね。
しかし、こちらにも優秀な軍人がいるのをお忘れなく」

「なんやと?」

ミグが占拠した機関室の鋼鉄製の扉が、爆発して勢いよく吹き飛んだ。

ミグは、爆風から逃れるために、検査ジグの乗った作業台の影に飛び込んだ。

「ここは第二エンジンだぜミグ」

灰色の煙の中から、聞き覚えのある声が聞こえた。

「・・・あ、あなたは・・・」

作業台から顔をのぞかせたミグが、近づいてくる屈強な男を見て、目を見開いた。

「しかし取り返しのつかないことをしたもんだ。お前には失望したよ」

ミグはかつての上官の名をつぶやいた。

「ナッシュ・ストライカー大尉・・・」



ピカールが笑った。

「くっくっく・・・!この巨大な船にエンジンが一つだけだとお思いか?
彼女があの部屋を制圧しようが、我々の作戦には全く支障はないのですよ」

「じゃあなんで人質を逃がした?」

「あなたの喜ぶ顔が見たくてね・・・・・・母子の再会・・・感動しましたか?」

ライトはソファから立ち上がった。

「お前・・・!」

「おっと、あなたの相棒の彼女が、なぶり殺しにされてもいいのかね?」

ピカールがライトの前に受話器を差し出した。



ミグが占拠したのは、第二エンジン室だった。

彼女は、冥王星で組み立て途中のノーチラス号を見学した時のことを思い出した。

工場の現場監督はこう言っていた。

ノーチラス号は5つのパーツとして組み立てられ、それぞれを宇宙に発射してから、軌道上で統合する、と・・・

ならば、その数だけ原動機があるのは当然だった。

――しくじった。

「そこにいるのは分かってんだぞ、ミグ。隠れてないで出てこい」

エンジン室の出入り口で、銃を構えながらストライカーが言った。

扉を吹き飛ばした爆風で、ミグの位置が確認できないらしい。

作業台の後ろで背をもたれながら、ミグはタクティカルベストからマガジンを取り出し、拳銃にはめ込んだ。

汗を拭う。

ミグは自分が相手にしている敵の強さを充分心得ていた。

――ナッシュ・ストライカー・・・

新兵時代にミグに格闘術を教えたのは、前線を引退した後、訓練教官として後進の指導に当たっていた彼だったのである。

もともとナッシュ・ストライカーは両親の古くからの友人で、よく屋敷にやって来ては、小さかったミグの遊び相手になってくれた、優しいお兄さんだった。

彼の性格は、成人したミグが軍に入隊した時も変わっておらず、オフの時には、両親を失ったミグを励まし続けてくれたが、こと訓練中においては全く情け容赦がなかった。

彼は一人の人間である前に、軍人だったのである。

殺す、殺されるの世界に、男も女もない。

格闘訓練で、彼に顔が二倍に腫れるまで殴られたのは、彼女にとって大きなトラウマになっている。
だが、ミグなどは、まだマシなほうだった。

喧嘩慣れした、ある威勢のいい新兵などは、自慢の上腕2等筋を上腕骨ごとへし折られてしまったのだから。

そして彼は言った。

「軍隊へようこそ、ジム」



ミグは戦慄した。

――格闘戦になったら、私は、まず敵わない・・・

だが、自分はかつての上官を撃つことができるのか・・・

そうこう考えているうちに、ストライカーが爆風が飛散したのを見計らって、ブリッジの中央へ歩みを進めた。

相手が女ひとりだろうと、全く油断せず、慎重に周囲を警戒している。

「どうした?涙の再会といこうじゃないか・・・」

ストライカーが銃を構えたまま、爆風で床に転がった圧力計を蹴飛ばした。

「あなたが・・・なぜこんなことを・・・!」

ミグが作業台に隠れながら、悲痛な声で叫んだ。

ストライカーは耳を澄ませた。

――そこか。

そして彼女の質問に答えた。

「なぜ?弱いものを救うためだよ・・・」

「それは違います・・・!あなたは、たくさんの人の命を奪った!」

「必要だったからな」

ストライカーはゆっくりと声がする方へ接近した。

――あの作業台の後ろにユーリの娘がいる・・・あと少し・・・

「この世界に、必要な殺戮なんてない・・・!」

――悲しいな。軍にいたのに、こいつはまだこんな青臭いことを言っているのか。

世の中は弱肉強食、食うか食われるかだ。

反論するなら、腹を空かせた猛禽の前にネズミを置いてみればいい。

奴らは和解して抱き合ったりするか?

こいつは没落したとは言え、所詮は貴族だ。

底辺の人間の苦しみなど、何もわかっちゃいない。

だから社会の実態を無視した、綺麗事を抜かす・・・

作業台に到達した。

呼吸を整え、台の後ろに素早く回り込み、銃口を敵に向けた。

しかし作業台の後ろには、スピーカーがオンにされた携帯無線機しかなかった。

――あの野郎!



その瞬間、ストライカーの横からミグが飛び出し、銃床で彼の手を叩きつけた。

ストライカーが拳銃を落とす。

その銃を足で蹴飛ばし

「動くな!」

と、ストライカーに銃口を向けた。

ストライカーは一瞬笑みを浮かべたかと思うと、見きれないほどの速さでミグから銃を奪った。

ミグは、何が起こったのか分からず、呆気にとられた表情をした。

そして、ストライカーはミグの頭に向けて引き金を引いた。

――オレを殺すには役不足だったな、小娘・・・

しかし、銃弾は発射されなかった。

青臭い小娘は、かつての上官を殺す勇気がなかったのだ。

ストライカーは役たたずの銃を床に捨てると、ミグに向かって殴りかかった。

ストライカーのパンチを両腕でガードしたミグは、苦痛で顔を歪めた。

間髪入れず、ストライカーはミグのみぞおちにボディブローを叩き込み、むせる彼女の上からダブルスレッジハンマーをお見舞いした。

ミグはあっという間に地面に崩れ落ちて、丸くなった。

関節技を決めるまでもなかった。こいつは弱すぎる。

「ほら立てよ、昔はもう少しバイタリティがあっただろ?」

ミグは、ぜえぜえと息を切らせた。

「・・・両親はあなたを信頼していた・・・」

「ああ、しかし星に帰ったオレを待っていたのは誹謗中傷の嵐だった。
冥王星、いや太陽系のために命懸けで戦った報酬がそれだ。
白血病で軍を退役し、ほんのわずかな年金が振込まれるだけ・・・このオレがだ!!」

「あなたは間違っている・・・」

ストライカーは、地面にうずくまるミグを勢いよく蹴飛ばした。

「うるせえ!屋敷育ちのてめえにこのオレの気持ちがわかるか!」

その様子をモニターで見ていたライトは、ピカールの方を向いて叫んだ。

「ミグ!!おい、やめさせてくれ!」

あのままでは、ミグは本当に死んでしまう。

「では隕石を差し出してもらおうか」

と、血も涙もない科学者は言った。

「ミグを逃がしてからや!」

「わかりました」

ピカールは頷くと、受話器を持ってストライカーに命じた。

「大尉。もういい加減、彼女をいたぶるのはかわいそうだ。
ひと思いにその女を射殺してやりなさい」

ライトはピカールから受話器を奪った。

「やめろ!!」

うつ伏せになったミグは、床に落ちた無線機を握り締めて、力のない声で言った。

「ライト・・・私のことはいい、絶対に“希望の海”を渡すんじゃないぞ・・・!」

朦朧とする意識の中で、ミグはライトに全てを託した。

血まみれのミグの頭上で、ナッシュ・ストライカーは自分の銃を構えた。

「ミグ。お前は落第だ」

すると、ミグは最後の力を振り絞ってストライカーに飛びかかり、その足を取った。

そして力の限り叫んだ。

「死んでたまるかあああ!」

バランスを失ったストライカーの銃口が火を噴いた。

ミグは鮮血を噴き出させた。

全ては一瞬だった。



「ミグ!!」

ライトが慟哭すると、ノーチラス号が突然大きな衝撃を受けて傾いた。

テーブルの上から滑り落ちた紅茶セットが音を立てて割れていく。

ピカールはソファにしがみついた。

「何事だ?」

ピカールが艦橋に電話をかけると、乗組員は叫んだ。

「か・・・海賊です・・・!」



ピカールが、応接室のモニターを切り替えると、ノーチラス号の周りを、ものすごい数の海賊船が取り囲んでいることが分かった。

大小あわせて1000隻はいる。

――一体どこから湧いて出た?

ピカールはモニターから目線をそらすと、傾いた応接室からライトが飛び出していくのに気づいた。

「あ、待ちなさい!」


海賊船クラーケン号船長――ロジャー・クラージュは、宇宙最強の戦艦に通告した。

「ノーチラス号に次ぐ!即時、武装を解除せよ!
さもなければ海賊の掟に従って制裁を加える!」

ノーチラス号のオペレーターは、レーダーを見て青ざめた。

「1500隻以上はいます!」

まるで、全宇宙の海賊たちの同窓会といったところだ。

第一艦橋に入ってきたピカールは、マルチスクリーンに目をやると、掌砲長に声をかけた。

「なあに冥王艦隊も蹴散らしたんです、問題ないでしょう」

すると掌砲長は、深刻そうに首を振り

「しかし今回は全方位に敵がいます!」

と、冥王星の時とは戦況が大きく異なることを告げた。

「なら戦闘機と、副砲で対処しなさい」

「は!」

オペレーターが、インフェルノの艦内格納庫に回線を繋いだ。

ほどなくして、ノーチラス号から発進した航空部隊が、海賊団と激しい戦闘を開始した。

ロジャーがつぶやいた。

「それが返事か。ならば、とことん相手になってやる」

ロジャーが操舵手に腕を振るうと、クラーケン号は左翼からノーチラス号に接近した。

そして、レヴィアタン号は右翼、セイレーン号は下、ファッティホエール号は上からそれぞれノーチラス号を囲んだ。

これで巨大な海賊船4隻が、ノーチラス号を包囲した形になった。

ノーチラス号は、海賊四天王の包囲網から逃れるために、戦速を上げて前方へ抜けようとした。

だが、目の前に青ヒゲが乗る5隻目の超大型戦艦――オケアノス号が立ちふさがり、ノーチラス号は完全に身動きが取れなくなった。

「うふふ、逃がさないわよ♡」

と、青ヒゲ。

そしてロジャーが鬨(とき)の声を上げた。

「一斉射撃だ!野郎ども、敵の砲台を木っ端微塵にしろ!」

「アイアイサー!」

海賊たちは、ノーチラス号に至近距離から次々にラウンドショットをお見舞いした。

ノーチラス号の純白の装甲は、オレンジ色の火球に包まれ勢いよく吹き飛んだ。



ノーチラス号の第二エンジン室は、海賊たちの激しい攻撃を受け、火の海になった。

ステップの下では、エンジンを覆う厚い鉄板が外れ、内部の巨大なピストンが剥き出しになっている。

ミグを始末したストライカーが、起き上がって無線機を引っつかんだ。

「このままじゃやられる!メイルシュトローム砲を発射しろ!」

《それはどうでしょう。》

と、ピカール。

「なんだと?」

《あれには莫大なエネルギーがかかります。
それに地球を消滅させるためには、艦内のエネルギーは、これ以上無駄にはできません。》

「あんた、外で戦ってる仲間を見捨てろと言うのか?」

《私が言いたいのは、切り札は使いどきを考えろということです。
この状況で撃っても、せいぜい前方の海賊船を沈めるだけ。
あの石がなければ、どのみちエネルギー不足になる。》

「ええいわかった。オレも出る!」

冥王星のエースパイロットは、戦闘機の格納ユニットの方へ駆け出した。



海賊たちの集中砲火を浴びて、ノーチラス号は炎上した。

前回の戦いは、もともとクラーケン号の撤退戦だった。

戦う前から勝利を諦め、敵に背を向けた。

しかし今度は違う。

――海賊は勝てる喧嘩しない。

《ロジャーちゃんどうするの?あの船沈めちゃう?こっちはいつでもOKよ。》

無線から青ヒゲ。

「待ってくれ、まだあの船の中にはオレの友人が・・・!」

――何してるライト・・・



ライトは、火の手が上がるノーチラス号の船内を駆け回っていた。

「ミグ~!」

なんとか第二エンジン室にたどり着くと、ものが散乱してめちゃくちゃになった作業ステップの硬い床に、ミグが血を流して横たわっていた。

ライトはゾッとした。

――銃で撃たれたんだ。

慌ててミグを抱き起こす。

「ミグ!」

ミグはうっすらと目を開けた。

顔にほとんど生気がない。

「ライト・・・バカ、なんで来た・・・」

「ミグ・・・お前撃たれとるやないか!」

ライトが傷口を確認すると、彼女の肩は血で真っ赤に染まっていた。

「ああ・・・大丈夫だよ」

と、ぼんやりした口調でミグ。

「待ってろ、いま手当してやるから・・・」

そう言うと、ライトはミグが着ているシャツの胸元に手をかけた。

ミグは、ライトが自分の服を脱がそうとしているのに気づくと、かすかにうめいた。

「え・・・服を脱がすのはちょっと・・・」

「恥じらってる場合か!」

ライトはミグに構わずシャツを引き裂いた。

急所は外れているが、早く止血しないと、彼女は死ぬ。

荒く呼吸をしながらミグは言った。

「私の体を見たものは・・・」

「ひと月以内に死ぬんやろ?わーったから喋らずにおとなしくしてろって」

シャツを脱がすと、ミグの体は傷だらけで、胸の部分は肉がグロテスクにえぐられていた。

これは、ストライカーによるものではなく、もっとずっと昔に傷つけられたもののようだ。

「この傷もう治らないんだ・・・気持ち悪いだろ?」

と、ミグ。

この傷を見せたくなかったから、シャワーを覗かれることをあんなに嫌がったんだ、とライトは悟った。

彼女が、いつ、誰に、この胸の傷をつけられたかは分からない。

そして気の毒な過去を詮索する気もなかった。

誰にだって、人には言えない事情がある――

ライトは、優しく話しかけた。

「そんなことないよ、お前は美人やって」

そう言うと、ミグの鎖骨の上を押さえた。

そこに大きな動脈があるのだ。

「まさかキミからそんなこと言われるとはなあ・・・」

ミグが力なく微笑んだ。

彼女の顔色はどんどん悪くなっていく。出血性ショックだ。

シャツを使って圧迫止血をしながら、ライトは叫んだ。

「いいかミグ!意識を失ったらあかん・・・!生きて地球を見るんやろ!!」

そう言うと、ミグはまぶたをゆっくりと閉じて

「そう・・・生きて所さんの世田谷ベースに行くんだ・・・」

と、消えそうな声で囁いた。

「違う!地球に行くんやって!」

――あかん、せん妄状態や。

ライトは応急処置を済ませると、ミグを背負って立ち上がった。



ミグは薄れゆく意識の中で、懐かしさと安らぎを感じていた。

――こうやっておぶわれるのは、子どもの頃以来だなあ・・・

そういえば、よくおとうさんの背中の上で眠ったっけ・・・

撃たれた直後こそ、激痛で気絶しそうになったが、人間の体とは不思議なもので、今は何も感じなかった。

むしろ、とても気持ちが良かった。

彼女は幸せだった。

ありのままの自分を受け入れてくれる人に、出会えたのだから。

ミグは最後にもう一度だけ、恩人の名前を呼んだ。

「ライト・・・」

――ありがとう。

彼女の頬に涙がつたった。



ノーチラス号の格納庫まで引き返すと、ライトは傷ついたミグをリンドバーグ号に乗せた。

すると、そこに武装テロリストを引き連れピカールが現れた。

「ライトくん、隕石をよこしなさい!」

すごい執念だ。

だが今のライトには、隕石などどうでもよかった。

「まだんなこと言っとんのか、あんたは。地球を破壊するのは諦めろ!」

ピカールはテロリストに銃を構えさせた。

「こんなところでお互い人生を終わりたくはないでしょう?」

ライトは、懐から青い宝石を取り出すと、

「わ~ったよ!しっかり受け取れ!」

と、ピカールの方へ投げつけた。

――こんなもん、くれてやる。

その時、再び船内が大きく揺れ、ピカールはライトが投げた石を取り損なった。

小さな石のかけらは、傾斜した床を転がり、ステップの間に姿を消した。

「キミたち!拾いなさい!」

大の大人たちが、慌てて石ころを追いかけた。

――一生、探してろ。

ライトは、リンドバーグ号のエンジンをかけ、離陸を開始した。

ノーチラス号から脱出すると、コックピットのレーダーが反応し、インフェルノの一機がこちらに襲いかかってきた。

《まだ終わっていない!》

ナッシュ・ストライカーだった。

「この機は救急車や。どいたほうがええで」

ライトは、ラムジェットエンジンを点火させ、機体を一閃させた。

ノーチラス号では、格納庫の格子にピカールが手を伸ばしていた。

「ようし・・・つかんだ!」

とうとう青い宝石を格子の隙間から取り出すと、ピカールはジャケットを整え、

「目的は達成しました、引き上げましょう」

と、微笑んだ。



満身創痍のノーチラス号は、アビスから撤退を開始した。

「逃げていくわよ!」

と、青ヒゲ。

「もうほうっておけ、どのみちあの損傷じゃ遅かれ早かれ墜落だ」

これはロジャーだ。

海賊たちは勝利の雄叫びを上げた。

「オレたちが勝った~~~!ヒャッハ――!!」

すると、クラーケン号にリンドバーグ号からの無線が入った。

どうやらライトたちは、無事にノーチラス号から脱出したようだった。

ロジャーは叫んだ。

「ようライトか!見ただろ、オレたちがあの戦艦を追っ払ったんだぜ!」

しかし無線の向こうのライトは、いつになく深刻そうな口調でつぶやいた。

《・・・なあロジャー、海賊船って船医とかはいるんか?》

「ああ、いるぜ、とびきり腕がいいのが、どうした?怪我でもしたのか?」

《よかった・・・ちょっと見てくれへんかな・・・》

ライトの声は明らかに動揺していた。

ロジャーは表情を変えた。

「なにがあった?」



多大な犠牲を払い、目的を達成したノーチラス号の機関室では、メインリアクターにセットされた“希望の海”を、ピカールが満足そうに見つめていた。

「これでメイルシュトローム砲がさらに強力になる」

すると、受話器を持った作業員がこちらを向いて叫んだ。

「閣下、ブリッジから連絡です!前方に大型の積乱雲・・・!」

「かわせばいいでしょうが」

「それが操舵をやられて制御不能に・・・!」

――そんなはずあるか。

ノーチラス号のアビオニクス(電子航法装置)は機体中央に位置しており、二重、三重の防御壁で守られている。

外部からの海賊船の攻撃ごときで損傷するはずはない・・・

敵が艦内に直接侵入しなければ・・・

ピカールの脳裏に、あのサルのような地球人の憎たらしい顔がよぎった。

――わからんか?人の心を弄ぶっていうのはそれなりのしっぺ返しを喰らうってこっちゃ。

ピカールは思った。

――女と一緒にあのライトも殺しておくべきでしたね。

制御を失ったノーチラス号は、速度を上げてインディゴブルーのメタンの積乱雲の中に突っ込んだ。

今度はもう逃れられない・・・

ノーチラス号が大渦に呑まれると、嵐の轟音と共に、規則正しいチックタックという時計のような音が聞こえてきた。

その音はかすかだが、間隔が定期的なので、耳につく。

「聞こえますか?」

と、ピカールはエンジンを保守する機関長に尋ねた。

「え?」

ヘルメットの機関長が耳を澄ます。

「原動機からでは、ないですね・・・スピーカー越しから聞こえるようです」

となると、機体の外だ。

「なんだこの音は?」

ブリッジでは、ヘッドセットをつけたオペレーターが、パッシブソナーを確認した。

「レーダーやソナーに反応は?」

と、ストライカー。

「ダメです!干渉がひどくて使い物になりません!」

すると、船体に大きな衝撃が走った。

コンソールに乗っていたものが勢いよく散乱し、床に転がった。

「!!なんだ!?」

乗組員が船窓を覗くと、青い雲とともに巨大な顎と鋭い歯列が動いた。

――なんと、嵐の中に全長50メートルはあろうかという巨大な動物が浮いている。

「外に怪物がいるぞ!!」

「馬鹿でかい・・・!」

その姿は、ウミヘビ――いや龍のようだ。

いずれにせよ、雲の中を泳ぐ史上最大の動物であることは確かだ。

ピカールは怪物の出現に全く動じず、ブリッジに電話をつなぐと

「これはちょうどいい。メイルシュトローム砲の実験台にしてやりなさい」

と、命じた。

科学者は、出力の上がった破壊兵器の威力を、一刻も早く見てみたいのだ。

「メイルシュトローム砲準備!」

リアクターのエネルギーが、主砲に注がれる。

「安全装置解除・・・」

コンソールを操作する砲手。

「待て。あいつはオレがやる」

そう言うと、ストライカーが席から砲手をどかし、機体前方を泳ぐ化物にメイルシュトローム砲の照準を合わせた。

コンピュータ制御されたターゲットロックは使えないので、有史以前の目視で獲物に狙いを定める。

――こいつが本物のモービー・ディック(※5)ってか。

ストライカーが胸を高鳴らせた。こんな怪物と一度戦ってみたかった。

※5:『白鯨』に出てくるクジラの怪物。

すると、突然艦内に警報が響いた。

主砲のリアクターが動作不良を起こしたのだ。

メイルシュトローム砲のトーラス型の加速器から射出されたレーザーは、リアクターにセットされた“希望の海”をあっという間に蒸発させた。

素粒子の連鎖反応は中断され、エネルギーの充填率がどんどん低下していく。

ピカールが叫んだ。

「これはどういうことだ・・・!?」

時計の音は、さらに大きくなる。

怪物は、ノーチラス号の船体を引きちぎりだした。

そして長い胴体をくねらせて船内に侵入してきた。



18日目
科学ニュース:カイオウトケイワニの正体はウツボの新種

深海の神秘がまた一つ明らかになった。

これまで未知の巨大生物と言われていた、カイオウトケイワニ(Crockdile greenwichensis)の撮影に、ナショナルジオグラフィックとアクアノート海洋大学の調査チームが成功した。

カイオウトケイワニの生きた様子をとらえた鮮明な映像は初。

(略)

かつて海を支配する魔の怪物クラーケンとも呼ばれ、航海者たちに恐れられてきたカイオウトケイワニを撮影したのは、同大学で新たに開発された深海用無人探査艇NEMOだ。

(略)

それによると、カイオウトケイワニの全長は53.4メートル。

顎の形から、これまでワニの一種と考えられてきたが、分類学上は巨大なウツボで、カイオウトケイワニは史上最大の魚類ということになる。

この生き物が、空を泳ぐメカニズムは解明されていないが、アクアノート大のヘッケル・ブルーディスカス教授によれば、彼らは未知の気体を浮き袋に貯めることで、浮力を調節しており、体の巨大化も浮き袋の体積を増やすための適応である可能性があるという。



貴族として生を受けた者は、その日から重い原罪を背負う――

少年は家族を救い、家族を失ったかつての少女は、その血を流して罪を償った。

二人は戦った。

過去と未来のために。

宇宙海賊たちは、それぞれが自分たちの縄張りに帰っていった。

きっと、これからも、大いに罪のない人々を脅して、その財産を収奪していくことだろう。

とにもかくにも、格差のない平等な社会を望んだ、夢想主義者たちのテロは失敗した。

「大渦」という名のエネルギー砲を持つ戦艦は、この海の星のもっと大きな――自然界のうねりに飲み込まれて、跡形もなく消えてしまった。

だが、海王星の王室は、ここからが大変だった(※6)。

海王星の政情が不安定なのは、かつてと全く変わっていないし、今回のテロ攻撃によってむしろそれは悪化した。

不幸中の幸いは、労働者たちがデモをピタリとやめたことである。

トライデント城がテロリストによって破壊される光景に、海王星人の誰もが胸を痛めた。

デモ隊が望んでいたことが現実になったわけだが、この出来事は、暴力的なデモは事態を何も好転させないことを、彼らに示すことになったのである。

※6:その後、王室と海賊とのつながりを公表したナイアド女王は、アダムス首相と共に政界から引退した。また、政府は過去最大の国政監査を実施し、復興資金及び物資着服の疑いのある役人と軍部を次々に更迭させた。



昨夜まで危険な状態が続いたミグは、アビスの総合病院で目を覚ました。
一晩中ミグの傍についていた、ライトとルヴェリエが目を潤ませた。
ミグは笑った。
「そんな顔するなよ・・・せっかく帰ってきたんだから・・・」



21日目
海の墓場から採取された新種の気体は“ウンディーニウム”と命名。

未知の資源に、宇宙中の産業界が海王星にラブコール。

プロメテウス社役員「実に興味深い。ウンディーニウムの利用価値は未知数だ」

                                        ――『デイリーAQUA』



ミグが意識を取り戻してから三日後、彼女は病院の庭でリハビリを始めていた。

肩よりも上に腕を持ち上げると、未だに激痛が走る。

だが、こうやって生きていられるだけで、ミグは幸せだった。

――痛みを感じられる喜びってあるんだな・・・

執刀してくれたクラーケン号の船医の腕は確かだった。

海賊たちは、専門職を超高額なギャラで引き抜くのだ。

ミグの隣でリハビリに付き添っていたルヴェリエがおもむろに口を開いた。

「ミグさん・・・これは僕の母から聞いた話なんですが・・・」

「うん・・・」

「20年前にディープインパクトが何をしたか知ってますか。
ミグさんの御両親は、自分たちの命をなげうって巨大隕石の軌道をずらしたんです。
もしあの隕石がまともにぶつかっていたら・・・海王星は跡形もなくなっていたのかもしれない・・・」

ルヴェリエは息をついて、続けた。

「チオルコフスキー将軍は、最後の最後まで、決して僕らの星を見捨てなかった。
海王星人にとって、チオルコフスキー将軍は英雄だったんです。
誰もあなたを恨んでなんかいなかった。それにあなたは本当に海王星を救ってくれた・・・」

ミグが堪えきれずに涙ぐんだ。

「・・・ルヴェリエ王子・・・」

――それだけでも、この星に来てよかった・・・

「ミグさん・・・もし僕が大きくなったら・・・」

「ん?」

ミグが少年の目を見つめると、彼は目をそらし、言葉を切った。

「いえ、なんでもないです」

ミグは心の中でつぶやいた。

――私も君が好きだよ。
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