80日間宇宙一周

田代剛大

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第三章 銀河の歌姫――Galaxy Minerva

1982年 7月2日

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夢を追って、失敗してもいいじゃない。
それでも何とかなるものよ。
             ー―マヤ・アンジェロウ



月独立戦争は終わった。

月は地球の保護区となり、月面解放軍は武力解除。

セレーネ人の難民は故郷へ帰った。

しかしレオナ・イヤハートの故郷へ帰る代償は大きかった。

戦争によって体をズタズタにされてしまったレオナは、パイロットを続けるどころか、まともに歩くこともできなくなってしまった。

ライトは、病室の窓を開けると傷ついたレオナに海を見せた。

病室のカーテンが海風で小さく揺れる。

ベットで寝たきりのレオナは、嬉しそうに風の匂いを嗅いだ。

「あ~いい天気・・・」

ライトは複雑な表情でレオナを見る。

「そんな顔するなって。

あんたの整備不良でこうなったわけやない・・・気にするな。

誰も悪くない・・・月のやつらだって・・・本当はきっと誰も殺したくなかった・・・」

レオナは自分に言い聞かせるように静かに呟いた。

すると、レオナは上半身をおこして話題を変えた。

「あ、そうそう、最近暇でな・・・

子どもの頃のことを思い出すんや・・・覚えてないか?

ライトが宇宙一速い宇宙船を作って、二人一緒に宇宙を旅するって・・・

宇宙のいろんなところを回って・・・

きっと楽しいやろうな・・・」

窓の外の空を、ぼんやり眺めるレオナ。

そしてライトの方を振り返った。

「なあ、わたしの体が治ったら、その・・・

君が作ってる宇宙船に乗せてくれへんかな?」

「え?」

「迷惑かな・・・?」

「そんなことないよ。一緒に行こう」

ライトは頷いた。

「よかった・・・じゃ、これ預かっといて」

そう言うと、レオナはベッドの横に置いてあるフライトゴーグルをライトに渡した。

「・・・医者がなんて言ったか知らんが、あたしはまだ諦めてへんで。

あたしはまだ生きとる。

生きとるうちは何度だってやり直せる。

・・・なんだって許せる。

だから・・・

ライトも絶対に夢を諦めんなよ!」

レオナは微笑んだ。
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