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朝起きてすっかり着慣れた着物と四方の袴に着替えてご飯食べて。
それから本当にすることがない。
暇。
布団は片付けられてしまった。
食べたら寝る。起きて食べてまた布団。布団の中でスマホで動画見て、いつの間にか眠くなって寝て。
そんな生活だったのに強制的に布団から追い出されて着替えさせられて。することもないのに。
またしても見当たらない十夜はどうしてるのか、と聞いたら自分の土地を見回ってるそうだ。
土地神様だったらしい。しかも俺の住んでる町の。知ってる神社に祀られてる神様らしい。
小さい神社だけどたまに縁日もあったりお正月はそれなりに賑わってて神主さん一人で頑張ってたな。
縁側で庭を眺めてボケーっとする。
雀が飛んできて地面を突いてるから楓さんにパンクズかなんかないか聞いたら粟だか稗だかの入った腕を渡された。
振り返ったらぶち模様の猫が来て雀に襲い掛かってた。
みんな逃げて無事だった。餌やりできなかった。
狩りに失敗した猫が向こうを向いて毛繕いをするのを眺めてたら視線に気がついたのかにゃーんって鳴いてこっちに来た。
縁側にあがってあぐらの俺の膝にゴロゴロ言いながら誤魔化すみたいに頭を擦り付けてくる。
空は高くて雲がゆっくり流れてる。
気がついたら猫はいなくなってて十夜が隣に座ってた。
いつ帰って来たんだろう。
「俺ってここで何したらいいの?」
「何にも」
本当かなあ。
十夜は、あぐらをかいて座る俺の方に頭を向けてゴロンと肘をついて横になった。
「何にもする必要はない。私も特に何かしているわけではない。毎日こうしてごろごろしているだけだ。朔と同じだ」
「町の見回りとか行ってるって聞いたけど」
「はは、今日はたまたまだ。朔の家を見て来た。明かりがつけっぱなしだったから消して、火の元と戸締りの確認をして。ついでにその辺を見て回って。それだけだ。普段は何にもしていないよ」
そうなのか。家主がそれなら俺も気にせずごろごろできそうだ。
と思って俺も横になろうとしたらお昼ご飯に呼ばれてしまった。
ごろごろするのは食べてからにしよう。
ネギと生姜の効いた煮麺美味しかった。
十夜とごろごろ昼寝。
起きたら緑茶と草団子。再びの昼寝。
夕方ちょっと庭を散歩してお風呂行ってご飯を食べて寝る。
そんな日々がしばらく続いて「よく考えたけどやっぱり帰る事にした」と、十夜に言うつもりでいたことを、すっかり忘れてぐーたら生活を満喫していた。
今日も縁側でだらだらしながらポツポツと十夜と話をする。
「あの神社ができた時に生まれたってことは神様になって五百年以上ってこと?なんであの時子供だったの?あの時から急に大人になったの?」
「あれはわざと子供の姿になっていたのだ。朔が警戒するといけないと思ってな。この頃では大人が子供に声をかけると不審者扱いされてしまうのだろう?」
「世知辛い」
とか。
「神様の伴侶ってどういう人がなるの?」
「決まってはおらぬな。ただ、神が気に入ったものを伴侶と定める。自然に宿る命、野の花であったり空を飛ぶ鳥であったりそんなものが気に入ったら捕まえて呪で縛って伴侶にする。神の伴侶になれば姿を神の思うままに変えることができ、神と同じ時を生きる事になる。人を連れてくるものも多い。人の場合は本人の承諾が必要となるので少々手間がかかる。……心配せずとも朔が本当に承知せぬ間は縛りはせぬよ」
質問した俺に答える十夜の話を聞いてるだけの時間。
「神様ってみんな十夜みたいに何にもしないの?」
「神など、何もせぬ。何もできぬ。すぐそこで手の届くところで人々が苦しんでいてもただ見ていることしかできぬ。人は偉い。強く賢い。我らが何もせずとも勝手に苦しみを乗り越えて行く。ならばなぜ我らが存在するのか。人がそこに神が居ると信じるからだ」
「信じてもらえなくなったらどうなるの?」
「人々がそこに神が居ると言えば居るのだ。一人残らず忘れるならば私は瞬きの間に散る」
「散るって」
ワードが怖い。
「死と同じだ。消えて無くなる。朔とごろごろするのは心地よいものだな。こうしていられるのも人々が私を神と信じていてくれるからだ」
難しい話になってきて眠い。
助けられないと十夜は言う。でも迷った俺のこと助けてくれたよね。
時間はゆっくり流れていって、十夜の話を聞いてるうちに眠くなって最近では涼しくなったからか縁側で寝落ちすると、いつのまにか布団に入れられてたりしていた。どうやって運ばれたかは考えないようにしている。
それから本当にすることがない。
暇。
布団は片付けられてしまった。
食べたら寝る。起きて食べてまた布団。布団の中でスマホで動画見て、いつの間にか眠くなって寝て。
そんな生活だったのに強制的に布団から追い出されて着替えさせられて。することもないのに。
またしても見当たらない十夜はどうしてるのか、と聞いたら自分の土地を見回ってるそうだ。
土地神様だったらしい。しかも俺の住んでる町の。知ってる神社に祀られてる神様らしい。
小さい神社だけどたまに縁日もあったりお正月はそれなりに賑わってて神主さん一人で頑張ってたな。
縁側で庭を眺めてボケーっとする。
雀が飛んできて地面を突いてるから楓さんにパンクズかなんかないか聞いたら粟だか稗だかの入った腕を渡された。
振り返ったらぶち模様の猫が来て雀に襲い掛かってた。
みんな逃げて無事だった。餌やりできなかった。
狩りに失敗した猫が向こうを向いて毛繕いをするのを眺めてたら視線に気がついたのかにゃーんって鳴いてこっちに来た。
縁側にあがってあぐらの俺の膝にゴロゴロ言いながら誤魔化すみたいに頭を擦り付けてくる。
空は高くて雲がゆっくり流れてる。
気がついたら猫はいなくなってて十夜が隣に座ってた。
いつ帰って来たんだろう。
「俺ってここで何したらいいの?」
「何にも」
本当かなあ。
十夜は、あぐらをかいて座る俺の方に頭を向けてゴロンと肘をついて横になった。
「何にもする必要はない。私も特に何かしているわけではない。毎日こうしてごろごろしているだけだ。朔と同じだ」
「町の見回りとか行ってるって聞いたけど」
「はは、今日はたまたまだ。朔の家を見て来た。明かりがつけっぱなしだったから消して、火の元と戸締りの確認をして。ついでにその辺を見て回って。それだけだ。普段は何にもしていないよ」
そうなのか。家主がそれなら俺も気にせずごろごろできそうだ。
と思って俺も横になろうとしたらお昼ご飯に呼ばれてしまった。
ごろごろするのは食べてからにしよう。
ネギと生姜の効いた煮麺美味しかった。
十夜とごろごろ昼寝。
起きたら緑茶と草団子。再びの昼寝。
夕方ちょっと庭を散歩してお風呂行ってご飯を食べて寝る。
そんな日々がしばらく続いて「よく考えたけどやっぱり帰る事にした」と、十夜に言うつもりでいたことを、すっかり忘れてぐーたら生活を満喫していた。
今日も縁側でだらだらしながらポツポツと十夜と話をする。
「あの神社ができた時に生まれたってことは神様になって五百年以上ってこと?なんであの時子供だったの?あの時から急に大人になったの?」
「あれはわざと子供の姿になっていたのだ。朔が警戒するといけないと思ってな。この頃では大人が子供に声をかけると不審者扱いされてしまうのだろう?」
「世知辛い」
とか。
「神様の伴侶ってどういう人がなるの?」
「決まってはおらぬな。ただ、神が気に入ったものを伴侶と定める。自然に宿る命、野の花であったり空を飛ぶ鳥であったりそんなものが気に入ったら捕まえて呪で縛って伴侶にする。神の伴侶になれば姿を神の思うままに変えることができ、神と同じ時を生きる事になる。人を連れてくるものも多い。人の場合は本人の承諾が必要となるので少々手間がかかる。……心配せずとも朔が本当に承知せぬ間は縛りはせぬよ」
質問した俺に答える十夜の話を聞いてるだけの時間。
「神様ってみんな十夜みたいに何にもしないの?」
「神など、何もせぬ。何もできぬ。すぐそこで手の届くところで人々が苦しんでいてもただ見ていることしかできぬ。人は偉い。強く賢い。我らが何もせずとも勝手に苦しみを乗り越えて行く。ならばなぜ我らが存在するのか。人がそこに神が居ると信じるからだ」
「信じてもらえなくなったらどうなるの?」
「人々がそこに神が居ると言えば居るのだ。一人残らず忘れるならば私は瞬きの間に散る」
「散るって」
ワードが怖い。
「死と同じだ。消えて無くなる。朔とごろごろするのは心地よいものだな。こうしていられるのも人々が私を神と信じていてくれるからだ」
難しい話になってきて眠い。
助けられないと十夜は言う。でも迷った俺のこと助けてくれたよね。
時間はゆっくり流れていって、十夜の話を聞いてるうちに眠くなって最近では涼しくなったからか縁側で寝落ちすると、いつのまにか布団に入れられてたりしていた。どうやって運ばれたかは考えないようにしている。
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